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『後妻業』木村佳乃×木村多江、2度のケンカの後に見せた影の表情 宮本浩次「冬の花」が切なく響く

リアルサウンド

19/3/6(水) 6:00

 遺産相続目当てで資産家の老人を狙った結婚詐欺”後妻業”のエースで、オトコをたぶらかす天才・武内小夜子(木村佳乃)を主人公に描いたドラマ『後妻業』(カンテレ・フジテレビ系)。その第7話が3月5日に放送された。

 夫の不倫で失意のどん底に落ちた朋美(木村多江)。女としても小夜子に見下され、悔しさがこみ上げる朋美は、小夜子に勝ちたい一心で柏木(高橋克典)を「私と組みませんか?」と誘惑する。しかし、柏木は朋美に「もう関わるな」と釘をさす。その矢先、朋美は本多(伊原剛志)から、小夜子のターゲットだった笹島(麿赤兒)が亡くなったと聞く。笹島の死因から小夜子が殺したと確信した朋美は、本多と共に小夜子を呼び出す。呼び出された小夜子に、朋美の亡き父・耕造(泉谷しげる)の遺産の半分を支払うよう要求し、応じなければ裁判で争う覚悟があると脅す2人。しかし、小夜子は相変わらず飄々としていた。

 第7話では、視聴者の間でも話題となっているW木村のキャットファイトが2回も繰り広げられることになった。ケンカする2人の姿はとてもコミカルだ。しかし、思わず笑ってしまうようなシーンが挿入されるからこそ、小夜子と朋美それぞれが見せるシリアスな表情が生かされるとも言える。

 1回目のケンカシーンでは、本多と朋美に脅されているはずの小夜子が余裕綽々で替え歌を熱唱する。公式サイトによればW木村が見せるケンカシーンは2人のアドリブ合戦なのだという。小夜子は本多と朋美の関係を揶揄するような替え歌を歌う。小夜子にマイクを向けられ思わず朋美が歌ってしまうシーンでは、小夜子におちょくられているにも関わらず心地よさそうに歌を歌い、そのままノリツッコミをするという、漫才のような1シーンを見ることができる。本多にケンカを止められてもなお、強烈な変顔で朋美をおちょくり続ける小夜子。朋美のアゴがしゃくれるのも見逃せない。

 2回目のケンカシーンでは、柏木に「探偵は連れてこないように」と念を押され呼び出された朋美が、柏木の事務所にいる小夜子の姿を見て静かに怒りを見せるところからスタートする。小夜子がフーッとタバコの煙を朋美に吹きかけたのがきっかけで、ケンカはみるみるヒートアップ。朋美がマスクを常備していることについて「悪女のバイキン除けに常備してるの!」という台詞も木村多江のアドリブなのだろうか。

 なお、どちらのケンカも男性陣が止めたのが面白い。詐欺を働く柏木と企みを暴こうとする本多は似ても似つかないキャラクターなのだが、小夜子と朋美のケンカがヒートアップすると「うるさい!」と大声をあげてケンカを止める。場所は違えど「ここは喫茶店やぞ」「これは俺のオフィスや」と制止の仕方までもが一緒だ。

 この魅力的なアドリブ合戦があるからこそ、小夜子と朋美の心情に触れるシーンではシリアスな空気が際立つ。劇中盤、笹島を殺した犯人が小夜子ではなく通いの家政婦だったことが判明する。小夜子を脅す手立てがなくなった朋美に小夜子はぼそりと「殺してあげたいって思うたよ」と発する。”殺してあげたい”という台詞は恐ろしい響きでもあるのだが、お金はあっても孤独だった笹島に寄り添った小夜子の心情にあったのは、孤独から笹島を救おうとする気持ちのようにも見える。直前まで強烈な変顔も見せていた木村だが、笹島を想う小夜子の気持ちが伝わる伏し目がちな微笑みもまた印象的だ。

 朋美もまた、小夜子の前では自信のある表情を見せるが、夫・司郎(長谷川朝晴)の前では強気な表情を見せることができない。司郎は不倫が発覚した後の出張で、不倫相手を同行させている。2人の関係が修復不可能だと悟った朋美の「もう終わりにしよう」という言葉は虚しさに満ちていた。深々と頭を下げ、朋美の顔を見ようとしない司郎に対し、怒りや悔しさよりも、もう戻れないという現実を実感しているような木村多江の表情は悲しくも魅力的だ。

 コミカルなシーンでは潔いほどに面白く、シリアスなシーンでは小夜子と朋美がそれぞれに抱える悩みや不安がひしひしと感じられるよう演じ分ける木村佳乃と木村多江。視聴者の間では、宮本浩次が歌う主題歌「冬の花」が後妻業の世界観にマッチしていると評判だ。それは飄々とした表情を見せていたかと思えば、過去の夫たちを思い浮かべ表情に影を落とす小夜子が魅力的なことも要因だろう。次回から最終章に突入する。小夜子と柏木、朋美と本多に訪れる結末が気になるところだ。(片山香帆)

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