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amazarashi、『さよならごっこ』で提示する新たな表情 楽曲に滲む“受け止める”側の優しさ

リアルサウンド

19/2/13(水) 20:00

 amazarashiによる2019年最初のリリースは、手塚治虫原作のアニメ『どろろ』(TOKYO MXほか)のエンディングテーマ「さよならごっこ」を表題曲とした3曲入りのシングル。カップリングには新曲「アイザック」、歌詞をスクリーンに表示するスピーカー「Lyric Speaker Canvas」のコラボレーションソング「それを言葉という」の2曲が収録されており、加えて、初回生産限定盤には「さよならごっこ」のアコースティックバージョン、「どろろ盤」と称される、アートワークに『どろろ』のアニメイラストが描かれた期間生産限定盤には「さよならごっこ」のTVエディットバージョンが、それぞれ4曲目に収録されている。

 「さよならごっこ」は『どろろ』のために書き下ろされた楽曲で、魔物に体を奪われた状態でこの世に生まれ、忌み子として川に流された過去を持ち、成長してからは自らの体を取り戻すために妖怪と闘いながら旅をする百鬼丸と、彼と共に旅をする幼い盗賊、どろろという、2人の主人公の旅路を、どろろの視点から描いた曲になっている。秋田ひろむは、この「さよならごっこ」に関して以下のコメントを発表している。

友愛のような恋愛のような、家族愛のようなどろろの暖かい視点から、
百鬼丸の深淵に触れようと試みる歌です。
そして宿命を背負いながらそれでも尚歩みを止めない人達の為の歌です。
(オフィシャルサイトのコメントより抜粋)

 秋田自身が「暖かい視点」と語るように、この「さよならごっこ」が優しさや穏やかさを滲ませる楽曲になっているのは、“叫ぶ者”の視点ではなく、その叫びを“支え、受け止める者”の視点によって書かれているからだろう。

おどけて笑うのは この道が暗いから
明かりを灯すのに 僕がいるでしょう
(「さよならごっこ」)

 それが友情なのか、愛情なのか、あるいは、それらを混ぜ合わせた何かなのか。明確に定義づけることのできない2人の関係性において、異形の体と壮絶なさだめを持つ百鬼丸ではなく、彼を見つめ、受け止め、そして行く道を照らそうとするどろろの温かさにフォーカスを当てたという点が、とてもamazarashiらしく、秋田ひろむらしい、と思う。そしてまた、それが単なる“どろろの気持ちを綴った歌”ではなく、あくまで“どろろの視点から百鬼丸を描いた歌”になっているところも、とてもamazarashiらしく、秋田らしい表現方法である。そこからは、ある1人の個人を主体的に描くのではなく、他者との“関係性”を描くからこそ浮かび上がる人の本質がある、というこの曲における秋田ひろむの意図を推測することができる。

amazarashi 『さよならごっこ』Short Music Video / TVアニメ「どろろ」エンディング・テーマ

 もしも、赤ん坊のように全身全霊をかけて声にならない声で泣き叫ぶことで、この世界に自分の感情のすべてを伝えることができたら、どれほど気が楽だろうか。その泣き声から意味を組み取ってくれる母親のような存在が常に自分のそばにいてくれたら、どれほど安心感に包まれた人生を送ることができるだろうか。そう妄想することはいくらでも可能だが、しかし、実際の人生とは、そういうものではない。人は成長するにしたがって、かつては泣き声だったものを“言葉”という形に整えることによって、自らの気持ちを他者に伝えるための手段を獲得していく。たとえそれが、自分の気持ちの100パーセントを相手に伝えることができなくても。誤解や勘違いを与える危険性があっても。あるいは、その言葉の中に、自分の真意とは違う“嘘”が少なからず存在することを自覚していても。それでもなお、人は“言葉”を通して、他者に自分の気持ちを伝えるしかない。そうでなければ、人と人との関係性において成り立つ現実社会を生きていくことはできないし、母親のように泣き声から自分の意図を汲み取り、甲斐甲斐しく世話してくれる存在が、自分のそばにずっといてくれるわけではない。

 だからこそ、amazarashiは、秋田ひろむは、“伝える”ということに全身全霊を注ぎ、“伝わる“ということになによりの喜びを感じ、そしてそのために、音楽を構成する要素の中でも、特に“言葉”に重きを置き続けてきたのだろうと思う。このシングルの3曲目に収録される「それを言葉という」では、そうした秋田の「言葉」に対する想いが明確に綴られている。

「言葉にすればたやすくて」って言葉にしなきゃ分かんねぇよ
君は伝えることを諦めてはだめだ それを届けて
(「それを言葉という」)

 “伝わる”ということの重み。“伝わらなければ意味がない”という覚悟。それらを常に感じ続けてきたからこそ、amazarashiの音楽には圧倒的な濃度の言葉が連なってきた。そして、そうした観点から改めて「さよならごっこ」を聴いたときに、秋田ひろむは『どろろ』という作品を通して、誰もが赤子のように泣き叫ぶだけでは生きていくことのできないこの世界で、“伝える”者の切実さだけではなく、“受け止める”者が存在することの喜びを描こうとしたのではないか、と思えてくるのだ。そしてまた、『どろろ』において百鬼丸を受け止めようとする者が、友人とも、恋人とも、家族とも明確に定義づけることのできない、どろろという他者であることに、秋田は大きな意味を感じ取ったのではないか、とも思う。

 もちろん「さよならごっこ」には、“受け止めよう”とするからこそわかる、人と人とが完璧に“ひとつ”になることはできないという悲しみも強く滲んでいる。しかし、それでもなお、この曲が生み出す切なくも暖かなフィーリングを感じ、そして「それを言葉という」の〈君は伝える事を諦めてはだめだ〉という聴き手に強く訴えかけるような言葉を聴くと、amazarashiの表現に“伝える”側の切実さや切迫感だけでなく、“受け止める”側としての優しさが明確に滲み始めていることを感じる。そして、この“受け止める者”としての穏やかさと優しさは、昨年の武道館公演を経て1つの季節を終えたamazarashiが、この先、世界に提示する新しい表情なのかもしれないと勘繰ってしまうのだ。

■天野史彬(あまのふみあき)
1987年生まれのライター。東京都在住。雑誌編集を経て、2012年よりフリーランスでの活動を開始。音楽関係の記事を中心に多方面で執筆中。Twitter

■リリース情報
amazarashi『さよならごっこ』
2019年2月13日(水)発売
※さよならごっこ:TVアニメ『どろろ』エンディング・テーマ
※それを言葉という:Lyric speacker コラボレーションソング
「さよならごっこ」先行ダウンロード配信
※1月30日 0時より順次配信開始
初回生産限定盤[CD+DVD]
※蓄光仕様三方背BOX
¥2,600+税
<CD収録曲>
1.さよならごっこ
2.アイザック
3.それを言葉という
4.さよならごっこ -acoustic ver.-

<DVD収録内容>
amazarashi Live Tour 2018「地方都市のメメント・モリ」at Nakano Sunplaza 6.22
1.ワードプロセッサー
2.空洞空洞
3.フィロソフィー
4.この街で生きている
5.たられば
6.リタ
7.バケモノ
8.ムカデ
9.水槽
10.ぼくら対せかい
11.多数決
12.MC~悲しみ一つも残さないで
13.スターライト

通常盤[CD]¥1,200+税
<収録曲>
1.さよならごっこ
2.アイザック
3.それを言葉という

期間生産限定盤盤(どろろ盤)[CD] ※蓄光仕様三方背BOX
¥1,300+税
<収録曲>
1.さよならごっこ
2.アイザック
3.それを言葉という
4.さよならごっこ -TV edit.-

先着購入者特典:蓄光ロゴステッカー
2月13日発売、amazarashiニューシングル『さよならごっこ』(AICL-3630/31、AICL- 3632、AICL-3633)を下記対象店舗にて購入者に、先着でオリジナルステッカー(絵柄別/全4種) をプレゼント。

TOWER RECORDS全店(オンライン含む/一部店舗除く):オリジナ ルステッカー(A)
TSUTAYA RECORDS(一部店舗除く)/ TSUTAYAオンラインショッピング(予約のみ):オリジナルステッカー(B)
Amazon.co.jp:オリジナルステッカー(C)
応援店:オリジナルステッカー(D)※対象店舗一覧はこちら

■ライブ情報
『amazarashi Live Tour 2019』
前売¥5,800(ドリンク代別)/ 当日¥6,800(ドリンク代別)
※5月1日愛媛、5月12日熊本、5月18日新潟、5月19日石川、5月25日青森、5月31日広島、6月21日東京、6月29日京都はドリンク代なし

2019年4月29日(月・祝)大阪・Zepp Osaka Bayside
問い合わせ  キョードーインフォメーション 0570-200-888

2019年5月1日(水)愛媛・松山コミュニティセンター
問い合わせ  デューク松山  089-947-3535

2019年5月6日(月・祝)東京・Zepp DiverCity Tokyo
問い合わせ  ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999

2019年5月11日(土)福岡・Zepp Fukuoka
問い合わせ  キョードー西日本  0570-09-2424

2019年5月12日(日)熊本・熊本県立劇場演劇ホール
問い合わせ  キョードー西日本  0570-09-2424

2019年5月18日(土)新潟・新潟テルサ
問い合わせ  FOB新潟  025-229-5000

2019年5月19日(日)石川・本多の森ホール
問い合わせ  FOB金沢  076-232-2424

2019年5月25日(土)青森・リンクモア平安閣市民ホール
問い合わせ  キョードー東北  022-217-7788

2019年5月26日(日)宮城・SENDAI GIGS
問い合わせ  キョードー東北  022-217-7788

2019年5月31日(金)広島・上野学園ホール
問い合わせ  夢番地 広島  082-249-3571

2019年6月2日(日)愛知・Zepp Nagoya
問い合わせ  サンデーフォークプロモーション  052-320-9100

2019年6月21日(金)東京・NHKホール
問い合わせ  ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999

2019年6月23日(日)北海道・Zepp Sapporo
問い合わせ  ウエス  011-614-9999

2019年6月29日(土)京都・ロームシアター京都 サウスホール
問い合わせ  キョードーインフォメーション  0570-200-888

一般チケット発売日:2019年1月19日(土)
※公演当日は、コンサート収録を行い、客席がカメラに写り込む可能性あり。

■関連リンク
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LINE ID:@amazarashi
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