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長谷川博己、これまでの朝ドラとはひと味違う魅力に 『まんぷく』萬平役で見せる“青い”20代

リアルサウンド

18/10/23(火) 6:00

 長谷川博己が、連続テレビ小説『まんぷく』(NHK)にて朝ドラ初出演を果たし、新ヒロイン・今井福子(安藤サクラ)の相手役を務めている。『わろてんか』で葵わかなの相手役を務めた松坂桃李、『半分、青い。』で永野芽郁の相手役を務めた佐藤健と、ヒロインもそうだが、その相手役にも若手俳優(両者ともまだ20代)が配されていたのに対し、長谷川は40代。ひと味違う大人の魅力で、ヒロインを導いてくれそうだ。

 これまでに長谷川は、映画『ラブ&ピース』(2015)や『家政婦のミタ』(2011年・日本テレビ系)といった話題作で頼りない男性を演じてきたが、本作で演じる立花萬平もまた頼りになる人物とは言い難い。情熱家であり、純粋で真面目な発明家だが、その純粋さや真面目さが、ときに裏目に出てしまうこともある。そして物語の設定上はまだ20代とあって、いまのところ“青い”印象も強いのだ。これを40歳を過ぎた長谷川は、清々しく演じている。

【写真】「それは福ちゃんが知らない萬平さんの顔でした」

 安藤演じる福子と共々、つかみどころのない浮世離れした感があり、彼らの姿が日本の朝に快活さを与えてくれる。舞台が戦中という、深刻な激動の時代であるのにもかかわらずだ。空回りしかねない一生懸命さはどこか憎めなく、それが愛嬌ともなっている。しかし、謂れのない罪を問われ拘束・拷問されるシーンでは、また新たな顔を垣間見せた。泥臭い、彼の生への執念である。それは福子への恋慕とも重なり、2人はついに結婚。どんな結婚生活を見せてくれるのか、楽しみである。

 『シン・ゴジラ』(2016)で日本映画界の錚々たるメンツの中心に立っていた姿も記憶に新しい、今やスター的な立ち位置にある長谷川だが、知る人ぞ知る舞台出身の演技者だ。彼がもともと所属していた文学座には、杉村春子、岸田今日子、山崎努、橋爪功、さらには、樹木希林などが所属していた。いずれも映画史・演劇史に名を刻む者たちであり、その功績は日本国内にとどまらない。ここで長谷川は演技の基礎を会得し、退所してからは蜷川幸雄をはじめとする演出家たちに重宝され多くの舞台を踏み、徐々に映画・ドラマといった映像の世界に活動の場を移していった。

 映画・ドラマ・演劇と、それぞれの垣根はなくなってきているようにも思えるが、演劇の場合は演者と観客の間に距離があり、映像以上に“より分かりやすく”、“より伝わる”演技を求められることが多い。幅広い世代をターゲットとした朝ドラは、この“より伝わる”演技を強く求められている印象がある。ほかのドラマ作品などと見比べてみると分かりやすいだろう。本作では、先に述べた橋爪や、歌舞伎役者の片岡愛之助らが主要ポジションで脇を固めているのも印象深い。そして朝ドラといえば“若手俳優の”登竜門的なイメージがあるが、そんな道をたどってきた長谷川がヒロインの相手役という大役を務めているというのは、安藤が朝ドラ史上初の「ママさんヒロイン」であることも含め、これまでの朝ドラから一新させていきそうな予感もある。

 さて、前作『半分、青い。』では、佐藤健が10代の高校生からアラフォー男性までを演じきったように、一人ひとりの俳優が、一人のキャラクターの年齢を幅広く演じるのも朝ドラの魅力の一つだ。しかしやはり最もしっくりくるのは、演じるキャラクターの年齢が演者の実年齢と近いときだろう。今作で長谷川は、自身の実年齢より下の、20代の萬平からのスタートだが、やがて萬平が長谷川の実年齢に追いつき、さらにはそれを超えていく。長谷川演じる萬平が、これからどんな年齢の重ね方をするのか大いに楽しみである。ここもまた、これまでの朝ドラとはひと味違う魅力となるに違いない。

(折田侑駿)

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