Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

溝口彰子&奥浜レイラ、『ある少年の告白』の魅力を語る 「新たな“変換期”をみせたと思います」

リアルサウンド

19/4/9(火) 18:30

 映画『ある少年の告白』のトーク付き特別試写会が4月8日にアキバシアターにて開催され、『BL進化論』著者の溝口彰子と奥浜レイラが登壇した。

参考:イベントの様子

 本作は、2016年に発表され、NYタイムズ紙によるベストセラーに選ばれるなど全米で大きな反響を呼んだ実話を映画化した人間ドラマ。アメリカの田舎町で自分は“男性のことが好きだ”と気づき、両親によって勧められた同性愛を“治す”矯正セラピーに参加した青年が、葛藤を通し、ありのままの自分や親子の絆を再発見するまでを描く。

 俳優のジョエル・エドガートンが『ザ・ギフト』に続きメガホンを取り、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で一躍その名を世界に知らしめたルーカス・ヘッジズが主人公の青年・ジャレッド役を熱演。共演には、ニコール・キッドマンやラッセル・クロウのほか、グザヴィエ・ドランやトロイ・シヴァン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーらが名を連ねている。

 本作の感想を聞かれた溝口は、「米配給会社が一緒ということもあり、『ミルク』を思い出しました」と実在の政治家ハーヴェイ・ ミルクの半生を描いたガス・ヴァン・サント監督作に言及。「『ミルク』も実話がベースですが、こちらは実際にいた人物を褒めたたえた映画。『ある少年の告白』は同じ実話でも、衝撃的な事実を描いて観る者に現実をつきつけてくる。一方、フィクションだからこそできる構成で、苦しさだけではなく、誰もが受け止められる表現にしている。そこが素晴らしいですね。そして、エンディングも“現実に接続すること”が共通している。非常に意義深い作品だと感じました」と『ミルク』との繋がりを解説した。さらには、「本作では、悲劇を描いているけれど、悲しみだけじゃない。その先に希望や光を感じさせる。その意味では『チョコレートドーナツ』を思い出しました」と、難しいテーマを描きながら、観客に多くの共感を生んだ『チョコレートドーナツ』とも重なる点を語った。

 ヘッジズをはじめ、キッドマンやクロウが出演する本作について溝口は、「出演者のインタビュー動画をみていて、 彼らが物語に惚れこんで出たいと思っているのが、ものすごい伝わってきました」と、俳優たちの熱量が桁違いだったと解説。さらに「自身もゲイだとカミングアウトしているトロイ・シヴァンも『何があっても関わりたい』と話していて、本心としか思えなかった!」と驚きの表情をみせた。

 奥浜も「歌手としても活躍しているトロイは、ヨンシーとの共作で本作の主題歌『Revelation』も歌っていて、 出演者だけでない関わりをして自分が“広げなければ”という姿勢が伝わってきますね。さらにニコール・キッドマンも大女優にも関わらず、映画PRのために多数のTV番組に出ていて熱意が伝わりました」と続けた。また、オーストラリア出身の俳優が多く出演している点にも言及し、「オーストラリア勢の、アメリカ発音のパーフェクトさにはいつも驚かされます。本作の舞台がアメリカ南部で訛りがあるのですが、私自身が暮らしていたこともあって、特にラッセル・クロウの説教が、鳥肌が立つほどに完璧だった」と溝口は彼らのリアルを追求した演技を絶賛した。

 印象的だったシーンとして、奥浜は「ジャレッドがプログラムの中で家系図を書かされるシーン」を挙げ、「昔から慣用句でも言われていたように“この親にしてこの子あり”と、自分の由来を家族になぞらえることが、当たり前でしたよね。でも、本作でも描かれるように、本当はそうではない。もちろん身体的なものでなくて性格とかでも通じる話で、たとえ親子であっても、独立した別のひとりの人間なのだということを、どう受け入れていくかを考えさせられましたし、本作の主人公らと同じ立場にはいないけれど、遠い話だとは思いませんでした」と語った。

 一方、 溝口はラスト近くのジャレッドと父マーシャルの対面シーンを挙げ、「彼らの演技力もあって、 短い台詞で強い想いが伝わるシーンでした。 息子も父を嫌いではないし、親も息子を嫌いではない。その上での“葛藤”がみえます。親との違い、その葛藤、そして受容。この映画は新たな“変換期”をみせたと思います」と、本作の重要シーンを解説。「宗教的なことも描かれる映画だし、“自分は関係ない、日本はいい国だ”と思う人がいるかもしれません。でも実際、日本でも事件は起きているし、全く他人事ではないですよね」と、物語の普遍性を語った。

 最後に溝口は、「鑑賞のきっかけとして俳優の演技合戦を観に来るのもいいと思います。沢山の人と観て、語り合ってください」と呼びかけ、奥浜は「観に行くことに対して、二の足を踏むのはもったいない。出口には希望がある物語なので、ご覧になった方はそのあたりもお友達にお薦め頂きたいですね」と締めくくった。 (リアルサウンド編集部)

アプリで読む