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JP THE WAVYからKOHH、SKY-HI、SALUまで 日韓ラッパーのコラボが活発化

リアルサウンド

19/1/25(金) 8:00

 1月11日、JP THE WAVYが韓国のラッパー・Sik-Kを客演に迎えた新曲「Just A Lil Bit」のミュージックビデオを公開した。普段はトラップビートの多いJP THE WAVYが、今回はSik-Kのスタイルに寄せたメロウチューンでこれまでとはまた違った味わいを見せている。まさにお互いの国で旬の位置づけにいるラッパー同士のコラボということで、ヒップホップファンの間ではすでに話題の的だ。

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 トラックを手掛けたのは日本人プロデューサーのJIGG。Sik-Kお得意のメロディアスなシンギングラップが心地いいメロウチューンに仕上がっており、初めはてっきりSik-Kサイドのプロデューサーが作ったのかと思ったほどだ。しかし全面的に韓国サイドに寄せているかというと、そういうわけでもない。日本語の発音とリズムに合ったメロディラインが引かれ、何よりもSik-Kが日本語ラップを披露している。バイリンガルラッパーであるかのように日本語と韓国語を行ったり来たりする手法は斬新だ。両者のスタイルや言語をうまくミックスさせたトラックからは、お互いに対するリスペクトが伝わってくる。

 自身を“ネオギャル男”と称するJP THE WAVYは、“踊れるラッパー”としても知られている。2017年に「Cho Wavy De Gomenne」がバイラルヒットして一躍有名になった。SALUをフィーチャーした同曲のリミックスは、YouTubeでの再生回数が930万回に到達(2019年1月21日現在)。一方、Sik-Kもまた、出す曲ごとに膨大な再生回数を稼ぎ出す人気ラッパーだ。昨年アメリカ進出を果たしたJay Park率いる<H1GHR Music Records>に所属し、アメリカのメインストリームに追従した甘美なビートとシンギングラップ、そしてセクシーなルックスを武器に多くの女性ファンを魅了している。

 実はこの「Just A Lil Bit」は2年前に完成していたそうだが、そうは思えないほど新鮮に響く。両国で大きな注目を集める新鋭同士のコラボレーションだけに、これからまだまだ幅広いリスナー層に広がっていくことが期待できる。

 ところでここ数年、日韓ヒップホップアーティストによるコラボがかなり活発になっていることはご存知だろうか。その最も象徴的となる曲といえば、2015年元日にリリースされた「It G Ma」で間違いないだろう。日本からKOHHとLoota、韓国からKeith Ape(キース・エイプ)、Okasian(オケイション)、JayAllDay(ジェイ・オールデイ)が参加した同トラックは、ミュージックビデオがアメリカを中心に大ブレイク。これをきっかけにKeith Apeは活動拠点をアメリカに移し、以降ワールドワイドに活躍している。

 同年にはJay Park(パク・ジェボム)率いるもうひとつのレーベル<AOMG>に所属するUgly Duck、そして「It G Ma」の公開元となった<Hi-Lite Records>に所属するReddyが「ASIA」という曲でJJJと共演した。さらにその翌年にはKOHHとOkasianがコラボ第2弾として「Save Time」を発表。KOHHはこのほかにも韓国人プロデューサーとのコラボや来韓ライブなど韓国での活動を展開している。その甲斐あって韓国のヒップホップファンにおけるKOHHの注目度は、今や日本のそれよりも高いのではないかと思えるほどだ。ちなみにLootaも今月、「It G Ma」以来4年ぶりに日韓コラボ曲を発表した。mojomossomenという韓国人ラッパーのトラック「MIDDLEMAN」でフィーチャリングされている。

 2018年にはさらに多くの日韓コラボラップが発表された。まずはSKY-HIとReddyによる「I Think, I Sing, I Say」と「Stand by You」、そしてSALUとJa Mezz(ジャ・メズ)の「Pink is the New Black」、同じくSALUとPaloalto(パロアルト)による「Two Dawgz and The Ape」(TeddyLoidプロデュース)、そしてSKY-HIとHUNGER(GAGLE)、Ja Mezzによる「Name Tag – Remix」などだ。実はこれらの楽曲は本稿の筆者である私、鳥居咲子が制作に関与しているためここで紹介するのは躊躇したのだが、今の日韓コラボの活発さを知らせる上で欠かせないのでご容赦いただきたい。

 同じアーティストの名前が並んだのは半分偶然だが、半分必然だ。最初は1曲だけのコラボレーションだった予定が、その楽しさを覚えて第2弾、第3弾と続いていったのである。これは恐らくKOHHやLootaも同じだったのではないだろうか。お互いの言語でラップすることは、ラッパーとしてとてもチャレンジングであり興味深いことだ。お互いの国のシーンについて語り合い、異なる文化に触れ、言語によるフロウの違いや制作手順の違いなどを肌で感じることはかなり刺激になる。

 2018年にはこれ以外にもEPIK HIGHとSEKAI NO OWARIのコラボシングル「Sleeping Beauty」、それからEKが参加した宇多田ヒカルのトラック「Too Proud featuring XZT, Suboi, EK (L1 Remix)」などがリリースされた。この1年でどれだけ日韓ラッパーのコラボレーションが活発化しているかお分かりいただけるだろう。

 ちなみに冒頭で取り上げたSik-Kも日本人とのコラボレーション楽曲を1曲リリースしている。LAで活躍する日本人プロデューサー・starRoのトラック「HANG OVER」のリミックスに鋼田テフロン、ROMderfulと共にフィーチャリングされたのだ。同曲のオリジナルバージョンを聴いたSik-Kが衝撃を受け、コラボが実現したという。

 以上のように、明らかにお互いの国のラップシーンを強く意識し始めた日本と韓国。今年はどんなコラボを繰り広げていくのか楽しみである。制作者としても多くのトラックに 携わることができれば幸いだが、単純に1人のライターとしても驚くようなコラボが登場することを期待したい。(鳥居咲子)

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