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いま、最高の一本に出会える

「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『死霊館のシスター』

リアルサウンド

18/9/21(金) 16:30

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は死霊館も秘宝館も大好きな阿部が『死霊館のシスター』をプッシュします。

『死霊館のシスター』

 先日ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行きまして、初めてホラーナイトを経験してきたのですが、理想郷すぎて驚きました。昼間はハリウッドの街並みが広がっていた場所に、ゾンビが溢れかえり、人々の悲鳴がところどころから聞こえてくるんですよ。しかも段々閉園時間が近づくと、ゾンビの方が多い箇所も出てきたりして、人間が敗北した世界が出来上がってしまうんです。そんな世界で正しいのは生きている人間か、それとも動く屍か……。もうすっかりハロウィンモードのわたしですが、これから各所でホラー祭が始まるので胸の高鳴りが止まりません。そんな中、秋のハリウッドホラー映画リレーで先陣を切るのが『死霊館のシスター』なのです。

 いや、でもこれ実は安易におすすめできないんですよ。だからまず表面的なところからご紹介しますね。ひとまず、2017年に公開された『アナベル 死霊人形の誕生』をおさらいしておきましょう。『死霊館のシスター』の物語は、『アナベル 死霊人形の誕生』でもうすでに描かれていたからです。

 『アナベル 死霊人形の誕生』は、『死霊館』に登場したアナベル人形に焦点を当てたスピンオフの2作目。孤児院の少女6人とシスターが、受け入れ先の夫婦の家でなんやかんやあるストーリーです。そこでは、孤児院の少女6人を受け入れた夫のサミュエル・マリンズ(アンソニー・ラパリア)とシスター・シャーロット(ステファニー・シグマン)が会話するシーンで、『死霊館 エンフィールド事件』で登場した悪魔ヴァラクがシスターの格好をして写真に写っていました。「ルーマニアの修道院を訪れた時の写真です」とシャーロットはサミュエルに紹介します。写真は、シスター・マリアとアナ、ルシアとシャーロットの4人がこちらに微笑みかけているもの。

 さらにエンドクレジットでは、「1952年、ルーマニア、聖カルタ修道院」と字幕が入り、ロウソクが灯る長い廊下の奥から、ヴァラクらしきシルエットが近づいてくる映像が公開されました。『死霊館のシスター』は、1952年のルーマニアにある聖カルタ修道院を舞台にした物語。もうこのときから、物語は始まっていたんですね。ちなみに、

・『死霊館のシスター』(1952年)
・『アナベル 死霊人形の誕生』(1955年)
・『アナベル 死霊館の人形』(1967年)
・『死霊館』(1971年)
・『死霊館 エンフィールド事件』(1977年)

 とユニバース上の時系列は上記のようになっていまして、『死霊館のシスター』は現在公開されている物語の中でも最古のストーリーとなります。この時系列を知っておくと、『死霊館』ユニバースに深みが出るので、念頭に置いておくといいでしょう。

 さて、2016年の6月に『死霊館 エンフィールド事件』に登場する修道女すなわちヴァラクを主人公にするという企画がThe Hollywood Reporterから報じられて以来、首を長くして待っていたわけですが、わたしがこの作品への思い入れが強い理由が主演のタイッサ・ファーミガにあります。

 タイッサは、『死霊館』本シリーズでウォーレン夫妻の妻ロレイン・ウォーレンを演じたヴェラ・ファーミガの21歳離れた妹。2011年からスタートしたドラマシリーズ『アメリカン・ホラー・ストーリー』でよく知られているのですが、日本ではあまりパッとしない印象で、彼女の顔が大きく街中に張り出されるのを今か今かと7年間待っていたのです。姉妹ともに醸し出すミステリアスな雰囲気は、ホラー映画のために生まれてきたのではないかと思うほど。さらに、2人は『死霊館』ユニバース上の異なる時代でヴァラクと対峙するので、現実と物語を交差したファン的に熱い展開が繰り広げられます。

 そんなタイッサは、しばらく離れていた『アメリカン・ホラー・ストーリー』の、9月12日から始まった最新シーズン『American Horror Story: Apocalypse(原題)』で、シーズン1『呪いの館』で演じたヴァイオレットとシーズン3『魔女団』で演じたゾーイの両役でカムバック。さらに先日トロント国際映画祭で上映され、高評価を受けたヒラリー・スワンク主演『What They Had (原題)』にも出演しています。タイッサには確かな演技力があるのだから、たくさんの良質な作品や大作に出演し大に羽ばたいてほしいと切に願うばかりです。

 さて、前置きが長々としてしまいましたが、冒頭で申し上げました通り本作が「安易におすすめできない」ことは間違いありません。というのは『死霊館のシスター』が従来の『死霊館』シリーズとあまりにもかけ離れた作品であるからです。

 まず1つはフェイントの有無。これまでの『死霊館』シリーズというのは、スピード感を凄く大切にしてきた作品で、絶妙なタイミングで恐怖を仕掛けてきたのが面白みの1つだったと思います。「あの暗闇には何がいるのか……。この角を曲がったら……」そんなドキドキに、フェイントをかけ、弄ぶのが本シリーズの醍醐味でもありました。しかし一転、『死霊館のシスター』は、不穏な空気が流れるとほぼ確実に怖いシーンが訪れます。でもこれには良い面と悪い面があって、必ず脅かしてくれるので満足度は高いと言えるのですが、期待値を上げて予習をしすぎたあまりに、予告ですでに見たシーンで100%驚けないという支障が出てきてしまいました。個人的には予告の例のシーンが一番驚いたので、まだ見ていない人は予備知識無しで行くことをおすすめします。

 次に2つ目は、子役を使わなかったという点。抗えない恐怖に、打ち勝とうとする弱者として観客側も感情移入しやすい子供が頻繁に登場する『死霊館』シリーズですが、それをあえて排除したのが本作。しかも、メインで動くのは主人公のシスター・アイリーン(タイッサ)に、バーク神父(デミアン・ビチル)、地元の案内人フレンチー(ジョナ・ブロケ)の3人で、女性1人に対して強そうな男2人がついており、なんだか謎の安心感が生まれているのですよ。ただ強い味方が付いている分、修道院側が容赦ない恐怖を仕掛けてくるので、そこは注目ポイントとなることでしょう。

 ユニバースを広げていくためには、あらゆる工夫とスパイスが不可欠。『死霊館3』の前に、新たな世界観の拡大を図ったのが『死霊館のシスター』と言えるでしょう。『死霊館』ユニバースファンは新境地に足を踏み入れることとなり、またシリーズを1つも見たことがない方でも十二分に楽しめる作品に仕上がっています。

■公開情報
『死霊館のシスター』
新宿ピカデリーほかにて公開中
監督:コリン・ハーディ
脚本:ゲイリー・ドーベルマン
製作:ジェームズ・ワン
出演:タイッサ・ファーミガ、デミアン・ビチル、シャーロット・ホープ、リリー・ボーダン、ボニー・アーロンズほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
2018年/アメリカ/カラー/デジタル/英語/原題:The Nun
(c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.(c)Warner Bros. Entertainment Inc.
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/shiryoukan-sister/

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