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町山智浩

町山智浩、黒人刑事がKKK潜入する“実話”描いた「ブラック・クランズマン」を解説

ナタリー

19/2/22(金) 11:43

スパイク・リーが監督を務めた「ブラック・クランズマン」のジャパンプレミアが2月21日に東京・シネクイントで行われ、映画評論家の町山智浩が登壇した。

アメリカ・コロラド州コロラドスプリングスの警察署で初の黒人刑事として採用されたロン・ストールワースを主人公とした本作。彼が過激な白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)への潜入捜査を試みた実話を描く。デンゼル・ワシントンを父に持つジョン・デヴィッド・ワシントンがロン、アダム・ドライバーがロンと2人で1人の人物になりすます白人刑事フリップ・ジマーマンを演じた。

映画の冒頭にはアレック・ボールドウィンが白人至上主義者の役で出演している。これは彼がテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」で、アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプのモノマネをしていることにちなんだもの。町山は「彼は、アメリカはかつてグレートだったのに!と嘆く。これはトランプの合言葉と一緒。彼が白人至上主義の国に戻すと言っていることを茶化している」と解説する。

劇中にはロンと恋人パトリスがデート中にブラックスプロイテーション映画の話題で盛り上がるシーンが描かれた。ロンは「シャフトとスーパーフライ、どっちが好き?」と、「黒いジャガー」の主人公である私立探偵シャフトと「スーパーフライ」の主人公・麻薬ディーラーであるプリーストについて尋ねる。「黒人による黒人のための黒人映画」として1970年代初頭に生まれたこのジャンル。「利口な黒人が頭の悪い白人を退治する」映画として、かつて一大ブームを巻き起こした。

町山はこれらの映画が「ブラック・クランズマン」で直接言及されているだけでなく、映画の物語に影響していると説明。「この映画を観て疑問に思いませんでしたか? 白人がマヌケに描かれすぎでしょ?」とスパイク・リーが、あえてブラックスプロイテーションのスタイルを模倣していることを語る。パトリスは映画を「荒唐無稽なファンタジーよ」と笑うが、黒人がKKKに潜入捜査をするといういかにもあり得なさそうな“実話”を描くのが「ブラック・クランズマン」だ。町山は「でもはっきり言って事実は半分くらい(笑)」と大胆に脚色がなされた本作の魅力を語った。

第71回カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得した「ブラック・クランズマン」は3月22日より東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国でロードショー。なお本作は第91回アカデミー賞で作品賞を含む6部門にノミネートされている。

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