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町田啓太が語る『西郷どん』小松帯刀役への挑戦 「二度とできない経験をさせてもらいました」

リアルサウンド

18/10/15(月) 12:00

 現在放送中のNHK大河ドラマ『西郷どん』のBlu-rayBOX〈完全版 第弐集〉が10月17日より発売される。薩摩の貧しい下級武士の家に育った西郷吉之助(鈴木亮平)が、いかにして明治維新を成し遂げる日本の英雄となったのか。第弐集では、西郷が心から慕う藩主・島津斉彬(渡辺謙)の死(第13回「変わらない友」)、幕府に追われた西郷が奄美の地で出会った愛加那(二階堂ふみ)との愛、そして激動の幕末へと流れ込んでいく第23回「寺田屋騒動」までが描かれる。

 リアルサウンド映画部では、第弐集の発売を記念して、薩摩藩家老・小松帯刀を演じる町田啓太にインタビュー。西郷、大久保利通(瑛太)の上に立ち、坂本龍馬とも親交が厚かった幕末の俊才・小松帯刀をどのように演じたのか。初挑戦となる大河ドラマへの思いから、今後の『西郷どん』の魅力までじっくりと語ってもらった。(編集部)

参考:町田啓太、弾ける笑顔で視聴者を虜に 『女子的生活』志尊淳との名コンビぶり

●皆から納得してもらえる“小松帯刀”に

――インタビュー記事では「Real Sound映画部」初登場ということで、まずは今年1月に放送されたドラマ『女子的生活』(NHK総合)の反響から聞かせてください。町田さんは、これまでもさまざまなドラマや映画に出演されてきましたが、あのドラマで演じた“後藤”役は、かなり手応えを感じた役だったのではないですか?

町田:そうですね。志尊(淳)くん演じる主人公“みき”が、トランスジェンダーであることなど、題材的にはかなりセンシティブなところもあったので、すごく挑戦的なドラマだなとは思っていたんですけど、そういう挑戦的なことをNHKさんがやるのは、本当に素晴らしいなって僕は思っていて。だから、是非いろんな方に観てもらいたいし、楽しんでもらえたらいいなと思っていました。実際に『女子的生活』を楽しんでくださった方々が、かなり多かったみたいで、本当に嬉しかったです。僕の役柄的にも、今までありそうでなかった役というか、普段の僕に近いような、ダラダラした感じの役をやらせていただいたので、もうひたすら楽しませてもらいました(笑)。

――(笑)。確かに題材的にはセンシティブなところがありましたが、町田さん演じる“後藤”の屈託の無さが、ある種の救いというか、視聴者の共感ポイントになっていたように思いました。

町田:僕が演じた“後藤”という役は、キャラクター的にも、観てくださる方々の目線みたいな感じになれたらいいのかなと思いながら演じていたところがあったので、そういうふうに観ていただけたのであれば、すごく嬉しいです。

――そんな『女子的生活』で強い印象を放ちながら、そのあとすぐに大河ドラマ『西郷どん』の出演が発表されて。しかも、演じる役が“小松帯刀”であると聞いて、思わず「おおっ!」と声を上げてしまいました(笑)。

町田:ははは。時代劇は、いつかやってみたいとずっと思っていたんです。だから、出演が決まって単純に嬉しかったです。でも、初時代劇が大河ドラマになるとは思ってなかったです。しかも、“小松帯刀”と言えば、“維新十傑”のひとりであって。

――さらに、2008年の大河ドラマ『篤姫』(NHK総合)で“小松帯刀”を演じた瑛太さんが、今回は“大久保利通”を演じるという。これは、すごい現場だなと思いました。

町田:そうなんですよね。『篤姫』を観て、小松帯刀を知ったという視聴者の方も多いと思います。今回はその瑛太さんが大久保利通を演じて、僕が小松帯刀を演じるということで、ちょっと不思議な見方をする方も、多分いらっしゃるんだろうなって思って。でも、だからこそ、「これは頑張らないと!」っていうふうには、すごい思いましたね。

――実際の現場に入る前に、どんな準備をされたのですか?

町田:正直な話、僕は小松帯刀さんという人物を、そこまで詳しく知らなかったので、手あたり次第に資料を読み込んで、勉強するところから始めました。やっぱり、小松帯刀さんのご子孫の方々もいらっしゃいますし、大ファンの方もたくさんいらっしゃる中で、その役を演じさせていただくには、それ相応の準備をしないといけません。皆さんが少しでも納得してもらえるような小松帯刀を演じないといけないと思いました。もちろん、僕が演じるのは、『西郷どん』というドラマの中での小松帯刀ではあるんですけど、その前にやっぱり一度、その人物を理解してからじゃないとできないと思い、撮影が始まる前に鹿児島に行って、お墓参りをさせていただいたり、現地の人と話して、貴重な資料を見せてもらったりもしました。

●鈴木亮平は本当に尊敬できる俳優

――そして、そのあとドラマの現場に入って。鈴木亮平さんとは、以前共演したことがあるんですよね?

町田:はい。亮平さんとは、前に一度、『花子とアン』で共演させていただいたんですけど、そこから共演がありませんでした。今回、久しぶりにお会いしたら、すっかり胸板が厚くなっていて、本当にビックリしました(笑)。「えっ、こんなに」っていうぐらい、見た目の雰囲気から何から変わっていて。ここまでちゃんと体型を変えて役に臨むのは、やっぱり亮平さんならではだし、本当に俳優として尊敬できる人だなと改めて思いました。亮平さんは、まわりの方々に対する気遣いが、本当に素晴らしいんです。すごく“背負っている”なあっていう感じがして。

――“座長感”がありましたか。

町田:もちろん。ただ、それを別に前面に出しているわけじゃなくて、亮平さんがひたむきにやっている姿を見て、みんなが亮平さんに付いていこうと思うんです。僕が入ったときには、そういうチームができあがっていたので、そこに入れたっていうのは、自分にとってもすごいありがたかったですね。

――町田さんは中盤からの登場(第21回~)なので、そのときにはもう、すっかりチームができあがっていたんですね。

町田:僕が入ったのは、本編で言ったら“奄美大島編”の撮影が終わったあたりのタイミングだったので、だいぶみなさん、ホットな感じになっていて(笑)。スタッフさんも含めて、すっかり関係性ができあがっていたんですよね。そういう温かい現場に参加させてもらえたことは、すごく嬉しかったし、亮平さんとこういった形でご一緒させていただけたのは、単純に嬉しかったですね。

――とはいえ、町田さんの役どころは、島を駆け回るようなホットな役ではありません。

町田:そうですね(笑)。やっぱり、家老職というところで、亮平さん演じる西郷と、瑛太さん演じる大久保の上司というか、下級武士と言われる方々の上に立つような立場の人間ではあるんですけど、その上には青木崇高さん演じる島津久光だったりがいて……かなり板挟みの状態だったとは思うんですよね。

――西郷や大久保に、「まずは落ち着け」と言うような立場の人ですからね。

町田:そうなんですよ。でも、小松帯刀もまた、そんな彼らの熱に動かされたひとりではあったと思うんです。もともと能力は高い人でしたけど、西郷や大久保と、かなり親密な関係を築いていたというのは、史実にもたくさん残っています。でも、久光さんからも、いろいろ言われたり、薩摩藩の家老として、やらなきゃいけないこと、守らなければいけないことっていうのも、やっぱりあって。だから、現代に置き換えると、ちょっと中間管理職みたいなところもあったのかなと感じます。それも含めて、演じていて、すごく面白い役でした。

――全体が小松帯刀の物語ならともかく、途中から登場して、そういう説得力を持たせるという意味では、かなり難しい役だったのでは?

町田:そうですね。ドラマ自体は西郷の物語なので、西郷たちの行動を中心に描いていくんですけど、その裏で小松帯刀が何をしていたかっていうのは、劇中ではあまり描かれません。史実的にもいろいろな解釈があるんですよね。だから、そのあたりは監督といろいろ話しながら、ドラマに描かれない部分も、ちゃんと自分の中で埋めていくように心がけました。

――いわゆる薩長同盟のときも、劇中で描かれていた以上に、裏で小松帯刀が頑張っていたようです。

町田:薩長同盟は、京都の小松亭で行われたわけですし、そこにいちばん尽力した人物が小松帯刀だっていうふうに言われたりもしているので。一橋慶喜との繋がりも、全部小松帯刀がやっていたと。だから、西郷や大久保より若いながらも、そうやって背負っているものが大きい人物に見えないと、多分説得力がゼロになってしまうなとは思っていました。登場したての頃から、そういういで立ちでいようっていうのは、かなり意識していましたね。

――とはいえ、実年齢で考えると、町田さんと小松帯刀って、ほとんど同い年なんですよね。それも不思議な縁だなと。

町田:そうなんですよ。もちろん、当時の28歳と今の28歳は、雲泥の差があると思います。今で言うと50代ぐらいの達観したところがあったんじゃないかと思っていて。当時は、寿命とかも短かったでしょうし、そもそも幼少の頃からやっていることの量とか質が、違っていたと思うんです。年齢は同じですけど、精神はもう遥か先を行っていた方なんだろうなと思いました。

●『西郷どん』に込められた魂のぶつかり合い

――“大河ドラマならでは”と言えば、地方でのイベントがあります。町田さんも、この7月に、井戸田潤さんと一緒に、鹿児島でトークショーをされていますね。

町田:はい、行かせてもらいました。それはホントに大河ならではというか、すごく特別なイベントでしたね。やっぱり、そのドラマの舞台になっている場所に行って、現地のみなさんの前でお話しする機会なんて、なかなかないですから。しかも、今回のように、お客さんと対話するような形でやらせていただけるのは、やっぱりNHKさんだからこその話だと思います。

――鹿児島に行くのは、ドキドキだったんじゃないですか?

町田:ドキドキでした(笑)。小松帯刀と言ったら、向こうの方たちからしたら、西郷、大久保に並ぶヒーローなので、一体どんな叱咤激励を受けるんだろうって思って。でも、実際行ってみたら、みなさん「良かったです」とか「楽しみに観ています」とか、すごく温かい言葉を掛けてくださったので。何かホッとしました(笑)。あと、僕の場合は、鹿児島だけではなく、8月に僕の出身地である群馬県で、しかも僕が生まれ育った地元の街で、それこそ僕が成人式をあげたホールでも、トークショーをやらせていただいたんです。

――まさしく“凱旋”じゃないですか。

町田:地元の親友だったり、お世話になった先生とかも協力して、いろいろサプライズみたいなことをしてくれて、本当に感動しました。役者というのは、不安定な職業ではありますけど、うちの両親もそのイベントに来てくれたので、ちょっと安心させてあげることもできました(笑)。あと、両親だけではなく、お爺ちゃんお婆ちゃんも楽しんで観てくれたのは、大河ドラマだったからこそだと思います。

――すでに町田さんはクランクアップされているとのことですが、実際に大河ドラマの現場を終えてみて、今どんなことを感じていますか?

町田:もう単純に出演することができて良かったです。大河ドラマで、しかも幕末、明治維新を描いている『西郷どん』だからこそ、熱いシーンがたくさん散りばめられています。そのなかに、自分も毎回のように関わらせてもらっていたので、本当にもう、今後もできるかわからないぐらいの経験をさせてもらったなと思っています。

――改めて、大河ドラマ『西郷どん』の見どころを。

町田:何と言っても日本を動かそうとしている人たちの、魂のぶつかり合いと熱量ですよね。その熱量は、現代を生きている視聴者の方々にも、きっと伝わると思うんです。こういう人たちがいたから、今こうして生活できるんだとか、今の時代でも、『西郷どん』の登場人物たちみたいに、何かを成し遂げてやろうっていう強い思いがあれば、きっと何でもできるんじゃないかなって思います。

――これまで数多くのドラマや映画で描かれてはいますけど、やっぱり幕末は面白いですね。

町田:幕末、明治維新の時代というのは、もう見どころがあり過ぎるぐらい、いろんなことが起こっていますね。作品を観て、単純に「時代劇っていいな」って思ってもらえたら、僕は嬉しいです。教科書とかに載っているような人たちが、このドラマではその時代を生きた“人間”として描かれているので。そういう楽しみもあると思います。

(取材・文=麦倉正樹/写真=池村隆司)

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