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『多田恋』『高木さん』……2000年代J-POP名曲カバーはアニソンの新たな定番に?

リアルサウンド

18/4/15(日) 10:00

 4月5日より放送がスタートしたTVアニメ『多田くんは恋をしない』(TOKYO MXほか)。同作の初回放送で、エンディングテーマがヒロインであるテレサ・ワーグナー(石見舞菜香)によるサンボマスター「ラブソング」のカバーであることが明らかになった。

 オーイシマサヨシと岸田勇気によってアレンジされ、よりキュートさと華やかさの際立った楽曲は、放送終了後SNS上でも話題になっていたが、この現象は決してピンポイントのものではない。

(参考:OxTと考える、“遊び心がなくなった”アニソンの現状&オーイシが味わった“流行という混沌”

 前クールでは『からかい上手の高木さん』のエンディングに「気まぐれロマンティック」(いきものがかり)や「AM11:00」(HY)、「風吹けば恋」(チャットモンチー)をはじめとしたJ-POPのカバーが起用されていた。こちらはヒロインの高木さん(CV:高橋李依)による歌唱で、アニメが描く学生時代の恋愛における楽しさや無邪気さといった側面を大きく助長するものに仕上がっている。

 また、2017年の『月がきれい』では、東山奈央がレミオロメンの「3月9日」やEvery Little Thingの「fragile」などを素朴なバラードにリアレンジしてカバー。こちらは80~90年代の楽曲なども交え、様々な世代に初恋の思い出を蘇らせるスイッチとして、十分に機能していたように感じる。

 さらに遡ると、2014年放送の『一週間フレンズ。』TVアニメ版エンディング曲として、ヒロインの藤宮香織(CV:雨宮天)がスキマスイッチの「奏」をカバー。同曲が藤宮の“記憶障害の為に1週間で友達にまつわる記憶がリセットされてしまう”という設定をはじめとした、同作の切ない世界観に寄り添い、アニメをさらに感動的なものに昇華した。また、雨宮は音楽番組で同曲をスキマスイッチと歌唱。アニメのエンディング以外でも楽曲を歌う機会が作られるといった反響もあった。

 そして、この流れで代表的な作品として挙げられるのは、やはり『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のエンディングテーマ「secret base ~君がくれたもの~」だろう。estlabo(とく、古川本舗、ハチ、wowaka)がZONEの原曲にエレクトロ要素などを加え、より憂いを含んだ楽曲にアレンジ。本間芽衣子(CV:茅野愛衣)、安城鳴子(CV:戸松遥)、鶴見知利子(早見沙織)が歌唱し、物語の悲しさや暗さ、最後に待つ別れまで、様々なシーンを彩った。リリースは2011年で、2010年代のアニソンシーンに序盤から一石を投じた楽曲といっていい。

 もちろん、平成世代のヒット曲という意味では、「LOVEマシーン」(モーニング娘。)や「アジアの純真」(PUFFY)をカバーした『世紀末オカルト学院』も欠かせないが、2000年代のアニメソングに限定すると、『あの花』が与えた影響の大きさを実感することができる。

 とくに2000年代前半に生まれた世代が10代後半を迎える2010年代後半は、これらのアプローチがより効果的に刺さるタイミングといってもいい。自身の中学生時代を彩った楽曲の女性声優によるカバーを聴くことで、蓋をしていた昔の思い出や甘酸っぱい体験がフラッシュバックし、より作品に感情移入することができるからだ。

 この手法はアニソンシーンにおいて、定着したアプローチのひとつともいえるが、今回の「ラブソング」の反響をみるに、まだまだ効果はあるといったところか。もちろん時代に合わせて参照点となる楽曲は移り変わり増えていくので、その度に絶妙な選曲やアレンジに唸らされ続けるのだろう。「次にカバーされるのはどの曲だろう?」といった視点でアニメを見るのも、また趣のある楽しみ方のひとつなのかもしれない。(中村拓海)

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