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いま、最高の一本に出会える

a flood of circleは極めて健全なロックンロールバンドだ 『Here Is My Freedom』最終公演レポ

リアルサウンド

18/8/8(水) 18:00

 7月8日、マイナビBLITZ赤坂。ジャック・ホワイトの「Respect Commander」を始めとする場内BGMがノイズSEに切り替わると、バンドロゴの映し出されたスクリーンにもノイズが走り、メンバーがオンステージ。「Where Is My Freedom」がスタートする。爆音の中、寒暖色のレーザー照明に照らされた佐々木亮介(Vo/Gt)が、両手を泳がせながらラップをブチかます、という衝撃のオープニング。大サビからハンドマイクに切り替え、煽っていく姿は、「うおっ、いきなりやってくれるぜ!」という感じ。少し前まではR&Bやヒップホップがロックを取り入れていたけれど、すっかり逆になってしまった世界の潮流の中で、ラップをサンプリング的に模倣するのではなく、あくまで肉体化させた、つまり日本語らしい譜割に大きなリズム、不穏なギターリフ、多彩な音符でグルーヴを生みつつコードを支えるベース、という新たなバンドサウンドを確立している。

(関連:a flood of circle、新たな4人でのスタートを切った “アオキテツ正式加入式典”を観て

 2曲目「Blood & Bones」以降、佐々木は2本のファルコンをかき鳴らす旧来のスタイルを中心にステージを展開させる。厚みを増したミドルレンジのカオスなモアレ感が、先ほどまでとまた違った角度から、得体の知れない興奮を呼び起こしていく。そういうわくわくこそが、a flood of circleの体現したいことなのだと思う。

 バンドとはなまものだ。日によってまったく違うライブになることも珍しくないし、ツアーバンドならなおのこと。何が言いたいかって、彼らはこのツアーでめちゃくちゃよくなったよね、という話だ。a flood of circleのライブは、ほとんどの作詞作曲を手掛け、フロントマンでもある佐々木亮介がどれだけブッ飛べるかにかかっている。そのために3人のプレイヤーが曲の心臓としての地盤を固めたうえで爆発する。それが佐々木に火をつける、といった構造を持つ。

 2016年9月1日、熊谷HEAVEN’S ROCK公演にてアオキテツ(Gt)をサポートに迎えてから、しばらくは地盤を築く段階が続いた。そして完成度が高まってきた今年2月、8枚目のアルバム『a flood of circle』をリリースしたことで、新曲をライブでやるための土台構築に再び突入する。4月よりスタートした今回のツアー。たとえば5月23日の水戸LIGHT HOUSE公演において、3人のアンサンブルは曲の意志を具現化することで精一杯という印象だった。Eということもあってか、「(ライブハウスでの当日)リハはなんとなくやってたんだけど、最近は姐さん(HISAYO/Ba)が鬼軍曹として仕切ってくれてた」(渡邊一丘/Dr)ようだ。鬼軍曹という可愛げのない呼称にHISAYOはぷんすかしていたが(笑)、そういう積み重ねがきっちり結実していたのがこの日のライブである。

 5曲目「FUCK FOREVER」の焦燥溢れる疾走感、7曲目「Leo」の壮大な革命のビート、8曲目「Summer Soda」の透き通るハーモニーとざらついたサウンドのコントラスト……。ステージの流れゆくうねりの中で、血の通った演奏が感情の花を咲かせていた。そのおかげで佐々木のタガも見事に外れ、ハイライトとなった16曲目「シーガル」と17曲目「ミッドナイト・クローラー」は、ピッチやタイム感の大らかさが歌のダイナミズムを爆発させまくっていた。それどころか、アンコール2曲目「ベストライド」の間奏で、佐々木はHISAYOと向かい合い、ギターも弾かずにただただ楽しんでいるだけの瞬間まであった。

 「ツアーファイナル、でも俺たちにとってこれは始まりの日なわけ」(佐々木亮介)。4人のa flood of circleとして初の旅が終わった。が、ほんとにここからだ。まだまだ伸びしろだらけである。ロックンロールの本質が自由の解放だとすれば、何の縛りもない視座から音楽を前進させよう、歴史をぶん殴ってやろう、そのほうがわくわくするじゃん! という今の彼らは、極めて健全なロックンロールバンドである。こういうバンドが少数派である現状はとても不思議なのだけど、そんな蛇足はさて置き、アンコールで発表されたニューシングルのリリースと、新たなツアーの開催を楽しみに待ちたいと思う。(取材・文=秋摩竜太郎)

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