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長澤まさみの堂々たるヒロインぶり 『マスカレード・ホテル』には全魅力が結集

リアルサウンド

19/1/26(土) 6:00

 豪華俳優陣が集った映画『マスカレード・ホテル』で、その中心に立っているのが、木村拓哉と長澤まさみだ。稀代のエンターテイナー・“キムタク”を相手に、長澤はどう挑んでいるのか。本作では、これまでに彼女が様々な角度から見せてきた魅力たちが結集している印象を受けた。

【写真】長澤まさみと木村拓哉の共演シーン

 30代へと突入し、年々魅力を増すばかりの長澤は、未だに果敢な挑戦を止めることはない。ここ数年の活躍を振り返ってみると、巨匠・降旗康男監督による大作『追憶』(2017)や、世界から注目を浴びる黒沢清監督の『散歩する侵略者』(2017)、多くのCMを手がける中江和仁監督のデビュー作となった『嘘を愛する女』(2018)など、巨匠から気鋭の監督までの作品に見事にフィット。その中心に立ち、多くの映画ファンを唸らせた。

 しかしそういった作品でけでなく、『タッチ』(2005)や『ラフ ROUGH』(2006)、『潔く柔く』(2013)や『アイアムアヒーロー』(2016)での長澤の姿が思い出されるように、『BLEACH』(2018)や『銀魂』シリーズ(2017-2018)、さらに今後は『キングダム』など、漫画実写化作品でも最前線でのアクティブな活躍を彼女は続けている。観客たちの多くにキャラクターの確たるイメージがある以上、「再現度」の高さも求められ、この手の作品にはまた違った演じることの難しさがあるのではないだろうか。

 さらにこのところ好調なのが、彼女のコメディエンヌぶりである。先述した『銀魂』シリーズなどの福田雄一監督によるラブコメ『50回目のファーストキス』(2018)や、好評を博した月9の主演ドラマ『コンフィデンスマンJP』(2018・フジテレビ系)などで、どちらかといえば大胆な、振り切れた彼女のコメディセンスを確認することができるのだ。

 長澤の多才さは、ここまでに述べてきた作品の多彩なラインナップから十分にうかがえることだろう。そんな彼女が今作『マスカレード・ホテル』で演じるのは、超一流ホテル・“コルテシア東京”の顔とも呼べる、フロント担当のホテルウーマン。世間では連続予告殺人事件が騒がれ、次の殺人が起こる可能性が高いと目されたこのホテルで、長澤演じる山岸尚美は、通常業務に加え様々な格闘を余儀なくされるのだ。

 彼女の不安の種が、当ホテルに潜入捜査官としてやってきた新田(木村)である。眼光鋭く粗野な男であり、職業柄、他人を疑うことが本業の彼とは相容れないのだ。長澤と木村が演じるキャラクターは対照的である。捜査のために奔放な振る舞いを見せる新田に対し、ホテルウーマンの職に誇りを持っている山岸は厳格だ。しかし、宿泊客に向けて絶えず浮かべる彼女の笑顔は、ある意味メカニックなものでもあり、内面を見せようとはしない客たちと同様に、彼女もまた“マスカレード”の参加者の一人であることを物語っている。

 二人はことあるごとに衝突を繰り返すが、やがて互いを受け入れ合うようになり、絶妙な“バディ関係”へと発展。新田とのやりとり、そして事件の真相に近づくにつれて、山岸の仮面は少しずつ外れていき、人間味を滲ませていく。この過程で、その都度見られる長澤の演技の転換の妙に魅せられる。飄々とした新田を前に、空回りして骨を折る彼女は「笑い」を生むし、客に対してのにこやかながらも毅然とした振る舞いは再現度が高く、誰もが見たことのある、プロフェッショナルなホテルウーマンの姿がそこにはあるだろう。そして彼女がある真実に向き合うとき、本作で一番の“人間らしさ”を見せるのだが、それは彼女が宿泊客たちのための影の存在から、本作の主人公に回帰する瞬間でもある。それはまさしく、堂々たるヒロインの誕生とも言えるものだろう。

(折田侑駿)

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