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「平成ライダー」が挑戦し続けた多種多様な作風 来るべき「令和ライダー」に向けて

リアルサウンド

19/5/12(日) 6:00

「時代が終わる。すべてがはじまる。」

 これは、昨年末に公開された映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』のポスターに用いられたコピーである。この「時代」が指すのは、つい先日終わりを迎えた「平成」という元号だ。2000年に放送を開始した『仮面ライダークウガ』から、現在放送中の『仮面ライダージオウ』までのシリーズを、「平成ライダー」と呼称するようになって久しい。

 今では当たり前のように飛び交うこの「平成ライダー」という単語。そもそも、平成の仮面ライダーというのは、『仮面ライダークウガ』以前にも存在している。

 テレビシリーズから挙げると、『仮面ライダーBLACK RX』は1989年(平成元年)9月に放送が終了。昭和から平成をまたにかけて活躍した、唯一の仮面ライダーである。続く1992年には、オリジナルビデオ作品として『真・仮面ライダー 序章』が発表。劇場作品としては、1993年に『仮面ライダーZO』が、1994年には『仮面ライダーJ』が公開されている。

 しかし、2019年現在の定義として「平成ライダー」に分類されているのは、前述の『仮面ライダークウガ』以降の作品である。同作は従来の仮面ライダー像に捕らわれない革新的な作品であったが、とはいえ、当時はまだ「平成ライダー」という看板を背負っていた訳ではなかった。それは、『仮面ライダーアギト』(01年)や『仮面ライダー龍騎』(02年)と、シリーズが継続していく中で、「新しいシリーズ」を指すための便宜上の呼称として、ファンの間などで通俗的に用いられていたものであった。

 そんな「平成ライダー」という看板を明確に打ち出したのが、2009年の『仮面ライダーディケイド』である。同作のポスターには、大きく、「平成ライダー? 10年早ぇよ!」の文字が躍っていたのだ。そして、並び立つ過去9年間の平成ライダーたち。

 その当時、平成ライダーは各々の作品の独立性が強く、昭和ライダーにみられた「先輩ライダーとの物語的な連続性」「先輩ライダーの客演」といった概念は、一部を除いて存在していなかった。よって、全く異なる世界観で物語を紡いできた9人の平成ライダーが並び立つ様子は、ファンにとってこの上なくセンセーショナルだったのである。『仮面ライダーディケイド』は、その衝撃をそのまま物語に持ち込み、約半年間の放送を通して、「平成ライダー」というブランドを見事に確立させていく。

 やがて、同じく09年に放送を開始した『仮面ライダーW』から続く作品は、これまた便宜上、「平成二期ライダー」と呼ばれるようになっていく。『仮面ライダーディケイド』が「平成ライダー10周年」を謳い、総決算のような展開をみせた後で、「次の10年」を見据えた意欲的な作品が続々と登場していった。

 2014年には、『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』という作品が劇場公開され、まさかの「昭和ライダー」と「平成ライダー」の戦いが描かれることとなった。ここで、前述の『仮面ライダーBLACK RX』や『仮面ライダーZO』は「昭和ライダー」に分類され、明確に、『仮面ライダークウガ』以降の作品が「平成ライダー」である、という区分けが完成したのである。

 両元号から15人、合計30人の仮面ライダーが入り乱れる戦いは、平成もしくは昭和のどちらかが勝利するエンディングをファン投票によって決定するという、視聴者を巻き込んだ規模で展開された。

 その後、2016年には『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』が公開。同作ではじめて、「平成ジェネレーションズ」というユニット名が用いられた。これは、当時放送中であった『仮面ライダーエグゼイド』を中心に、近年の先輩ライダーたちが集結する内容であったが、ここにきて、昭和ライダーにみられた「先輩ライダーとの物語的な連続性」「先輩ライダーの客演」が従来より重要視され始めたのである。

 言うまでもなくそれは、この数年前から恒例となっていた「MOVIE大戦シリーズ」が物語の基礎になっているが、その先駆けこそが、他でもない『仮面ライダーディケイド』だったことを書き添えておきたい。同作が確立させた「平成ライダー」というブランドは、今日まで確実に発展してきたのである。

 そうして、話は冒頭に辿り着く。2018年公開『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』では、翌年に控えた改元による「平成ライダー」の終わりを重厚に描き、総勢20人の「平成ライダー」が銀幕狭しと活躍を繰り広げた。佐藤健のサプライズ出演も話題になるなど、ファンに向けた感謝が詰め込まれた一作となっている。まさに「平成ライダー」の、感動のフィナーレである。

 また、最新作『仮面ライダージオウ』は、時を行き来し、「平成ライダー」の歴史を総括する物語を展開している。昨年末の放送では「ライドヘイセイバー」という剣型の武器が登場。デザインされた時計の針を回転させることで、『仮面ライダークウガ』から始まる全ての平成ライダーを選択することができる。必殺技を発動させる際には、待機音声で「ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!」というノリの良いサウンドが流れるなど、まさに「平成ライダー」というブランドを象徴するようなアイテムだ。このような特異な武器が劇中に登場できるのも、同ブランドが辿った約20年の成果と言えよう。

 平成という二文字は、約30年前から、「新しいもの」というニュアンスを含んできた。それは、昭和に対するカウンターとして、もしくは、新たな時代への希望を込めて、人々が自然に用いてきたものである。同じ経緯で生まれた「平成ライダー」という呼称は、いつしか他でもない本家本元がその看板を掲げ、作品のタイトルや武器の名前にまで登場するようになった。通俗的な呼称を取り込み、それすらも自らのアイデンティティとして確立させていく様子は、「平成ライダー」が常に模索し挑戦してきた多種多様な作風やメディア展開にも通じている。

 この約20年、「平成ライダー」が作品を積み重ねてきたその背景には、同シリーズが決して欠かさなかったアグレッシブな姿勢があるのだ。仮面ライダーという概念を本家本元が覆し、またその結果すらも覆していく。旧来の価値観では一見すると仮面ライダーと思えないようなヒーローが、その精神を体現していく。「平成ライダー」の呼称が大々的に用いられるようになった経緯は、まさにその攻めの姿勢の象徴とも言えよう。

 放送中の『仮面ライダージオウ』では、平成から令和にまたがる二週を用いて、「継承」「世代交代」をテーマにした物語が展開された。「平成ライダー」は名実ともに終わりに向かっているが、来るべき「令和ライダー」の活躍を、ファンは楽しみに待っているのである。今度は、どのようなアプローチで元号を扱ってくれるのだろうか。仮面ライダーの歴史は今まさに、ふたつの時代を飛び越え、新しい挑戦を迎えている。(結騎了)

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