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ラストアイドル「好きで好きでしょうがない」“激情型”楽曲のインパクト MVストーリーとともに考察

リアルサウンド

18/7/28(土) 10:00

 ラストアイドルの通算3作目となるニューシングル『好きで好きでしょうがない』が8月1日にリリースされる。昨年8月にテレビ朝日系でスタートしたサバイバルオーディション番組『ラストアイドル』から誕生したラストアイドルは、暫定メンバが毎回挑戦者の指名により1対1のバトルを繰り広げ、メンバー交代などを繰り返し勝ち残った7名が秋元康プロデュースのもと同年12月に『バンドワゴン』でメジャーデビューを飾った(参照:ラストアイドルが語る、デビューにかける思い 「覚悟とか受け入れる強さが全然違う」)。

 今年1月からスタートした2ndシーズンでは番組から誕生した派生グループ(セカンドユニット)を含む5組(ラストアイドル、Good Tears、シュークリームロケッツ、Someday Somewhere、Love Cocchi)が、それぞれ秋元康、織田哲郎、小室哲哉、指原莉乃、つんく♂をプロデューサーに迎えシングル表題曲歌唱を競い、シュークリームロケッツが見事勝利。同グループが歌う「君のAchoo!」を表題曲に据えた2ndシングルも4月に発売され、反響を呼んだ。また、現在は、ラストアイドルと呼ばれていたグループがLaLuceに改名。今年6月には吉崎綾と古賀哉子(以上、LaLuce)、王林(Good Tears)が各グループを卒業し、現在は5組総勢22名を指して“ラストアイドルファミリー”と呼んでいる。

 なお、番組『ラストアイドル』はこの春から3rdシーズンに突入しており、新たに募った第2期生12名にて再び挑戦者とのバトルを行っている。と同時に、第1期生にあたる22名のメンバーはAbemaTVにて、プロデューサーバトル第2弾を実施中。今回は秋元、指原、つんく♂、さらに後藤次利、近田春夫をプロデューサーに迎え、今もまさに総当たり戦を繰り返している最中だ。

 簡単だが、以上がラストアイドルと呼ばれるアイドルのプロフィールとなる。このように、ラストアイドルは参加者(グループ)がそれぞれの個性を磨きながら、日々バトルを続けてアイドルとしての輝きを手に入れていく、ある種現代における“究極のアイドルグループ”と言えるだろう。

 しかし、今回の3rdシングルではその様相が一転。AbemaTVでのバトルは一旦置いておき、表題曲をラストアイドルファミリー22名で歌唱している。さらに、カップリングには5組のメンバーをシャッフルした新ユニットによる楽曲も収録されており、まるで番組開始1周年を祝うかのような“お祭り”的なシングルに仕上げられている。

 22名で歌われる表題曲「好きで好きでしょうがない」は、しっとりとした序盤とエモーショナルなサビとの対比が際立つ、彼女たちの原点である「バンドワゴン」にも通ずるものがある1曲。オープニングでピアノ&ストリングスが奏でる切ないメロディは、まさにあの路線を踏襲したものと言える。かと思えば、そこから〈好きだ〉を連呼するサビ始まりの歌い出しは“激情型”と呼ぶにふさわしいストレートなもので、番組でのバトルを通じて喜怒哀楽をあらわにしてきた彼女たちにぴったりではないだろうか。

 1曲を通して、歌詞中に登場する〈好きだ〉は80回、さらに〈ごめん〉も26回と、サビの歌詞はシンプルなワードをひたすら連呼するだけだが、一聴すれば耳に残る強いものがあり、気づけばクセになってしまう。だからこそ、AメロやBメロでの状況説明的な掛け合いが、より耳に残るのかもしれない。

 リリースに先駆けて、7月上旬には「好きで好きでしょうがない」のMVが早くもYouTubeで公開された。同作を手がけたのは、映画監督の山戸結希。彼女はこれまでに乃木坂46「ハルジオンが咲く頃」「ごめんね ずっと…」、NGT48「世界はどこまで青空なのか?」などアイドルグループのMVも少なからず手がけており、登場人物の“今この一瞬を生きる”さまが印象的なセリフとともに綴られた、独創的な作品を世に送り出してきた。

 今回の「好きで好きでしょうがない」もその系譜にあるもので、MVは冒頭のストーリーパート含めセンターの間島和奏(Someday Somewhere)と、その両サイドを固める阿部菜々実(LaLuce)、長月翠(LaLuce&シュークリームロケッツ)を中心に展開する。間島はこのMVについて「各5ユニットをそれぞれ高校に見立てて、みんなで合同社会科見学に参加するという設定です。その受験に際しての関係性と私たちのアイドルとしての仲間であってライバルである関係性が絶妙に重なっている作品になっています」と説明しており、番組を1stシーズンから観てきた者には感慨深いストーリー/内容と言える。

 最初の暫定メンバーでセンターを務めてきた間島と、同じく初期暫定メンバーから一度は敗退し、その後敗者復活戦で再び元の位置に返り咲いた長月。そして、その暫定メンバーのセンターの座を間島から奪った阿部。今はそれぞれ異なる場所で生きる3人が再び交わることで生まれる憧れや嫉妬。この感情は個々のメンバーだけでなく、グループ間の関係性にもそのまま当てはまり、最初のラストアイドル(現在のLaLuce)に入ることができず、苦渋を味わいながらセカンドユニットへと移行した者たちの複雑な感情も表現されている。

 こういったラストアイドルの歴史がそのまま凝縮されたストーリーを、“激情型”楽曲がさらに盛り上げる。そして、サビに登場する〈好きだ〉は単なるストレートな感情表現ではなく、こういったさまざまな気持ちが含まれていることが映像を通して伝わってくるのだから興味深い。中でも2番Bメロから2分半にわたる、ワンカットによる長回しの場面はこのMVの真骨頂と言えるもので、間島、阿部、長月の感情が一気に爆発。このパートのクライマックスでは〈君がそこにいたから 僕は叫びたかった 大切にしていた その一言が 全てだ〉と歌われ、そこから〈好きだ〉と連呼するサビに戻る。これこそまさにこの曲、このMVのキモと言えるパートではないだろうか。

 現在進行形のバトルがありながらも、こうして22名でひとつのドラマチックな作品を作り上げたラストアイドル。まるで初心を振り返るかのような物語を含む「好きで好きでしょうがない」という楽曲を経て、2年目を迎えた彼女たちがどうなっていくのか。番組などを通じて、その過程を見守っていきたい。(西廣智一)

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