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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

「氷上の王、ジョン・カリー」ジャパンプレミアにて、左から町田樹、宮本賢二。

町田樹、ジョン・カリーへの尊愛から令和のフィギュアスケート界まで語り尽くす

ナタリー

19/5/9(木) 23:23

「氷上の王、ジョン・カリー」のジャパンプレミアが、本日5月9日に東京・新宿ピカデリーで行われ、本作に字幕監修・学術協力として参加した町田樹と、振付師の宮本賢二が登壇した。

本作はアイススケートをスポーツから芸術へ昇華させたと評される英国のスケーター、ジョン・カリーの栄光と孤独に迫るドキュメンタリー。2018年にプロスケーターを引退したのち研究者の道へ進んだ町田は、雑誌でフィギュアスケートのプログラムを批評する連載を始めた際、第1回のテーマに選んだのがジョン・カリーだった。それがきっかけで本作に携わることとなったと明かし、カリーの魅力について「彼はフィギュアスケーターと同時にバレエダンサーも志したんです。デュアルキャリアを歩んだ者にしか出せない美を、彼は氷の上で体現していました。スケート靴を履いた人間が美しく映える身体のフォルムを熟知した人だと思います」と熱く語る。

高橋大輔や羽生結弦といったトップスケーターやアニメ「ユーリ!!! on ICE」の振り付けを手がける宮本は、カリーへの印象を「完璧主義者。1つの狂いも出さないぞという思いを感じました」と表現。町田も深くうなずき、「彼はオリンピックでもノーミスでゴールドメダルを獲ったんですが、伝記によると直前1カ月間の練習もノーミスだったらしいですよ」と話して宮本を驚かせる。司会者からどの程度のすごさなのか問われると、町田は熟考したのち、自身が2014年世界選手権で銀メダルに輝いたシーズンを例に挙げて「あのシーズンにフリープログラムを1カ月間ノーミスで滑ろと言われても、ロト6を当てるのと同じくらい難しい」と苦笑。改めてカリーのスケーティングを「練習に裏打ちされた結果と美ですね」とたたえた。

また2019年よりフィギュアスケート専門誌で年1回の連載「町田樹セレクション・スペシャルアワード」を開始した町田は、“自身の独断で勝手に贈るアワード”という連載のコンセプトにならい、カリーに贈るアワードを考えることに。町田は「ポラリス賞を贈ります」と回答。その理由を「ポラリスとは北極星のこと。彼は不動の基点として輝き、フィギュアスケーターの誰もが指標とする人なんです」と説明した。さらに「フィギュアスケートはもちろんスポーツなんですけど、それと同時にアートやエンタテインメントである。そうやって当たり前のように言えるこの状況は、ジョン・カリーの世代のがんばりだと思うんです。1960年代、1970年代は男が優雅に踊ることが許されなかった。彼はその偏見を打ち破った人なんです。私もプロとして活動していたときは、フィギュアスケートは芸術であり舞踊であることを社会に発信したいという思いでがんばっていました。私にとってもジョン・カリーという人は“ポラリス”なんです」と、とめどなくあふれる思いを口にする。

平成から令和に移り変わり、2人は新たな時代のフィギュアスケートについても語り合った。宮本は「4回転半や5回転が来ると思うんです。技術が上がると同時に、芸術性もどんどん上げていかなければならない」とカリーの遺志を受け継ぐように考えを明かす。町田も「間違いなく技術は革新的になっていくでしょう。その技術で何を表現したいのか?ということですよね」と同意。また観戦する立場としても「間違いなく(採点に)にAIが関与してくると思います。オリンピック競技になっている以上、技術の優劣は客観的に判断しなきゃいけない。だから令和の時代は、AIに支配されない演技のできる者がスタースケーターのポジションに付けるのだと考えます」と持論を展開した。

「氷上の王、ジョン・カリー」は5月31日より、新宿ピカデリー、東劇、UPLINK渋谷、UPLINK吉祥寺ほか全国で順次公開。

(c) New Black Films Skating Limited 2018

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