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いま、最高の一本に出会える

Aimer、“生まれ持った声で勝負できる”シンガーとしての強さ 2枚同時発売アルバムがチャートイン

リアルサウンド

19/4/20(土) 8:00

参考:2019年4月22日付週間アルバムランキング(2019年4月8日~2019年4月14日)

 先週、約4.2万枚のセールスで2週連続1位に輝いたback number『MAGIC』が4位に。パッと売れてトップ10圏外になる作品が多いなか、今週も2.3万枚セールス、トータル23.1万枚というのは驚くべき数字です。

(関連:Aimer、さユり、清原果耶……野田洋次郎、提供曲から感じる歌い手への“愛情とリスペクト”

 いまやドームツアーが全箇所ソールドアウトする大人気バンドなので当然といえば当然ですが、back numberのファンは若年層が中心と言われてきました。だからCDパッケージがしっかり売れだしたのは逆に新鮮。ドラマ主題歌などでより幅広い層に歌が届き、「アルバムはやっぱりCDで買いたい」と思う人々が店舗に足を運ぶようになった、と考えるべきでしょう。

 そして面白いのは、売れるポップス、万人に愛されるバラードを量産しながら、そのプレッシャーに直面する苦しみについて彼らがちゃんと歌にしているところ。『MAGIC』は心の悲鳴を綴ったようなロックナンバーから幕を開けるのですが、出口のない精神世界をさまよっているイメージは、なんとなくMr.Childrenの『深海』(1996年発売)を彷彿とさせます。要するに、ここが分岐点。この作品を超えて、本当に揺るぎない国民的バンドとなったback numberが出てくるんじゃないでしょうか。

 そして今週、2枚同時発売の『Penny Rain』『Sun Dance』を2位と3位にランクインさせたのがAimerです。最近SNSで「あいみょんのファンをAimerと呼ぶのかと思っていた」なんていう声を拾い思わず笑いましたが、“あいまー”ではなく“エメ”と呼びます、念のため。

 Aimerのデビューは2011年。当初は顔もプロフィールも非公開の謎めいた存在であり、繊細な歌声だけが時間をかけてゆっくり浸透していきました。ようやく『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)で生のパフォーマンスを披露したのは2016年。そこから初のベストや初の日本武道館ワンマンを経て、今年発表したシングル『I beg you/花びらたちのマーチ/Sailing』は自身初のオリコン週間ランキング1位を獲得。要するに、長い時間をかけて育成され、今まさに満開の花を咲かせているシンガーといえるでしょう。2枚同時発売のニューアルバムも、ともに3.7万枚、3.6万枚という立派なセールスを叩き出しています。

 それにしてもAimer、聴くたびに印象が変わる不思議なシンガーです。幻想的な天使のようであり、震えている可憐な少女のようだと思えば、ふいに大人びた妖艶さも感じさせる。ビョークやミシェル・ブランチと比較することもできるし、Salyuや手嶌葵くらい孤高だと感じる瞬間もある。平たくいうと“生まれ持った声だけで勝負できる”タイプの歌うたいですね。

 だからこそ、楽曲提供者も毎回大胆な挑戦ができるわけで。サウンドは驚くほど変幻自在。シンプルなバラード、爽やかなポップス、エレクトロニカやダンスミュージック、ごりごりのヘヴィロックまで、彼女の声はぴたりとハマります。さきほど話に出したシングルの「I beg you」はアルバム『Penny Rain』に収録されていますが、これはオリエンタル調のダンスロックとでもいうのか、ともかく難易度の高い、Jポップとは思えない不穏さを孕んだナンバー。この曲が実質的な1曲目になっているあたり、もうイケイケというか、怖いものなしの強気を感じさせますね。Aimerの“旬”が来た。そう言っていいと思います。(石井恵梨子)

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