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宮野真守はギャップで魅了するエンターテイナー オールマイティな活動に通ずる“覚悟とプライド”

リアルサウンド

19/2/21(木) 10:00

 国内アニメシーンにおいて、人気声優として確固たる地位を築いて久しい宮野真守。ドラマ『ゆうべはお楽しみでしたね』(MBS・TBS系)に俳優として出演したほか、映画『グリンチ』や3月8日公開の映画『スパイダーマン:スパイダーバース』、『ファンタスティック・ビースト』シリーズなど、海外の大作映画で主演の吹き替えを相次いで務め、洋画を中心とした映画ファンからも熱い視線が注がれている。アニメと洋画の吹き替えの両方で、これほど活躍し人気を集める声優はほかにはいない。なぜ宮野真守が、そうした存在になれたのか?

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・狂気からハイテンションまで、振り幅の広さは業界随一

 小学生のころから「劇団ひまわり」に所属し、15歳のときにはドラマ『3年B組金八先生』に出演した経験も持つ。声優としてデビューして以降もさまざまな舞台やミュージカルへの出演を重ね、昨年は、劇団☆新感線による『髑髏城の七人 Season月 』に出演して、舞台役者としての経験も着実に積み上げた。演技力の高さは声優のなかでも群を抜き、数々の難しい役柄を演じてきた。宮野の人気を決定づけたのは、2006年のアニメ『DEATH NOTE』の夜神月役だ。同作の実写版映画で藤原竜也が怪演したことでも知られ、頭脳明晰な高校生がデスノートを手にしたことで、歪んだ正義に飲まれていく演技は圧巻だった。そうかと思えば『機動戦士ガンダム00』では、クールながら胸の奥に熱い意志を持った主人公の刹那・F・セイエイを熱演し、昨年の『多田くんは恋をしない』では、主人公の幼なじみの伊集院薫を演じて、ハイテンションのお調子者キャラがハマった。さらに『東京喰種』シリーズの月山習、『STEINS;GATE』シリーズの岡部倫太郎、『うーさーのその日暮らし』のうーさーなど、役柄の振り幅の広さは業界随一と言える。

 声優の演技は、ただスタジオで立ってセリフをしゃべっているだけではない。殴られたシーンでどういう声が出るのかなど、ときには実際にその動きをやってみることもある。アニメは非現実的なシーンも多く、とある声優は紙を食べるという変わった役柄を演じる際に、実際に食べたと聞く。役柄の気持ちをより理解するための努力や想像力も声優には必要不可欠で、その部分においても宮野は突出する。『DEATH NOTE』では、最終話のアフレコ収録が終われば自分も主人公と同じように死ぬと思い込んでしまうほど、役と同化していたという。どんな役柄であっても、そのキャラクターがまるで憑依したかのように演じられることも、彼の人気を支える要因のひとつだ。

 低音で甘さのある女性をとろけさせる声も、宮野真守を語る上では欠かせない。『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズの一ノ瀬トキヤ役を筆頭に、女性層をターゲットにした多くの作品でイケメンキャラを演じてきた。近年“イケボ”という言葉が一般的になったが、その先駆者こそが宮野だと言えるだろう。これまでに吹き替えを担当した俳優も、ジョニー・デップやエディ・レッドメインなどイケメン揃いなのもうなずける。

・雅マモルで『紅白』に。ギャップで魅了するエンターテイナー
 
 アーティストという側面も、魅力の重要な一端だ。身長180センチという抜群のスタイルと端正なルックス、そして低音で柔らかさのあるイケボといった、三拍子揃った宮野のライブは、男性アイドルグループさながらの人気だ。ダンスではだけたシャツの裾からチラ見えする鍛え抜かれた肉体、白い歯を輝かせるはにかんだ笑顔。ステージ上は宮野の魅力の宝庫で、多くの女性ファンが押し寄せ目をハートにしてうっとりするのは当然のことだろう。

 またライブの幕間に流されるコント映像では、着ぐるみを着て原始人になったり、昭和のお茶の間を舞台に、青っ鼻をたらした悪ガキの扮装をするなど徹底した三枚目ぶりだ。昨年末に放送された『第69回NHK紅白歌合戦』の企画コーナー「おげんさんといっしょ」に、頭にバンダナを巻いた昭和のアイドル風キャラクター、雅マモルとして出演したことも記憶に新しい。あの『紅白』で宮野のユニークな一面に初めて触れた人も多かったと思うが、雅マモルは、実は宮野のライブには以前から登場していたお馴染みのキャラクターでもあった。格好よさとユーモアセンスのギャップをおしげもなくさらけだす、エンターテイメント性もまた彼の魅力だろう。

 アニメ声優、洋画の吹き替え、アーティスト活動など、実に多彩な表情を持つ宮野だが、それらすべてにおいて「そこまでやるの?」と思うほどの徹底ぶりにはいつも驚かされる。どんな役であろうと、かっこよさも面白さも徹底的だ。そこから一貫して感じるのは、演じる者としての“覚悟とプライド”。アニメ声優の枠を越え、洋画の吹き替えの世界からも寄せられる厚い信頼の根源がそこにある。 (文=榑林史章)

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