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いま、最高の一本に出会える

“天才ウクレレ少年”近藤利樹の可能性 NHK みんなのうた「デッカイばあちゃん」から紐解く

リアルサウンド

18/7/3(火) 18:00

 今年6月からNHK『みんなのうた』で流れている「デッカイばあちゃん」が、ママ世代を中心に話題を集めていることを、ご存じだろうか? 歴史が長い番組ながら、最近で言うと半崎美子「お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙~」など、常に老若男女に響く歌を発信し続けている『みんなのうた』。その最新の注目ソングが「デッカイばあちゃん」なのである。

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 歌っているのは、これまでも天才ウクレレ少年として評判が高かった近藤利樹、11歳。小学生男子の視点を生かした歌詞が、雑味のないハイトーンボイスで歌われる「デッカイばあちゃん」。歌詞は、浦島太郎(桐谷健太)「海の声」や、菅田将暉「見たこともない景色」などを手掛けた篠原誠が、近藤利樹の綴った彼自身の祖母とのエピソードを元に書き上げた。また、作曲はJUJU「やさしさで溢れるように」の大ヒットで知られる小倉しんこう。二人のヒットメーカーに支えられて、近藤利樹は自身の愛すべきキャラクターやウクレレのスキルを最大限に生かした「デッカイばあちゃん」を完成させたのだ。

 この歌の素晴らしさは、とにかく“リアル”であること。現役の子どもが祖母のことを歌えば、自然とリアルになるとは思うが、そこに加えて、“きれいごと”に着地しない子どもの本音が感じられるのだ。特に、〈結婚するまでは ひ孫できるまでは 生きて〉と、限りある死を見つめながら、愛情を伝える孫心にはグッとくる。また、その後で〈飴ちゃんあげるで〉と、関西人らしいユーモアで和ませるところも、ホッコリさせられる。そして〈アツアツの鍋ぶた 素手でつかむ〉〈開かないカンカン パッと開ける〉など、絶妙に挟み込まれる“スーパーおばあちゃんあるあるエピソード”もリアルであり、多くの共感を呼んでいる一因だろう。筆者にも小さな子どもがいるので、この歌の様々な表現と我が子の言動を重ね合わせると、グッとくるものがある。

 もうひとつ、“リアル”と感じた理由が、さらりと今っぽい言葉が取り入れられているところ。特に、〈声デッカイ 僕のばあちゃん 拡散力あるで〉は、SNSで使われている“拡散力”という言葉を使うことで、SNSなどなくても声のでっかさで拡散したるわ! というようなパワフルなおばあちゃん像が浮かんでくる一節になっている。

 そして、近藤利樹はシンガーだけではなく、もちろんウクレレ弾きでもあるということで、「デッカイばあちゃん」では、そのウクレレの音色も堪能することができる。彼は、「ウクレレは俺の心臓や!」と語っているのだが、聴いていると確かに、その“心”がウクレレの音色から伝わってくるのだ。

 そんな彼のウクレレ少年としての魅力を、もっともっと感じたいなら、7月4日にリリースされる、彼のメジャー第一弾ミニアルバム『UKULELE DAYS』を聴いてみてはどうだろうか。

 そもそも、7歳でウクレレをはじめた近藤少年。早々に才能を発揮し、9歳でソニーミュージックアカデミーウクレレコンテストにおいて優勝を果たす。さらに、第8回 ジ・ウクレレコンテスト関西予選でも入賞。スーパー小学生として、10歳でソニー・ミュージックエンタテインメントと契約、様々なメディアで取り上げられるようになっていった。現在は、NHK Eテレで放送されている、子どもから大人まで楽しめる音楽番組『ムジカピッコリーノ』にレギュラー出演している。

 今作において、彼の持ち味である“高速ウクレレ”が最も発揮されているのは、北海道民謡「ソーラン節」のカバー。なんとこちら、世界的なウクレレ奏者であるジェイク・シマブクロがプロデュースしているのだ。ほかにも、小学生が歌うからこそのストレートな良さが伝わってくるだけではなく、彼のユーモラスなキャラクターも垣間見ることができる「学園天国」のカバー、マーク・ロンソンの大ヒットナンバー「Uptown Funk」の大人びたウクレレカバーなど、全7曲を収録。もちろん「デッカイばあちゃん」も入っている。涼しげなウクレレの音色は、これからの季節にもぴったりだ。

 近藤利樹は「デッカイばあちゃん」と『UKULELE DAYS』をきっかけに、同世代の子どもやママ世代だけではなく、もっともっと幅広く名前と音を広めていくことになるだろう。少年の可能性は、まだまだ果てしない。いち早く出会っておいて損はないはずだ。

■高橋美穂
仙台市出身のライター。㈱ロッキング・オンにて、ロッキング・オン・ジャパンやロック・イン・ジャパン・フェスティバルに携わった後、独立。音楽誌、音楽サイトを中心に、ライヴハウス育ちのアンテナを生かしてバンドを追い掛け続けている。一児の母。

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