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『相棒』元旦SP、及川光博の登場で意外な方向に? 長期シリーズゆえの“ファンサービス”も期待

リアルサウンド

19/1/1(火) 6:00

 今や、日本のドラマ界を代表するロングセラー作品と言って良いだろう。『相棒』(テレビ朝日系)は、初回の放送からもう少しで20年が経とうとする中で、現在でも多くの視聴者を惹きつける名シリーズである。“テレビ離れ”なる言葉もありながら、依然として高視聴率を叩き出しているほか、劇場版の製作も続いている。こうした成功の裏にある『相棒』ワールドの魅力は一体どこにあるのだろうか。今回、平成最後の元日スペシャル放送を前に、これまでの総括も含めた“相棒研究”をしてみよう。

■愛され続ける右京さん

 紅茶をこよなく愛し、チェスの腕前はかなりのもの。言動の一つ一つが洗練され、極めて紳士的である。東京大学出身で、推理力はシャーロック・ホームズや古畑任三郎さながら。文化から自然科学に至る様々な事柄に造詣が深く、まさしく博覧強記の人である。もちろん刑事ということもあって、犯人相手にアクションをこなしたり、全速力で走り抜けたりすることもある。ユーモラスな雰囲気が印象に残る話し方をし、時に相棒を毒づいたりすることも。

 このように杉下右京(水谷豊)を特徴づける要素を箇条書きにしていくとキリがないわけだが、それだけ彼という人間は知れば知るほど面白いのである。『相棒』の魅力の一つは、間違いなく右京のこうした人物造形にある。単に毎話で活躍するだけではなく、いろいろな側面を視聴者に見せてくれる。とりわけ、上に挙げた右京さんの特徴の中でも「ユーモラス」なところは大きい。クールに事件を解決する人物とユーモラスな性格は、どこか親和性がある。もちろん、古今東西の全ての名刑事・名探偵に当てはまるわけではない。ただ、視聴者から愛されるキャラクターの型の一つとしては、右京のような人物は王道とも言える。ただカリスマ的なヒーローなのではなく、それにプラスしていろいろな一面を併せ持っているのだ。

■一貫している正義感・道徳観

 正義のため、大義のために法を犯す人物が描かれることがある。『相棒』に限らず、しばしば刑事ドラマの犯人の中には、必要悪としてその犯罪を正当化する人物がいる。そうした犯人が現れると、作品によっては「本当に自分の正義は正しいのだろうか」と葛藤する刑事たちもいる。そうした葛藤を含ませることで、「本当の正義とは」といったテーマを提示する作品も当然描かれる価値はある。

 『相棒』でも正義が題材になることがある。右京はこれまでに何度も、自分の正義を主張する犯人たちに遭遇してきた。だが、彼は大概そうした犯人たちには厳しい言葉をぶつけてきた。普段は悠然としている右京が、声色を変えてエゴや自己満足で法を犯す人間を叱責する。誰かの犠牲を伴ってでも貫かれる“正義”を基本的に認めない。

 右京という人間を信頼することができるのは、こうした一面にあるのかもしれない。右京には正義に対する確固たる考え方がある。シーズン16の第17話で叫んだ言葉が右京の立場を明確に示している。

「我々警察官は、法の正義を守るためにいるんです。組織を守るためではありませんよ!」

■広がり続ける『相棒』ワールド

 さて、現在のシーズン17だが、その分登場人物の数もすでに膨大になっている。キャラクターが増えれば、より複雑な人物相関図が当然出来上がっていく。相棒ファンであっても、きっと忘れている人物や出来事があったとしてもおかしくない。だが、この拡大し続けてきた相棒ワールドは、本作が長い歴史を通じて作り上げた遺産である。だから放送によっては、かつて右京と関係があった人物が久々に登場することで、意外な方向に世界が広がったり、興味深い共演が観られたりするのも醍醐味の一つだ。例えば今回の元日スペシャルにも、及川光博演じる神戸尊が登場する。神戸は今回に限らず、右京の相棒ではなくなってからも、劇場版を含めて何度か顔を出しており、今後の出演も期待できそうだ。

 回を追うごとに、警察や政治の世界はどんどん複雑になっていくが、それだけ作品はダイナミックになっていく。これは間違いなく『相棒』のような作品だからこそなせる業である。よりリアルに、より圧倒的で、より壮大なストーリーが出来上がる。劇場版ではなくても、放送回によっては劇場版さながらの臨場感とスケールが繰り広げられることがある。毎シーズン『相棒』が始まるたびに「帰ってきた!」と思えるのは、これまでの相棒ワールドが続くことへの期待と、「次はどんなふうに広がっていくのだろう」という新しい展開を求める期待の両方があるからなのかもしれない。

 また、本人が実際に登場しなくても、過去に登場したその人物を彷彿とさせる場面もある。例えば、11月28日放送の第7話。かつて右京の相棒を務めた亀山(寺脇康文)とは何度もいがみ合っていた伊丹刑事(川原和久)が、第7話の事件に登場した亀を見て「特命係の亀」と意味深に呟くシーンがあった。「特命係の亀山!」と伊丹が亀山を冷やかしていた頃を思い出させるようで、懐かしさを感じた。同様に、第9話の終盤でも“サルウィン(架空の国名)にいる誰かの顔”というフレーズが出てきたが、これもまたサルウィンに飛び立った亀山を暗示するものだった。放送から何年経っても、右京や伊丹にとって亀山は今でも“特命係”の一員なのかもしれない。こうした演出もまた、歴史ある本シリーズだからできるファンへのサービスである。

 1月1日放送のスペシャルには、先ほど触れた及川光博に加え、鈴木杏樹、芦名星、榎木孝明、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二ら常連のキャストが出演するほか、大地真央、河井青葉、優希美青、西岡德馬らもゲストとして登場。世界的歌姫を巻き込む誘拐事件を、右京らが立ち向かう姿が描かれる。年明け後の風物詩的な放送になりつつある、『相棒』元日スペシャル。じっくりと2時間楽しみたい。(文=國重駿平)

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