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JUJU、ねごと 蒼山幸子作詞「ミライ」が運ぶ明るい未来 「メトロ」と共通する“眼差し”が映すもの

リアルサウンド

19/3/7(木) 18:00

 昨年の8月より、記念すべき15周年イヤーに突入したJUJU。同年10月31日には、15周年第1弾シングルとして、平成を代表する音楽プロデューサーである松尾潔と小林武史によるWプロデュース楽曲「メトロ」を通算37枚目のシングルとして発表し、同曲を収録した3枚目のジャズアルバム『DELICIOUS~JUJU’s JAZZ 3rd Dish~』を12月5日にリリースした。そして、2019年最初のシングル「ミライ」は、ドラマ『女王の教室』や『家政婦のミタ』の遊川和彦が脚本と演出を手がけ、杉咲花が主演するお仕事コメディ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)の主題歌として書き下ろした楽曲。「メトロ」と「ミライ」。ストーリーテラーであるJUJUが歌うということ以外には、楽曲の成り立ちや作家陣は全く違う2曲ではあるが、その眼差しがまだ見ぬ未来へと向けられている点では共通している。

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 まず、詞先で書かれたという「メトロ」の主人公では、地下鉄の定期券=メトロのパスを手にしたことで“大人”への第一歩を踏み出したことを感じている女の子だ。サカナクションやPerfume、星野源を手がける関和亮監督によるMVでは、上京してきたばかりの新入社員として描かれている。少女から大人になっていく過程で味わう痛みや憂鬱と同時に、希望や期待、ときめきも描かれており、JUJUは子供と大人、夢と現実の間で葛藤する少女の背中を押すように力強く歌う一方で、「あなたは子供の頃に思い描いた理想の大人になっていますか?」と優しく問いかけてもいる。夢から覚めてしまったあとのやるせなさや諦めを抱えつつも、未だに〈どこまでだっていける〉と自分を信じる気持ちを失ったわけではない。もどかしくて、やるせない、そんなごちゃ混ぜの感情を内包した歌声が聴き手の涙を誘う楽曲となっている。

 一方の新曲「ミライ」は、少女時代の回想から始まる。空に星が散らばる地元から夢や希望を抱いて“星のない街”へと出た主人公は、やがて現実にぶち当たり、人生のいろいろに思い悩み、〈いつしか描いていた夢と違う今〉を生きながらも、前を見て、少しでもよりよい明日を目指している。未来がどうなるかなんて誰にもわからない。それでも、この楽曲の主人公が〈今〉を〈悪くないわ〉と言えているのは、刹那の今を積み重ねてきた、人生の重みがしっかりと手を結んでいるからこそだろう。歌詞を手がけたのは、今年7月20日をもって解散を発表した4人組ガールズバンド、ねごとのボーカル&キーボードをつとめる蒼山幸子。JUJUチームは、ねごとの幸子だとは知らずに採用したという。結成から12年、デビュー10周年を迎える直前に新たな道に進むことを決意した彼女自身にとっては、新しい世界へとダイブするための大きな、そして、幸せな一歩となったはず。

 特に、〈かなしみの予感に/きっと負けないように〉というフレーズには、なんとも言えない愛おしさを感じた。迷いの中での〈小さな強がり〉かもしれないけれども、涙をこらえて空を見上げ、過去の大切な思い出を懐かしく振り返り、今、ここにしっかりと足を下ろした上で、まっすぐに未来を見据えている。その眼差しが聴き手にも明るい未来を運んでくれる。この春に新生活を迎える人はもちろん、働くことに悩む人々、仕事も学業も恋もそれなりの日々を送っているけれど、どこか満たされない思いを抱えている全ての人に贈りたい1曲となっている。

 JUJUの歌声は柔らかな明るさを携えており、優しくてせつない。きっと誰もが心の奥底に持っていて忘れてしまっている小さな頃の夢や希望を思い起こさせながらも、現実に肌身を晒していく小さな勇気も与えてくれる。「メトロ」と「ミライ」に共通しているのは、未来を思い、日々を生きる女性に寄り添った眼差し。そして、時に疲れた心を癒してくれたり、時に優しく背中を押してくれたりするストーリーだ。聴き手によって、目の前に広がる夢や憧れを感じることもあれば、夢のさらにその先へ続いていく人生の歌に感じられることもあるのではなかろうか。

 また、カップリングには“あざとくて可愛い”女の子の甘いたくらみを最新のトラップサウンド(エレクトリックR&B)に乗せて歌った、チャーミングすぎる歌声の意欲作「READ MY LIPS」と和田アキ子の名曲「だってしょうがないじゃない」のボサノヴァカバーを収録。ままならない恋をテーマにした昭和歌謡という意味ではルーツの1つではあるが、関西弁の歌詞がとても新鮮に響く。愛と生の痛みや切なさだけでなく、歌声の多彩さを詰め込んだシングルを完成させたJUJU本人は、15周年を迎えた今、どんな未来を見ているのだろうか。6月から開催される全国ホールツアー『YOUR REQUEST』で彼女が思い描く未来が垣間見えるのではないかと期待している。(永堀アツオ)

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