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けものフレンズ2、五等分の花嫁……“歌声での芝居”を存分に味わえるキャラソン主題歌

リアルサウンド

19/1/26(土) 10:00

 アニメソングには、アニソンシンガーや声優がアーティストとして担当するもの以外にも、キャラソン主題歌というジャンルが存在する。『マクロス』シリーズなどで昔から存在はしていたジャンルだが、特に2000年代中盤に『魔法先生ネギま!』オープニング「ハッピー☆マテリアル」や『らき☆すた』オープニング「もってけ!セーラーふく」などの数々のヒットソングが登場したことでいちジャンルとして確立。今日に至るまで、各クールごとに多数のキャラソン主題歌が誕生し続けている。そこで本稿では、2019年冬アニメのキャラソン主題歌の中から注目株を、楽曲自体の魅力はもちろんキャラクターソングならではの魅力なども踏まえつつ、ご紹介していきたい。

参考:A応P、8人での初ツアーファイナル公演で見せた圧倒的な個性と絆の力

■「乗ってけ!ジャパリビート」どうぶつビスケッツ×PPP(『けものフレンズ2』オープニングテーマ)

 ウルトラヒットを飛ばした1期オープニングテーマ「ようこそジャパリパークへ」からはや2年。歌い手・作家ともに同作と同じ座組で生み出された本作は、各フレンズのセリフも散りばめられた、ミュージカルのような雰囲気のナンバーに。賑やかなブラスに小気味いいベースの響き、さらにはビブラフォンや軽快なピアノが華やかなステージを連想させる楽曲となっており、赤いカーテンの前で歌うシーンも盛り込まれたオープニング映像にもピッタリだ。ちなみにこの曲、実は歌ってみようとすると意外と難しい曲でもある。その一因が、楽曲中随所に顔を出す三連符である。しかもAメロソロでの細かく二連続で登場したり、サビ冒頭のロングトーン開けの難しいタイミングで登場したりと、その用いられ方も独特だ。これをひょいっと乗り越えられているところに、フレンズならではの軽やかな身のこなしを連想したのは、筆者だけ?

■「気ままな天使たち」わたてん☆5(『私に天使が舞い降りた!』オープニングテーマ)

 エレキギターが映えるポップチューンであり、小気味良いクラップ音が楽曲の随所でフィーチャーされたハッピーなナンバー。楽曲冒頭のコーラス部分をはじめユニゾンの歌声がとにかくたまらなくキュートで、1週間頑張ってこの30分を迎えた視聴者へのご褒美の幕開けを“天使”5人が告げるようなものに。その中で注目すべきは、“小学生キャラ5人が歌う”という設定を大事に、難しい言葉や言い回しが多用されていない点。そうすることで作品・キャラクターと楽曲との距離をより密接なものにしており、そのキャラソン主題歌ならではの魅力を非常に忠実に守り、生かした1曲になっているのだ。

■「翼を持つ者たち」コトブキ飛行隊(『荒野のコトブキ飛行隊』エンディングテーマ)

 迫力ある空戦が描かれる本編のあと、夕焼け空をバックに流れるのはアコースティックギターのイントロから始まる穏やかな楽曲。戦い続きの日々の合間、ふとセンチメンタルな感情に襲われた瞬間の心情を切り取ったようなナンバーとなっている。サウンド感に沿ってサビでは6人全員がきれいに声を重ねてユニゾンしているが、それとは対照的にソロパートで個性の際立つキャラクターも。特にAメロの最初にソロを担当する主人公・キリエ(CV.鈴代紗弓)は、切り込み隊長的に元気いっぱい。戦場でしばしばスタンドプレーをしてしまう彼女らしさを歌い方だけではなくパート割からも感じられる点は、作品ファンのみならずキャラソン好きとしてもうれしさを感じたり、唸らされるポイントなのではないだろうか。

■「えんどろ~る!」勇者パーティー(『えんどろ~!』オープニングテーマ)

 華々しいオーケストレーションのイントロや、シンプルにホンキートンクピアノが明るく響くAメロなど、サウンド要素のどれもこれもがファンタジーRPGのような世界の幕開けにドンピシャなナンバー。キャラソン成分よりも主題歌としての色合いが濃いめではあるが、4人ともしっかりキャラクターとしての歌声で、物語の幕開けを飾ってくれている。楽曲の構成自体は変に奇をてらいすぎずに聴きやすいもの。刺激を求める人にはもしかしたら物足りない部分もあるかもしれないが、“ファンタジー世界を舞台にした日常系”という本編の作風を考えれば、その選択に誤りはないように思う。その聴きやすさとはじまり感の強さもあって、ちょっと気分が乗らない日に出発前に聴いて、自分の1日という物語を始めてみるのもオススメだ。

■「五等分の気持ち」中野家の五つ子(『五等分の花嫁』オープニングテーマ)

 ラブコメ作品である本編とのマッチングもバッチリな、音が軽めのぱたぱたとしたポップナンバー。Aメロのソロでは、五姉妹それぞれの表情までしっかり想像できるレベルで個性を提示している。それは楽曲自体もさることながら、魅せ方・聴かせ方の巧いキャストが揃ったことも大きい。なかでも、三玖役・伊藤美来は個人でのアーティスト活動(※今期も『上野さんは不器用』オープニングテーマ「閃きハートビート」をリリース)でみせるキュートさや温かみとは一線を画し、キャラクターに沿ったクールで抑えめの歌唱に終始。もちろんほか4人も含めて、こうした“歌声での芝居”を存分に味わうことができるのもこの曲の、ひいてはこのジャンルの醍醐味のひとつなのだ。

 そしてキャラソン主題歌の魅力のひとつが、ストーリー展開にハマったときの破壊力の強さである。それはもちろん普通のアニソンでも十分起こりうることではあるが、登場人物自身のものとして歌われた言葉が物語にリンクしてきたときの快感やうれしさ、そしてその後の楽曲・キャラ双方に感じるいとおしさは、このジャンルならではの格別のものがある。そういったポテンシャルを秘めたこれらの楽曲を、サウンドだけでなく物語とともに、3カ月かけてじっくりと楽しんでいってほしい。(須永兼次)