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多様化する音楽オーディションの新潮流は? SNS時代の新機軸プロジェクト『Feat.』から考察

リアルサウンド

18/3/15(木) 16:00

 「ヒットが生まれにくい」と言われて久しい日本の音楽シーン。

 さまざまな音楽コンテンツやエンタメニュースが飛び交う今、レコード会社各社は、新たなヒット作品を作る次世代アーティストを見つける「オーディション」に注目している。

 現在、国内では歴史あるレーベルから、音楽サービスさらにはプロモーターまで多岐に渡る企業が、新人発掘とアーティスト支援を軸としたオーディション企画を多数展開している。その座組や選出方法も時代の変化に伴い多様化してきた。かつてのように狭義のインディーシーンから新人を見つけることだけに留まっていた時代はもはや過去のもの。現代オーディションの役割は、音楽性に加えて、独自性、表現力、カリスマ性を兼ね備えた若手アーティストの発掘から新たなメインストリームに直結するトレンドを創成することへと変革期を迎えている。

 昨今の取り組み例を挙げてみれば、形式や視点の広さに驚く。コロムビアレコードは、NTTドコモとレコチョク、タワーレコードが展開するアーティスト支援プロジェクト「Eggs」と共同でレコード契約と全国流通を前提とした25歳以下の新人発掘を開始。きゃりーぱみゅぱみゅや中田ヤスタカが所属するアソビシステムは、音楽だけでなくDJ、ダンサー、パフォーマーまで広域なアーティストを対象にしたオーディションを全国規模で敢行。LINEはLINE MUSICとLINE LIVE、LINE RECORDSを活用したLINEユーザーからのタレント発掘を実現し、青森県の高校生バンド「No title」のデビューを手掛ける。

 そんな中、今年に入りソニーミュージックは、アーティストのファンを軸にSNSの熱量や支持率、トレンドから新人発掘する、SNS時代の新しいオーディション『Feat.ソニーミュージックオーディション』を開始した。

 ソニーミュージックの『Feat.』の独自性はその審査基準にある。ファイナリストとして残ったアーティストやバンドは、TwitterやInstagram、YouTube、Yahoo!などSNSプラットフォームにおけるファンやリスナーからの人気の数値化によって競い合い、ソニーミュージック独自の音楽アルゴリズムを元に作られたランキング上で優勝を目指す。上位入賞するために必要なSNSでのトレンド作りに向けて、ソニーミュージックはファイナリストたちにワークショップやスタッフ、インフラ、予算を提供して、約半年かけてアーティストの音楽トレンド作りを共創する。アーティストのファンとなる潜在的リスナーの開拓からコアファン育成のためのマーケティング手法はレコード会社の強みの一つである。こうした企業ノウハウをデビュー前のアーティストたちと共有する試みは、レコード会社として類を見ない。

 また『Feat.』ではファイナリストたちの審査の模様を、週1回の動画コンテンツとしてGYAO!でネット配信する。MCにはお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の平井“ファラオ” 光、ファッションモデルのみちょぱ(池田美優)を迎え7月より番組化させ、アーティストたちのSNSでの露出を後押ししていく。アーティスト自らの情報発信だけでなく、ソニーミュージックの”オーディション番組”からアーティストをより良く知る機会を作り、彼らを支えてくれるファンベースを強めようとするオーディションの打ち出し方も新しい。

 SNSの影響力は作れるじゃないか? そう反論する方もいるはずだ。しかし現代の音楽シーンの基準を見れば、もはやSNSはリリース情報を投下するだけの場所ではないことは明白だ。SNS上での影響力は現代アーティストのアイデンティティにも通じる部分があり、時には発言や投稿がファンに絶大な感動を与え、新たな音楽のトレンドを生む可能性を秘めていることが現在の主流となっている事実を無視することはできない。

 さらに言えば、その影響力を発揮できるアーティストこそが現代のカリスマ的存在としてSNSでコアファンを集め、音楽のジャンルやエンタメの種類を問わず多数の人々にまでリーチできる。そして情報発信力が強いコアファンは、短期的なキャンペーンでも中長期的な創作活動でも、SNSでもリアルの世界でもアーティストの支えになる。この時代性に向き合い、音楽シーンにおけるSNSの価値を再評価したのが今回のソニーミュージックの『Feat.』最大の先見性だと言える。

 良質で新鮮な音楽のトレンドを作ることは、世界的に現代オーディションの基礎となっている。この潮流を作ったのは、2004年にイギリスで始まったオーディション番組『Xファクター』であることに間違いない。

 One Direction、Fifth Harmony、Little Mix、オリー・マーズ、ジェイムス・アーサー、JLSなど世界中のチャートやライブに影響を与える錚々たる国際派”新人”ポップスターを輩出してきた同番組は、それまで音楽業界に限定されていたオーディションの世界に、一般視聴者とマスメディア、SNSを巻き込むことで注目を浴び、それまでの新人発掘の概念を覆した音楽史上に残る歴史的な成功例だ。

 とりわけ、番組放送毎にオンエアされるライブパフォーマンスの審査基準を審査員だけでなく一般投票にまで拡大した投票システム、ファイナリストにフォーカスしたドキュメンタリータッチのストーリーテリングの要素は、デビュー以前からアーティストを応援したくなるファンとの繋がり開発として見事に機能している。こうした番組の取り組みは、SNSにトレンドとして表れ、音楽メディアはこぞってニュースとして取り上げるほど話題性を振りまくため、番組を卒業したアーティストたちは獲得した固定のファンに支えられ、その後の活動を続けることができるのだ。

 そういう意味で『Xファクター』が生み出したトレンド作りの考え方がソニーミュージックの『Feat.』から感じられ、今の時代性とシンクロしている。TwitterやInstagramが普及しつつある中、SNSから音楽のトレンドを作りファンベースに影響力を持つ新世代のアーティストを見つけ持続させることは、他のエンタメコンテンツと競わなければならない現代の音楽業界が抱える一つのチャレンジである。

 逆に、昨今のオーディションから人々に驚きや新しさ、感動をもたらす才能が見つけられれば、日本の音楽シーンはエンタメ市場において唯一の存在価値を発揮するに違いない。そのためにもSNSや動画配信、ストーリー型コンテンツ、リアルイベントなどあらゆる場所でファンの動きを可視化することは、オーディションの新潮流となるはずだ。『Feat.』から今後どのような音楽トレンドが生まれるのか、SNS時代の新しい新人発掘の形としてさまざまなヒントが見えてくるはずだ。

■ジェイ・コウガミ
デジタル音楽ブロガー。音楽ブログ「All Digital Music」編集長。ブロガーとして音楽サービスや音楽テクノロジーなど、日本のメディアでは紹介されない音楽の最新トレンドを幅広く分析し紹介する活動を行う。オンライン、雑誌に寄稿するほか、講演やテレビ、ラジオなどで活動。日本初ITx音楽のハッカソン「Music Hack Day Japan」審査員。オレゴン州ポートランド育ち。趣味はアナログレコード集め。http://jaykogami.com

■オーディション情報
『Feat.ソニーミュージックオーディション』
グランプリ賞品:「あなたの叶えたい夢への応援券」プレゼント
※ソニーミュージックで応援できること、もしくは300万円以内でできることに限る。
応募スケジュール:1月22日(月)12:00~4月16日(月)17:00
1次審査[書類審査]期間:2018年5月中旬までに通過者にのみメールにてご連絡
2次審査[対面審査]期間:2018年5月中旬~6月中旬 通過者にのみご連絡
ファイナル審査期間:2018年7月~10月
募集要項:音楽でトレンドを作れるアーティスト、バンド、グループなど
※性別不問、年齢不問、特定のレコード会社との所属契約がない方に限る。
応募方法:「Feat.ソニーミュージックオーディション」特設ページに掲載されている応募フォームに必要事項を入力
※WEBのみで受け付け。

オーディション特設ページ

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