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2PM ニックンが明かす、初のソロ作への手応え 「このアルバムは、まさに自分自身」

リアルサウンド

18/12/30(日) 13:00

 意外だったのは、インタビュー時の言語が、韓国語ではなく英語だったこと。

 初のソロミニアルバム『ME』を12月19日にリリースした2PMのニックン。英語でインタビューを受けるのは今回が初めてという彼に、その意図を尋ねると「本当の自分を存分に出せるから」という。なるほど、タイ生まれでありながら、ニュージーランドやアメリカに長く住んだ半生を思えば納得だ。

 そんなニックンがすべての作詞・作曲を手掛けた『ME』も歌詞は基本英語。満を持してソロプロジェクトを立ち上げたニックンが雄弁に語ってくれた、このアルバムに込めた思い、隠された意味とはーー。(桑畑優香)【最終ページに読者プレゼントあり】

(関連:2PM ニックン写真はこちら

■“自分で何を表現したいのか”を考えたときにタイトルが浮かんだ
ーー英語で話すと、ちょっと雰囲気が違って見えますね。

ニックン:日本語、韓国語、タイ語、中国語、それぞれの言語によってジェスチャーやしゃべり方が変わると思います。英語だと、すごくリラックスできるんです。

ーーソロで活動するにあたり、アルバムのタイトルを『ME』とつけたのはなぜですか。

ニックン:ファンの方や聴いてくださる方に自分を知ってもらいたいという気持ちがあって、『ME』にしました。他の人に書いてもらう曲とは違って、自分で何を表現したいのかを考えたときに『ME』というタイトルが浮かんだんです。

ーー2PMは、そもそも“一日の中で最も活動的な午後2時に聴きたい音楽”というコンセプトで、エネルギッシュな曲も多いですよね。対して、『ME』はリラックスしたメロディーの曲が多く含まれています。何時ぐらいに聴いてほしいと思いますか。

ニックン:朝に聴いてもいいし、夜まったりしながら聴くのもいいかな。というのは、ヒーリングアルバムになればいいなと思っているんです。ダンスミュージックとはちょっと違った感じで、元気になりたいとか、いい気分になりたい時、リラックスしたい時に聴いていただければと思っています。

ーーアルバムの最初の曲は「HOME」。聴く人がまるでニックンの家を訪れるような気分になる歌詞ですね。

ニックン:アルバム全体のイントロになるようにしたかったんです。僕が住んでいる家に皆さんが来てくれて、おもてなしするような感覚で作りました。僕がどんな音楽を好きなのか、純粋に聴いてもらいたいと思っています。

ーーアルバムのコンセプト自体もニックンが考えたそうですね。

ニックン:はい。タイトル曲候補としては、「Lucky Charm」と「Bridge」を考えました。「Bridge」のほうがアップテンポで2PMっぽい曲なんですけど、「Lucky Charm」を選んだ理由は、2PMの他のメンバーがやっている音楽や今までグループでやっていた音楽ともちょっと違うものにしたかったからです。あと、自分が一日中聴いていて心地よいものを作り上げていきました。

ーー2PMに寄せるのではなく、ニックンらしさを出したかった?

ニックン:そう。タイトルに『ME』とついている通り、このアルバムは、まさに自分自身。2PMのようなダンスミュージックだったりアップテンポな曲とは違う雰囲気だと感じる人もいるかもしれませんが、僕はあえてそれでいいと思っています。自分が作りたいもの、ありのままを作ってみました。

ーー作詞作曲を自分で手がけたのはニックンのアイディアですか?

ニックン:最初は事務所の方から「自分で書いてみたらどう? プレッシャーを感じなくていいよ」と提案されました。でも、僕自身がやってみたいと強く思ったんです。自分でやることによって僕らしさが100%出せますし、このミニアルバムは僕の子どもみたいなもの。自分自身のストーリーがここに詰まっているという感じです。

ーー他の方が作った曲を歌い踊ってきたこれまでとは、異なるスタイルですね。

ニックン:そうですね、自分の音楽ということで責任感が必要だったし、ジャケットのアートワークからコンセプトまで自分で考えました。アルバムを作っている間にほかの仕事も両立させながらやっていたのですが、アルバムについてスタッフから「これでいいですか」と決断を求められることが多かったので、すごく忙しかったです。

ーーどんなシチュエーションで曲作りをしたのでしょうか。

ニックン:小さい赤いノートがあるのですが、今回のアルバムを作る間ずっと持っていました。何か曲が思い浮かんだときは携帯電話に録音していましたね。歌詞については手書きでそのノートに書くことが多かったですね。それなりに時間がかかりました。企画が動き出したのは3月ごろで、完成したのは10月。その間にほかの国で仕事をしたり、忙しくしていたので、これだと決めて一気に作るのではなく、試行錯誤しながら作りました。それぞれの曲に違うストーリーがあるのですが、例えば、初回生産限定盤Bに収録されている「Umbrella」は、最初は「Candles」というタイトルにしようと思っていたんですね。だけど、ほかの曲にも同じようなタイトルや内容のものがある気がして、もう少しオリジナリティを出したいなと思い、「Umbrella」にしました。曲作りは、まっすぐに完成したり、ジグザグ回り道した結果だったり。音楽的な表現には、いろいろな表現、作り方があることを学んだので、新しい楽しさに目を開いたって感じです。

ーーこのアルバムの中で、一番ご自身が出でいると思う曲を教えてください。

ニックン:「Mars」ですね。ピアノも自分で弾いていますし、メロディーも素敵に仕上がったと思います。最後に仕上がったのもこの曲です。実は歌詞に2つの意味があるんですよ。普通に解釈するとすごくロマンチックに思えますが、裏を返すとすごく切ない曲なんです。地球では無理だけど、火星なら一緒に過ごせるっていう。でも、物理的に火星に行くのは不可能ですよね。ということは、一緒にいられない。ポジティブに考えればラブソングだし、別の見方をすれば悲しい曲にもなります。

ーーリード曲の「Lucky Charm」も素敵なラブソングですね。

ニックン:「Lucky Charm」もすごく面白い構成になっているんですよ。夢と現実を行ったり来たり、半分起きて半分眠っているような感じを表現しています。だから夢の部分ではレインボーやユニコーンが出てきたり、恋をしているロマンチックな部分もあって。僕の音楽を聴いた人に、夢か現実か考えてほしいなという思いがあるんです。生きている中でも、複雑じゃないものはないじゃないですか。だから1つの現象に対して必ず2つの視点があって、音楽もそうだと思っています。ラブソングであっても「I love you」とストレートにわかりやすく伝えるだけではなく、他の意味も持たせたいんです。

ーーいわば、短編小説のようなアルバムだと。

ニックン:そうですね。今回曲を作る上で、ストーリーをすごく重視しました。1つの長い物語のなかで「じゃあ、ここの部分を歌にしてみよう」と一部を切り取って、残りの部分は聴いた人に託したいな、と。どの部分を切り取るのかはすごく難しいことでもありました。ラップにしたら、思いついたストーリーが全部入るかもしれませんが(笑)。そんな、曲に書かれていない部分の物語を想像しながら聞いたら楽しいかな、と思っています。

ーー映画とか小説などでインスパイアされたものはありますか。

ニックン:歌詞はどちらかというとその時々の気持ちや浮かんだストーリーをベースに書いています。音楽的なインスピレーションとしては、ブルーノ・メジャーやダニエル・シーザー。メロディーや歌詞がすごく自由なところが好きで参考になったかなと思います。ナチュラルな仕上がりの「Lucky Charm」は、特に2人のミュージシャンに影響を受けた曲なんです。

ーー普段は洋楽を聴いていらっしゃるんですね。

ニックン:そうですね。日本の音楽では、宇多田ヒカルの曲をよく聞いています。アルバムも持っていますし、2011年に千葉・幕張で開催された2PMの日本1stコンサートでで僕がソロで弾き語りしたのも「First Love」。僕が大好きで今ハマっているゲーム『キングダム ハーツ』の主題歌も宇多田ヒカルの曲です。

ーー2PMのメンバーには、アニメやゲームが好きな人も多いですよね。

ニックン:いい現実逃避になるんですよ。物理的に行けなくても、代理満足のような形で体験できるから。

ーーでは、「Lucky Charm」のユニコーンやレインボーも、もしかしたらゲームの世界にインスパイアされたものですか?

ニックン:違います(笑)。アメリカの「Lucky Charms」というシリアルにヒントを得た曲です。ユニコーンや虹の形をしていて、カラフルで子どもたちに大人気。僕も大好きなシリアルなんです。ファンタジーと現実の間を行き来するという曲のコンセプトがスイートなシリアルの世界観とマッチしているんです。

■ファンとの約束があったからこそ、自分の背中を押せた
ーーニックンはアートも得意ですが、アルバムのジャケットのデザインもご自身で手がけたものですか?

ニックン:はい。もともと新しいことを色々考えて、それを絵で表現をするのが好きなんです。今回のアルバムをイメージした時に、まず頭に浮かんだのがピンクとブルーでした。空の中に雲があって、その1つに自分が座っているシーンが閃いたんです。Instagramのフィルターなどでも人気の色ですよね。見ていて心地よく、ニュートラルで平和な色だからかな、と思います。ピンクはセクシーでエモーショナルな色。強い赤につながっていく。

ーーニックンのメンバーカラーは赤ですが、アルバムのジャケットはピンク。ということは、ニックン自身は赤よりもピンクに近いキャラクターだと?

ニックン:僕自身の中には赤とピンクの両方が内在しています。ジャケットの写真について説明しますね。雲に座っている僕は、黒いガウンを着ています。右腕の袖の模様は天使の羽を示し、左腕に描かれているのは、悪魔の角。まったく異なる2つのものが共存しているという意味があるんですよ。ガウンが黒いのは、天国のような世界にいる僕にもデビルのような部分があるということを比喩しています。誰にでも悪魔と天使の部分があり、自分の中で闘っていると。

ーーニックンに天使とデビル、2つの顔があるとは意外です。

ニックン:2つの面を持つのは、誰にとっても必然なことではないでしょうか。誰しもすぐに「イエス」と答えられないことがありますよね。

ーー歌詞やジャケットデザインの細部まで、すべてに意味があるんですね。

ニックン:細かい部分まで時間をかけました。できる限りを尽くして作っています。自分のやりたいことができたという満足感、こんなものが作れたという自信につながったと思っています。実は僕の中に小心者な部分があって、なかなか一人で(ソロで)踏み出す勇気を出せずにいました。でも、2016年の東京ドームのコンサートで、「ソロアルバムを出す」とファンの皆さんの前で約束したのが良かったと思っています。あの約束があったからこそ、自分の背中を押せました。僕でもやろうと思えばできるんだ、という自信につながりました。他の人がどう評価するかも多少は気になりますが、それよりも、自分がこれだけできたという自信を大切にしたいと思います。

ーー今回ソロで活動するにあたり、先にソロ活動をしている2PMのメンバーにアドバイスをもらったりしましたか。

ニックン:実は、今回はあえて他のメンバーの意見は聞かないでアルバムを作り上げました。寂しいことに、メンバーの多くが入隊してしまって。完成したあと、テギョンが僕の家に来たときに、2人でワインを飲みながらアルバムを聴いてもらいました。「すごくいいね」と。うれしかったです。

ーー2PMでのグループ活動とソロでは、それぞれどんな違いがあると思いますか。

ニックン:……2PMの仲間が恋しい。すごく会いたいですね。ソロでやっているときは他のメンバーがいないので、さみしい部分もあります。というのは、グループ活動の時は、お互いの弱さを補い合うことができたから。親友と一緒に活動しているような感覚でした。もちろん喧嘩することもありましたが、僕らはファミリー、兄弟のような感じなんです。一方、ソロでやるときは責任のすべてが自分にかかっているので、その分大変なこともあります。色々なことに気を配る必要もあるし、心配になることもあります。でも、その分楽しいこともいっぱい。あくまでも自分がプロデューサーでありディレクターなので、自分で100%できるという面白さもありますね。

ーーソロ活動をしている2PMメンバーのステージをよく見に行っていますが、どんな思いで見守っていますか。

ニックン:それぞれのスタイルがあることに、あらためて驚きますね。2PMとして音楽を一緒に10年以上もやってきたのに、みんなすごく個性が異なるのが楽しいです。僕はずっと自分の好きな音楽やスタイルがみんなと違うことに気づいていました。メンバーそれぞれも異なっていて、それが面白いところだな、と思いました。今回のアルバムも、他の人と違うものをあえて作ろうと思ったわけではなく、自分がもともと好きなもの、自分らしさを出した結果なのだと思います。

ーー2008年に2PMが韓国でデビューしてから10年。2PMはK-POPブームに大きな役割を果たしてきました。世界的なK-POPブームの今、ご自身の活動を振り返って感じることとは?

ニックン:僕自身は韓国の出身ではなく、外国人メンバーなのですが、K-POPシーンの一員となり、ここまで成功できたことに驚いています。K-POPが世界的こんなに大きなうねりになるとは想像していませんでした。そんなK-POPに携わったのは、僕自身の人生におけるターニングポイントになったと思います。まさか、自分が歌手になるとは思っていなかった。今の僕があるのは、K-POPがあるからだと思います。やろうと思えば何でもできると教えてくれたのは、K-POP。僕がこんな風に強くなれたのもK-POPのおかげだと感謝しています。

ーー2PMは、“野獣アイドル”としてデビューしましたが、ソロデビューした今のニックンは?

ニックン:2PMにとっては、“野獣アイドル”が永遠の肩書。でも今の僕自身は、“向上心のあるミュージシャン”という肩書がふさわしいかな。2019年はソロで様々な国で活動し、すごく忙しくなりそうで、とても楽しみです。演技に音楽、たくさんのことにチャレンジしてみたいですね。

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