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DAOKO『私的旅行』にも提供 『アイドルマスター』シリーズ中心にTaku Inoueの手腕を分析

リアルサウンド

18/12/2(日) 10:00

 12月12日にリリースを控えたDAOKOのニューアルバム『私的旅行』。世代もジャンルも横断する多彩かつ強力なプロデューサーとのコラボレーションに期待が高まる同作だが、本稿で取り上げたいのは9曲中3曲に編曲として携わるTaku Inoue(井上拓)だ。井上がDAOKOのアルバムへ参加するのは、前作『THANK YOU BLUE』で「拝啓グッバイさようなら」での作編曲に続いて2作目。ほかにも、2016年には大阪の商業施設「LUCUA」のCMソングを共作しており、今年の秋にはスマートフォン向けRPG『ドラガリアロスト』のBGMでもコラボしている。

(関連:Taku Inoueと北谷光浩に聞く、『サマーレッスン』楽曲制作秘話「音楽で補強するのが仕事」

 バンダイナムコスタジオに所属し、ゲーム音楽を中心に辣腕を奮ってきたサウンドクリエイターとして知られる井上は、今年6月末に同社を退社しフリーに。最先端のダンスミュージックを貪欲に取り込んだ独特なサウンドメイクと確かなメロディメイカーぶりに、ゲームのファンからもダンスフロアからも支持が厚い。また、applebonker名義では、ユニコーンや玉置成実などJ-POPアーティストのリミックスを手がけてもいる。こうしたInoueの手腕が『私的旅行』でどのようにDAOKOをサポートするか、注目だ。

 ゲームのBGMや主題歌の提供からサウンドディレクターまでを経験し信頼を集めてきた井上だが、その仕事を語る上で忘れてはいけないのが『アイドルマスター』シリーズに提供した楽曲の数々だろう。特に『シンデレラガールズ』のアイドルたちに書き下ろした楽曲は、アイドルの個性にあわせたアイマスならではのクオリティの高い詞や曲はもちろん、妥協のない大胆なサウンドメイクも聴きどころだ。

 今年の夏に開催された『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』内のイベント『クレイジークレイジー』で公開された同名曲は、ジャージークラブのエッセンスを取り入れたフューチャーベース。一ノ瀬志希と宮本フレデリカのミステリアスでコケティッシュなキャラクターが歌う、危うくも濃厚な関係を思わせる歌詞もファンの心に刺さった。ボーカルを極力排したドロップは、尺の制限があるゲーム内楽曲としては思い切った構成。とはいえ独特のしっとりとした厚みのあるサウンドとメロディの相性は抜群で、ダンストラックとしてもポップスとしても一級品だ。証拠に、この曲は、ジャージークラブのパイオニアであるR3LLが来日した際に、R3LL本人の手でプレイされたという快挙も果たしている。

 赤城みりあ「Romantic Now」や速水奏「Hotel Moonside」、大槻唯「Radio Happy」など、『シンデレラ』の面々に提供した楽曲はどれも名曲揃い。あくまで主観でもう一曲挙げるならば、渋谷凛・森久保乃々・大和亜季の「さよならアンドロメダ」を推したい。ゲーム内では未実装ながら、宇宙を舞台にしたファンタジー的な詞の世界とフューチャーベースのサウンド、そしてアイドルたちのエモーショナルな歌唱が泣ける一曲だ。

 ほか、『アイマス』シリーズでも765プロの我那覇響に提供した「Pon De Beach」はもはやアンセムと言ってよい人気だ。ファンタジー色が全開になった歌詞と疾走感あふれるガラージのサウンドが心地よい天海春香・萩原雪歩・高槻やよい・三浦あずさ「そしてぼくらは旅にでる」も近作では出色の一曲。『アイマス』からは離れて、スクウェア・エニックスのスマートフォン向けゲーム『スクールガールストライカーズ』に提供したココナッツ・ベガ「サテライト・ラブ」も、持ち前のカットアップ感覚と韻を印象的に使うフックが光る。

 井上の仕事はもちろんこれに留まらないが、取り上げた楽曲を聴いてもらうだけでも、ダンスミュージックとポップスを巧みに融合させる手腕は感じてもらえたのではないだろうか。いまや時代を牽引するプロデューサーとなった中田ヤスタカのみならず、ポップセンスを持ったダンスミュージックのプロデューサーがJ-POPのフィールドでも注目を集めつつある今、Taku Inoueも活動の幅をよりいっそう広げていくことが期待される。(imdkm)

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