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Beverly、新アルバム『24』で示した歌手としての進化と可能性 アンコールツアー最終公演を観た

リアルサウンド

18/7/27(金) 18:00

 Beverlyが初めてフルバンドを従えてワンマンツアー(「Beverly 1st JOURNEY『AWESOME』」)を行なったのは、2017年10月のこと。それは東名阪のツアーで、東京公演は渋谷WWWで開催された。続いてそのアンコールツアーが12月に東京と大阪で行なわれ、東京は赤坂BLITZが満杯になった。今回、東名阪をまわった『Beverly 2nd JOURNEY 「24」』はそこから約半年ぶりとなるフルライブで、東京は代々木YAMANO HALLにて開催。彼女にとってのフルライブは、この日が6回目。東京では3回目だ。

 まだそれだけしかやっていない。ライブアーティストとしては新人だ。フィリピンから単身で日本に移り住み、東京で活動するようになって約2年。週に2回、日本語のレッスンに通っているというBeverlyは、日本語のMCにまだ少したどたどしさが残る。だが、そのたどたどしさを初々しさと換言することもできる。(自分を含め)観客たちはみな、そんな彼女の日本語MCを優しくニコニコしながら聞いている。たまに飛び出す天然ボケ的なそれを聞いて、またニッコリ。そんな可愛らしいMCは、観ている者たちをあたたかな気持ちにさせるし、なんなら“ずっと見守っていこう”という親心に近い感覚をもたらしもする。彼女に近い年代の観客ならば親近感を持つことにもなるだろう。一方、歌唱はというと、まったくもって新人らしからぬスキルと表現力の豊かさを感じさせる。何しろ堂々たる歌いっぷり。喋っているときは“近くにいる飾り気のない女の子”といった感じなのだが、演奏が始まると途端に“歌姫”になる。MCの初々しさと、歌唱におけるスケール感。これがBeverlyというシンガーの現在であり、そのギャップが今のライブの面白さにも繋がっている。

 7月8日、代々木YAMANO HALL。開幕前から6月に発売された2ndアルバムの背面と同じようにドットで構成された24の文字が、ステージの背景に映されている。紗幕の向こうには定位置にスタンバイしたミュージシャンたちの姿が透けて見え、少しすると24の文字が23、22、21、20、19、18……とドットの並びの変化によってカウントダウンされていく。そして1をカウントしたところで音がバーンと鳴り、紗幕が落ちてステージ中央にBeverlyの立ち姿が。胸の部分が少しあいた衣装も髪に巻いたスカーフも『24』のジャケット写真と同じなら、腕を腰にあてたポーズもまた同じ。つまりアルバムから飛び出してそこにいるようにも見える粋な始まり。彼女の第一声は、「トーキョー! エブリバディ、クラップユアハンズ!」だった。

 バンドは、ギター、ベース、ドラム、キーボード、パーカッション、コーラスの6人編成(パーカッションとコーラスは女性)。前回ツアーはキーボードとコーラスが二人ずついたが、今回はひとりずつになって、新たにパーカッションが加わった形だ。オープナーは「Power of love」。続けて「All I Want」「LOVE THERAPY」と、アルバム『24』の曲順通りに歌われ、観客はピンクのペンライトを横に振りながらその歌に応える。ライブを意識して作られた作品というわけでもなかっただろうが、しかしそれらの曲は想像以上にライブ映えする。筆者は90’sR&Bタッチの「LOVE THERAPY」が『24』のなかで特に気に入っているのだが、ナマで聴くこの曲での明るくハッピーなボーカルによって、(歌詞の一節じゃないが)ステージが一気に〈色づいてゆく〉よう。曲の途中で挿まれるラップ部分も軽やかで、彼女自身がとても楽しんで歌っていることが伝わってきた。

 「みなさんに会えて、大きなステージに立てて、最高のミュージシャンと一緒にライブをすることができるのが本当に嬉しいです。“Beverly 1st JOURNEY『AWESOME』”から半年、私にとって待ちに待ったライブです。今夜はたくさん……24時間あるので(笑)、楽しんでください!」。そんなふうに挨拶し、また自身で選んだセラピー効果のある香りを会場内に漂わせていることを観客たちに伝えると、続いてゴスペル的なムードも湛えた力強いバラード「Baby don’t cry~神様に触れる唇~」を歌唱。抑えたAメロからBメロへと繋いで、サビで一気に感情を爆発させる。その緩急のつけ方は見事なものだ。

 「Fly in the sky」「Hurting Me」「Future」……『24』の5曲目「JUMP!」だけはもう少しあとに持ってきたものの、このあたりもほぼアルバムの曲順通りに進行。オランダのEDM・DJデュオ、Sick Individualsがトラックとアレンジを手掛けた「Fly in the sky」は、ライブにおいては生演奏と打ち込みを上手くミックスさせ、録音ブツ以上の昂揚感がそこに現れた。ハイトーンに定評のあるBeverlyが限界近くまで高い声を出して「もっと高く」と歌うところなどは、その言葉通りでまさに空へと突き抜けていくよう。苦し気なところなど微塵もなく、あんなにも高い声を力強く響かせることのできるシンガーが、果たして日本に何人いるだろうか。「ジャンプ! ジャンプ!」と観客を煽ったりもするBeverly。大いに盛り上げたあとは、オートチューンを用いたミディアム曲「Hurting Me」を歌い、「ロボットボイス、どうですか?」と観客に投げかけたあと「ト~キョ~、ト~キョ~、タノシンデマスカ~」とオートチューンで遊んでみたりもするのだった。そして未来への思いとメッセージが詰まったバラード「Future」を熱唱。文字通り熱唱。決して背が高いわけでもないBeverlyの姿が、こういうときは本当に大きく見える。

 ここまでの7曲は全て新作『24』の収録曲だったが、ここで1stアルバム『AWESOME』から「I need your love」と「Just once again」の2曲を。「I need your love」は連続ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(カンテレ・フジテレビ系)のオープニング曲となり、突き抜けるハイトーンでBeverlyというシンガーの存在を最初に世に知らしめた曲。しかし、『24』にはこういうロッキッシュな曲が入っていなかったこともあり、これがショー全体のいい切り替えポイントとして機能した。またバラード「Just once again」の歌唱には説得力があり、歌と共にピアノの力強さも胸を打った。

 ここで改めて24歳になったことと、たくさんのコメントをもらったことへの喜びを観客に伝え、それから「今日、誕生日の人はいますか? じゃあ、昨日が誕生日だった人は? 明日の人は?」と問いかけ、手をあげた人に「私からHappy Birthdayを届けたいと思います」と言ってアカペラで「Happy Birthday to you~」とナマ歌のプレゼント。そのあとはピアノバラード「My Boy」から軽やかなポップソング「JUMP!」「I’m Ready」と続け、バンドのメンバー紹介を挿みつつ、伸びやかな声が印象的な「Tomorrow」へと展開させた。

 「次で最後の曲になってしまいました」。Beverlyがそう言うと、観客たちは“早すぎる”という思いから「え~~~っ」と声をあげる。彼女はそんな観客たちの気持ちを受け取りつつ、「愛はネガティブをポジティブに変える力を持っています。私は2年くらい日本に住んでいて、悲しいときもありますが、まわりの人がいつも支えてくれています。みなさんにいてもらえると、一人じゃないと感じます。私はカンペキではないので、これからもいろんなチャレンジをしていきたいです。応援よろしくお願いします」と丁寧に挨拶。そして本編の締めくくりにテレビドラマ『海月姫』(フジテレビ系)の主題歌となったバラード「A New Day」(フィジカルでの初のシングル曲)をじっくりと歌い上げた。ひとりじゃないということの確信。未来への希望。それが強くて豊かな歌唱に表れる。と同時に、やはりバラードという表現こそが彼女の最も得意とするところであり、その圧倒的な歌唱力を最大限に伝えることのできるものだということを実感させられる。

 アンコール。自身の名前のロゴが大きく入ったTシャツに着替えてステージに戻ったBeverlyはまず、PANDORA(小室哲哉+浅倉大介)にフィーチャーされる形で発表されたハイパーなダンスチューン「Be The One」をハイトーンを駆使しながら歌って盛り上げた。そしてそのあと、小室哲哉が詞曲を手掛けたLINEゲーム『ガーディアンズ』主題歌の「Guardian」をここで初披露。小室の魂がこもったようなこの壮大な展開のバラードを、Beverlyは繊細さと力強さを絶妙に合わせながら歌い、観客たちはその世界のなかに引き込まれるように聴き入っていた。願わくばいつかオーケストラをバックにこの曲を歌う彼女をナマで観てみたいものだ。

 続くアンコール3曲目は『AWESOME』収録曲であり、前回ツアーでも印象的だった「Sing my soul」だ。今回も「みなさんの声を聴かせてください」と呼びかけ、〈My life, Your life〉の部分を全員でシンガロング。そのとき会場はひとつになった。そして鍵盤奏者を残してバンドメンバーたちがステージを去ると、最後にピアノだけで「Amazing Grace」を熱唱。それは彼女の祈りのようにも感じられた。

 アンコール含めて全18曲。2ndアルバム『24』の収録曲は全て歌われた。先にも書いた通り、自分は『24』の曲群が想像していた以上にライブ映えすることを感じたし、ナマで聴いたことで改めて『24』というアルバムに対する理解度も深まった。軽やかなポップR&Bやハイパーなダンス曲を上手く混ぜつつも、あくまでもビッグなバラードに力点を置く。大きく言うと『24』はそういうアルバムであり、この公演もそれに即した内容だった。ゆえに“バラードがすごい”シンガーであることが初めてライブを観た人たちに十二分に伝わっただろうし、昨年に続いて観た人も改めてそれを実感したはずだ。

 実際、Beverlyの表現力は『24』の制作を経てさらに増していた。それは間違いない。ただひとつ書くと、楽曲の方向性の焦点がだいぶ絞られたことで「Beverly 1st JOURNEY『AWESOME』」にあった幅の広さとそれによるダイナミズムが少しばかり減じてしまっているようだったのは、ちょっと勿体なくも感じられたところだ。ヒップホップ/R&B的な曲があればピアノバラードもあり、80年代~90年代的なアーバンポップもあればロッキッシュな曲もあり、さらにはファンキーな曲もEDM調もソウルフルな曲もあった……という多様性からくる躍動感が「Beverly 1st JOURNEY『AWESOME』」のよかったところ。特に筆者は、2016年の配信限定EP『Tell Me Baby』収録曲「Do That」や『AWESOME』収録曲「Mama Said」といったファンキー度数の高い楽曲におけるバンドの強力なグルーヴと、そこに身体まるごとノッていけるBeverlyの歌の弾力性に惚れ込んでいたので、そういった曲が1曲も演奏されなかったのは正直、物足りなさも感じた。バラードを歌うBeverlyが素晴らしいのは間違いないが、ファンキーな曲を軽々と歌うBeverlyもまた実にかっこいいので、今後はぜひともそっち方面の強化にも期待したいところだ。

 8月は味の素スタジアムで開催される『a-nation 2018』に出演するBeverly。シンガーとしての実力とスケール感は既に証明されている彼女がこの先ライブアーティストとしてどのように成長していくのか、次のワンマンも早くも楽しみでしょうがない。とにかくひとつの型にハマることのない、ダイナミックな進み方に期待したい。

(文=内本順一/写真=田中聖太郎)

■リリース情報
『24』(読み方:トゥエンティーフォー)
AL+DVD:¥4,000(+税)
AL+BD : ¥4,800(+税)
AL :  ¥3,000(+税)

<CD収録内容>
1 Power of love:フジテレビ系『Mr.サンデー』エンディングテーマ曲
2 All I Want:アパマンCMソング
3 LOVE THERAPY:爽健美茶 2018年 キャンペーンソング
4 Baby don’t cry ~神様に触れる唇~:テレビ東京系 月10 ドラマBiz『ヘッドハンター』主題歌
5 JUMP!
6 Fly in the sky (Produced by Sick Individuals)
7 Hurting Me
8 Future
9 My Boy
10 I’m Ready
11 A New Day:全国フジテレビ系 月曜よる9時連続ドラマ『海月姫』主題歌
12 Tomorrow
13 ボーナストラック収録予定

<DVD/BD収録内容>
「LOVE THERAPY」MV
「Baby don’t cry ~神様に触れる唇~」MV
「A New Day」MV
「Despacito」MV
ライブ映像:1st JOURNEY「AWESOME」Encore Tour 2017.12.4@マイナビBLITZ赤坂 

■配信情報
Beverly「LOVE THERAPY」先行配信中
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Beverlyオフィシャルホームページ

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