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THE YELLOW MONKEY『9999』武道館試聴会サプライズ演奏 直接届けた感動とファンへの思い

リアルサウンド

19/3/28(木) 23:50

 THE YELLOW MONKEYが、4月17日にリリースを控えた19年ぶりのニューアルバム『9999』の世界最速先行試聴会を3月28日、日本武道館にて開催した。この先行試聴会にはアルバムタイトルにちなんで、抽選で選ばれた9,999名のファンが来場。2016年の再集結から3年を経てついに完成したオリジナルアルバムを「いち早く聴きたい!」というファンの思いが、会場の至るところからビシビシと感じられる特別な1日となった。

参考:THE YELLOW MONKEY再集結後の軌跡が凝縮 『9999』全貌を現場スタッフの証言と共に解説

 そもそも、こういった先行試聴会はレコード会社の会議室やちょっと大きめなイベントホールなどで開催されることはよくあることだが、武道館を貸し切って、しかも無料招待で実施されるケースは前代未聞。こういった大掛かりな試みからTHE YELLOW MONKEYのファンに対する誠実な思いが伝わってきた、そう感じた人は多かったのではないだろうか。

 会場内は通常のライブのような作りとなっており、ステージを覆うような形で幕がかけられ、開演前にはそこにアルバム『9999』のジャケットや、先にYouTubeで公開されたアルバム特典DVD収録の「SELECTION of THE YELLOW MONKEY」ダイジェスト映像が映され観客のテンションを高めていく。そして定刻が過ぎた頃に場内が暗転すると、スクリーンと化した白幕にはアルバムレコーディングの模様を収めたドキュメント映像「STORY of THE YELLOW MONKEY」のダイジェスト版を上映。いよいよここから待望のニューアルバム『9999』先行試聴が始まる……そんな胸の高鳴りを抑えられない状況下で、場内には印象的なギターフレーズが響き渡る。アルバムのオープニングを飾る新曲「この恋のかけら」とともに、ついに試聴会がスタートした……と思った瞬間に、白幕が落とされる。

 幕の向こうにいたのは、紛れもないTHE YELLOW MONKEY本人だった。吉井和哉(Vo)、EMMA(Gt)、HEESEY(Ba)、ANNIE(Dr)、そしてサポートメンバーの鶴谷崇(Key)というおなじみの5人が姿を現すと、オーディエンスは思いもしなかったサプライズに大歓声で応える。誰もがアルバム音源を武道館で聴くイベントだと思っていたところ、なんとバンド自身が新作のオープニングナンバーを生演奏で初披露する……こんな特別なプレゼント、きっと誰もが予想していなかったはずだ。

 観客は最初こそ悲鳴にも似た喜びの声を上げたものの、曲が進むにつれて徐々にその世界観に引き込まれていく。リズムに乗せて体を揺すりながら、この日初めて耳にする新曲に浸っているようだった。一方のバンドも、初めて初披露する新曲を聴く者にしっかり届けようと、丁寧かつ慎重に演奏する。その様子から、ツアー初日ともまた違った緊張感が見て取れた気がした。

 ミディアムテンポでじっくり聴かせる「この恋のかけら」を終えると、THE YELLOW MONKEYの面々はそのままアルバム2曲目「天道虫」へとつなぐ。どうやら今回の先行試聴会はただ音源を流すのではなく、バンドがアルバム収録曲を収録順に生演奏で聴かせるという奇想天外な形で進行するようだ。そうと気づくや否や、耳馴染みのある「天道虫」を前にオーディエンスの熱気は一気に上昇していった。

 その後も、グルーヴィーな新曲「Love Homme」やすでに定番曲になりつつある「Stars」など、アルバムの構成をなぞりながら新曲と既発曲が交互に披露されていく。そんな中で興味深かったのは、メンバーが自身の立ち位置からほとんど離れず、また曲中や曲間でMCの類がまったくなかったこと。つまり、これはニューアルバム『9999』収録曲を生演奏という形でオーディエンスに届けていくため、曲の邪魔になるような要素をすべて排除したということなのだろう。目ではメンバーを追いつつも、意識は場内に響き渡る新曲の数々に集中させることができたのだから、そういった試みはこの日に限って、すべてプラスに作用していたように思う。特に序盤のグルーヴィーなノリから中盤に差し掛かり、「ロザーナ」「Changes Far Away」「砂の塔」、そして「Horizon」といったムーディーかつドラマチックな楽曲群は今回のニューアルバムにおける肝となることが実感できたはずだ。この楽曲群の中では本邦初披露となった「Changes Far Away」、そしてEMMAが作詞・作曲を手がけた「Horizon」が今後新たな代表曲になりそうな気がしてならない。

 その「Horizon」の演奏中、思いがけないハプニングに遭遇することになる。演奏が始まり、吉井が数フレーズ歌ったところで突然「ごめんなさい!」と演奏をストップさせたのだ。それまでMCもなくアルバム曲を淡々と披露してきたTHE YELLOW MONKEYの面々と(淡々とはいいながらも、曲間でメンバーの掛け声などが聞こえてくるなど、徐々にテンションが上がっていたことは伺えたが)、それを見守る観客の間に初めてリラックスした笑いが起こる。吉井は「一番大事な曲なのに!」と歌詞を間違えたことを謝罪しつつ、「今日は試聴会ということで、ここまでMCなしで進めてきたのですが……正直しんどかったです(笑)。みんなを前にするとテンションが上がっちゃうから」と笑いながら本音をこぼす。そして改めて「Horizon」を再演し、再び場内を感動的な空気で包み込んだ。

 ここからアルバムも終盤に突入。グラムロックにスモーキーさを加えた「Titta Titta」を経て、再集結後のテーマソング「ALRIGHT」でいつものライブ同様の盛り上がりを見せたところで、残すところ1曲となってしまった。ここで吉井が改めて来場者に挨拶をし、「19年待ってくれたファンに、リアルタイムで聴いてもらいたい。だったら、自分たちが感じた感動をみんなにも、生演奏で感じてもらいたかった」とこういった形での先行試聴会になった意図を説明した。つまり、アルバム『9999』に用意された特典映像やボーナストラック同様、この試み自体も19年待っていてくれたファンへの感謝の気持ちの表れにほかならないのだ(参照:THE YELLOW MONKEY再集結後の軌跡が凝縮 『9999』全貌を現場スタッフの証言と共に解説)。

 この先に待ち構える苦労・苦難を改めてこの4人で乗り越えていくと宣言し、「今度はツアーで会いましょう!」と挨拶してからラストナンバー「I don’t know」を披露。現在のTHE YELLOW MONKEYの強さ、頼もしさが凝縮されたこの曲を終えると、メンバーの顔には安堵の笑みが浮かび上がる。こうして全13曲のアルバム収録曲をアルバム発売3週間前に、生演奏で先行試聴するという画期的なイベントは大盛況のうちに幕を下ろした。

 こうやって生演奏で聴く新曲群はスタジオ音源とはまた異なる生々しさが感じられた。きっとリリース後にCDで聴いた際には、この試聴会の興奮を追体験したり、あるいはスタジオ音源ならではの新たな発見ができたりするのだろう。そして、4月27日からスタートする全国ツアー『THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL-』ではさらにスケールアップした新曲群に出会えるのではないだろうか……そう信じてやまない。(西廣智一)

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