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でんぱ組.inc、夢眠ねむ卒業で示した過去・現在・未来の姿 驚きと涙と感動が詰まった武道館2日間

リアルサウンド

19/1/14(月) 16:00

 でんぱ組.incが、2019年最初のワンマンライブ『でんぱ組.inc コスモツアー 2019 in 日本武道館』を日本武道館2デイズで開催した。初日の1月6日は『ワレワレハデンパグミインクダ ~宇宙からの帰還~』、2日目の7日は『夢眠ねむ卒業公演 ~新たなる旅立ち~』と違うサブタイトルがつけられ、2日間それぞれ異なる内容のライブが展開された。2日目のタイトルにもあるように、今回のライブはでんぱ組を初期から支えてきたメンバー夢眠ねむの最後のステージでもあった。まさにアイドルの卒業ライブの歴史を更新する、素晴らしい晴れ舞台が繰り広げられた。

(関連:でんぱ組.inc 相沢梨紗&成瀬瑛美が語る、グループの成長とこれから「何かをつなげていける存在に」

 簡単に武道館2デイズまでの流れをおさらいしよう。でんぱ組.incは、2017年12月30日の大阪城ホール公演で鹿目凛、根本凪が新メンバーとして加わり7人編成となった。そこから宇宙に飛び出し、約1年間『コスモツアー』で様々なライブを経験。2019年1月1日元旦に、ニューアルバム『ワレワレハデンパグミインクダ』をリリースし、日本武道館2デイズライブにたどり着いたというのが本公演へのイントロダクションだ。

 まずは初日の公演の模様をお伝えしよう。オープニング映像で、メンバーを乗せたUFOが不時着し、ステージの幕が開くと巨大なUFOが出現。UFOが上昇すると、でんぱ組.incのメンバー7人が姿を現し「太陽系観察中生命体」を歌唱していく。強烈なインパクトの演出に、超満員の観客は早くも大熱狂。バックを固める演奏陣は、ホーン、ストリングスを加えた大所帯のでんでんビッグバンド。彼らは、複雑な楽曲を熱いサウンドで奏で、メンバーの歌とダンスをガッチリと支えていく。UFOに大所帯バンドというと、P-FUNKのParliamentやEarth, Wind & Fireといった音楽の系譜をつい連想してしまう。ユニティとピースとパーティを提供するグループは時空を超える、ということを実感した。

 初日は、新年一発目のライブらしく、「NEO JAPONISM」「ちゅるりちゅるりら」など和なフレイバーのお祭りチューンを披露し、めでたく2019年のスタートダッシュを彩る。本編ラストの「サクラあっぱれーしょん」で、夢眠はこの日しか来れないファンに大声で「バイバーイ!」とシャウトした。この1年間で培ってきた現在のでんぱ組.incの強さを、存分に見せるライブとなった。

 そして2日目は、夢眠のアイドル人生最後のライブの日であり、でんぱ組の新たな旅立ちの日。メンバー7人は、初日と同じくUFOから登場し「太陽系観察中生命体」でライブをスタートさせる。夢眠のイメージカラー、ミントグリーンに埋め尽くされた会場で、彼女は「今日の主役です!」と声を上げる。さらに夢眠は、強がっての「絶対泣かない!」宣言。

 この日のセットリストは、夢眠自身が「やりたい曲だけ集めました」と考案したもの。「ギラメタスでんぱスターズ」「VANDALISM」「バリ3共和国」と、ハードなぶちアゲチューンの連続で観客をヒートアップさせる。ある意味この激しさは、夢眠の全てを出し切る覚悟のようにも感じられた。「でんぱれーどJAPAN」の終わりは、普段、古川未鈴が一人立ち上がり片手を上げて締めるのだが、この日はその役割を夢眠が担った。その後、夢眠と古川が拳を交わし肩を組んで帰るという名シーンも飛び出した。

 ライブ中盤戦は、夢眠がでんぱ組.incの原点・ディアステージでの出来事を振り返る映像から、初期のでんぱ組.incクラシックのコーナーに突入。「わっほい?お祭り.inc」「ピコッピクッピカッて恋してよ」「電波圏外SAYONARA」、そしてCDデビュー曲「Kiss+kissでおわらない」を7人体制で歌唱した。

 そして、鹿目と根本の『教えて先輩』のコーナーで、根本が夢眠に「卒業ライブなので、メンバーひとりひとりに挨拶はしないんですか?」と聞くと、夢眠は「しない。言いたいことはパンフレットに書いたので。それよりも曲をやりたい」と回答。いわゆるアイドルグループの卒業式の常識を覆した。これまでも、アイドルとして新たな地平を切り開いてきたでんぱ組.incだけに、こうした型破りな感じはとても彼女たちらしいという印象を受けた。

 さて、基本アゲアゲで進むライブの中で歌われた、ミディアムポップな「くちづけキボンヌ」にはかなりグッと来るものがあった。「あした地球がこなごなになっても」では、古川が涙し大サビを歌えないという場面も見られた。

 しかし、このままで終わるでんぱ組.incではない。ライブ後半戦は、「FD3, DEMPA ROCKET GO!!」「キラキラチューン」と、さらなるアップチューンでたたみ込む。夢眠の卒業曲「エバーグリーン」が歌われると、まばゆいばかりのミントグリーンの光に武道館が包まれた。

 そしてMCで夢眠は、「私の最後のわがままを聞いて欲しいです。私のメンバーカラーのミントグリーンをもらって欲しい人がいます」と語り、その相手に根本を指名。根本は、でんぱ組加入以前から夢眠をリスペクトしてきただけに、夢眠からの頼みを「ハイ!」と大きな返事で快諾。ファンから大きな拍手が送られた。さらに夢眠は、「エバーグリーン」を、ファンがペンライトをグリーンに染める色曲としてこれからも歌い続けて欲しいとお願いすると、メンバーも笑顔で承諾した。

 夢眠ねむのスピリットを伝承したでんぱ組.incは、「でんでんぱっしょん」を力いっぱい歌唱。7色のリボンを使ったパフォーマンスをバッチリと決め、ライブ本編は終了となった。

 大“ねむきゅん!”コールが巻き起こる中、『ワレワレハデンパグミインクダ』のCDジャケット衣装のアルティメットセーラーでステージに戻ったメンバー7人は、アンコールで「絢爛マイユース」を歌唱。すると、大サビを歌う夢眠に、メンバーからのサプライズで大量の紙吹雪と花束とメッセージカードが渡される。

 号泣する夢眠に、古川は「すごいいい卒業式だけどさ、みんな心の中では寂しくてさ、ほんとはやだとか思うけどさ、こんなにいい卒業式を迎えられたのは、やっぱりきゅん(夢眠)さんだからだと思います。ほんとにでんぱ組.incになってくれてありがとう」と涙しながら語りかける。そして、大の人見知りで照れ屋な古川は周りに促されただ寄り添うだけという、古川未鈴式ハグを実践した。

 ここで夢眠は、ファンに向けて今の思いを語っていった。

「今日は泣かないと決めてたけど、やっぱりダメでした。でもこれは完全にうれし泣きです。改めて、アイドルになって、でんぱ組.incの一員になってほんとによかったと思ってます。みんながこれからも幸せになれますように。私は、みんなのおかげで幸せでした。ありがとうございました!」

 彼女の感謝の言葉に、温かい拍手で応える観客。続けて夢眠は、最後の曲振りをする。

「次の曲が、私のアイドル人生最後の曲になります。今日1日、やりたい曲ばかりを詰め込んできましたが、絶対にやりたい、一番大好きな曲にしました。この曲で、アイドル夢眠ねむを終わりにします」と語ると、「WWDBEST」が披露された。気合いたっぷりの歌とダンスで、全観客とともに熱い盛り上がりを作ったでんぱ組.inc。

 夢眠が「ほんとに幸せな卒業でした」と声をあげたあと、メンバーは手を繋ぎ生声で「ありがとうございました!」と挨拶。大きな拍手に包まれる中、メンバーはステージを後にした。

 だが、まだまだ会場の興奮はおさまらない。再びの大“ねむきゅん!”コールが勃発し、ダブルアンコールへとなだれ込む。すると、Tシャツに法被を着てペンライトを持った夢眠が「どうも、元でんぱ組.incの夢眠ねむです」とステージに登場。「めちゃいい卒業公演だったね。ほんとにオタクに恵まれてるよ」と語りつつ、いきなり苦言を呈す。「なんですけど~、みんな、めでたしめでたしみたいになってない? “オレはねむきゅんを見送れた”“オレ今日で、でんぱ組.inc見納めなんだ”って気持ちじゃない? しかも“ねむきゅんがいないでんぱ組見るの怖いから、ライブ行かんとこう”ってなってるでしょ。ダメよそんなんじゃー。私が一緒に見てあげるから。怖くないからみんな一緒に見ようね。あ、そろそろライブが始まる!」

 そして、6人がステージに登場し、「でんぱ組行くぞー!」の掛け声から「Future Diver」が披露される。メンバーの渾身のパフォーマンスを、夢眠はステージ左手でペンライトを振って笑顔で見つめるという、これからのグループの姿を武道館のステージ上で見せるという斬新すぎる演出だ。メンバーは「以上、“萌きゅんソング”を世界にお届け! でんぱ組.incでした!」の声でライブを締めくくりステージを去る。

 ひとり、舞台に残った夢眠は、「よかったねー。私、でんぱ組.incのライブ初めて見たの。めちゃ面白いね。これからもでんぱ組.incは続くし、みんな来るよね、現場。私も、行けるところは行きます。みんなライブ会場で会おうね。じゃまた、夢眠ねむでした!」と、にこやかにステージを降りた。

 自身のアイドル活動自体もアートの表現の一環と捉えていた夢眠ねむ。彼女の目線で言うと、「アイドル夢眠ねむとしての武道館卒業ライブ」という最後の作品を完成させたということになる。ほんとに、こんなにも驚きと涙と感動が詰まったライブはなかなかない。それくらいの衝撃があった。

 でんぱ組.incとしては、過去・現在・未来の姿をしっかりと見せつけた武道館2デイズと言ってよいだろう。それぞれ違ったカルチャー、ユニークな才能を持つメンバーが揃ったでんぱ組.incだけに、まだまだこれから面白い展開が巻き起こりそうな予感はたっぷり。鹿目、根本の新メンバーがさらに台頭してくれば、また新たなでんぱ組.incのスタイルが生まれるはずだ。本当に前向きな卒業式ライブ、そして様々な期待が高まる武道館公演だった。(土屋恵介)

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