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米津玄師、「Flamingo」に見る身体表現における芸術性 辻本知彦が絶賛するダンスセンスに迫る

リアルサウンド

18/11/16(金) 8:00

 米津玄師のニューシングル『Flamingo / TEENAGE RIOT』がリリースされて約半月。「Flamingo」の公式MVのYouTube再生回数は2100万回を超え、拡散力や影響力や話題性において、米津玄師は今や日本随一のアーティストと言えるだろう。そのMV・パフォーマンス史において重要な鍵を握っているのが、音楽はもとよりダンスだ。J-POPに多く見られるストリートダンスとは一線を画する米津の独創的なダンスパフォーマンスは、どう生まれ、どう進化しているのか。その変遷と特徴を考えてみた。

参考:米津玄師の創作活動はより自由になったーー対照的な2曲並ぶ『Flamingo / TEENAGE RIOT』評

 「米津玄師のダンス」の特徴は、辻本知彦によるコンテンポラリーダンス的な振付と、米津の体躯による独特の動きが挙げられる。まず辻本といえば、日本人として初めてシルク・ド・ソレイユのダンサーとして活躍し、土屋太鳳の鬼気迫る舞いで話題になったSia 「アライヴ feat. 土屋太鳳 / Alive feat. Tao Tsuchiya」の振付などを手がけたことで知られる。米津とは「LOSER」の初タッグ以降、日本武道館ライブで共演したり、米津プロデュースのキッズユニット・Foorin「パプリカ」(※菅原小春との共作)の振付を手がけたりと、米津が「師匠」と呼ぶほど大きな存在となっていく。

 米津×辻本タッグによる最初の結晶は、2016年9月にリリースされた5thシングル曲「LOSER」。躍動的なリズムトラックに乗せて、米津が華麗なフットステップを繰り出し続ける。これが本格的なダンス初挑戦、レッスン期間は2週間というから周囲は驚いた。筆者が特に舌を巻いたのは、感情先導型の動きと、視線や表情まで完全に楽曲の世界観に入りきった表現力。これが初心者離れどころか芸術的な域に達していた。これは練習量でどうにかなることではなく、表現者=パフォーマーとして資質があるとしか言いようがなかった。めったに人を絶賛することのない辻本も、彼の才能に次のように感服している。

彼の踊り方は万人に一人の芸術性を持っている。
さらに頭が良い。そして無邪気だ。
がむしゃらに踊ったときは身体のコントロールが効かないほど踊ってしまう。だが人を引き込む力「魅力」がそこに存在する。
身体のうねりが流れとなり、腕を通り米津玄師の綺麗な指先へ流れこむ、惚れ惚れするほど美しいと思いました。
うまい踊りとは… うまい踊りとは…
私の中で彼のことをいうのではないだろうか!!
彼は踊りの天才だ!!!!
(参考:米津玄師、自身がダイナミックに踊る新曲MVを渋谷の街でゲリラ解禁)

 翌2017年が明けても、米津はプライベートで辻本とのレッスンを週1ペースで続行。ダンスへの親しみは「春雷」「Lemon」など、発表する音楽やMVにも反映された。スタンドマイクの前でフリーに動いた「春雷」のMVでは、振付にとらわれない米津自身の音のノリ方が顕著に。例えばリズムを表拍、裏拍、キック、上モノなど、どのタイミングで取るか、またそれを首や肩や胸や足、どこで取るかは、ダンサーでも踊る人それぞれのセンスが出るところだ。

 そして、再び辻本による振付で制作された新作「Flamingo」。この曲のダンスで特徴的なのは、フラミンゴのように凛と立ちながら体の一部をくねらせるウェーブの多用。これは、〈へらへらり〉〈ふわふわ〉〈ふらふら〉といった歌詞や、楽曲のテーマである「みっともなさ」、和的なメロディやサウンドの、いずれにもリンクする。全体的には気だるいポップダンスとでも言おうか。ポップはパントマイムやロボットダンス、アニメーション、ブガルーなどを取り込んでいるジャンルで、マイケル・ジャクソンのムーンウォークもこれに分類される。別の物体のような人間的でない動きが求められ、米津の細長い手足も相まった「Flamingo」のダンスは不可思議な魅力を放つものに仕上がっている。

 この“体の一部だけウェーブ”は、他の部位を動かさないことで対比を出すため、体の支柱をぶらさない体幹が必要だ。サビの〈フラミンゴ〉部分で見せる、アニメーションダンスなどで使われる階段式の重心移動も、アイソレーションと基礎筋力がなければキマらない。米津は「LOSER」を発表した2016年のインタビューで「今年の夏にダンスのレッスンをしたんですけど、それに伴って筋トレ的なこともしたんですよ。そうしたら身体の形が変わってきた。筋肉も付いて、それに伴って精神的なところも変わってきたんです」(参考:cakes 米津玄師インタビュー)と自覚しているが、トレーニングを重ねたことが「Flamingo」でのボディコントロールを可能にしているのは言うまでもない。米津玄師のダンスは、天性のセンスだけでなく鍛錬を重ね進化していることを証明してみせた。

 作詞・作曲、イラストにダンスまで。あらゆる角度から独創的才気を発揮している米津玄師。表現ジャンルの垣根が低くなりつつある昨今において、最も現代的であり、かつ最もポピュラリティを獲得しているアーティストが、今後どんな身体表現で魅せてくれるのが楽しみなところだ。(鳴田麻未)

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