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クイーン・ナイジャ、キアナ・レデ……2019年上半期新世代R&Bアーティスト作品を振り返る

リアルサウンド

19/6/26(水) 14:00

 「Boo’d Up」のヒットで2018年R&Bの顔とも言われたエラ・メイや、『第61回グラミー賞』にノミネートされたH.E.R.を筆頭に、ラップシーンにも負けず劣らず盛り上がりを見せている昨今のR&Bシーン。数多くの新人アーティストがひしめき合う中で、今回は2019年上半期にリリースのあった注目のアーティストを4組選出してクローズアップします。

元夫の浮気について歌った「Medicine」で一躍ヒット:クイーン・ナイジャ

 まずは、アフリカンアメリカ、アラブ、イタリアの血を引く1995年生まれの23歳、クイーン・ナイジャ。“クイーン”の名は祖母から引き継いだ本名だという。10代のときに『アメリカン・アイドル』に挑戦し、そこでは惜しくも脱落してしまった彼女だが、当時の夫でありラッパーのクリストファー・セイルスとの生活をドキュメントし、いわゆるYouTubeブロガーとして人気者に。同チャンネル内でも歌声は披露していたが、音楽キャリアが本格化したのは夫クリスと離婚後の2018年頃だ。別れの発端と言われている相手の浮気について歌った「Medicine」がファンベースの域を超えてヒットし、『The Billboard Hot 100』で最高45位をマーク。現在MVは1.2億回以上の再生回数を記録している。2018年7月に配信されたEP『Queen Naija』では洗練されたソングライティングのセンスをみせ、年末の『Soul Train Awards 2018』内ではエリカ・バドゥがキュレーションを務める名物企画「Soul Cypher」にも大抜擢されるなど、R&Bコミュニティの注目度も急上昇中のクイーン。新しいパートナーであるクラレンスとの間に子を授かり、公私ともに好調な彼女の最新曲「Away From You」は、夏にピッタリのアップテンポチューンで、フルアルバムにさらなる期待がかかるところだ。

MEDICINE – QUEEN NAIJA (OFFICIAL VIDEO)
Queen Naija – Away From You (Audio)

ケラーニとも通じるユニークなスタイル:キアナ・レデ

 続いては、エキゾチックな容姿にも思わず目を奪われるキアナ・レデ。元々はキッズ歌手としてオーディションを勝ち抜き<RCA>とも契約を結んでいたが、ポップスターのレッテルを貼られることを嫌がりレーベルから離脱。現在のリパブリックレコードに移籍してから大人の女性としての才能が開花した。2018年のEP『Selfless』に収録された「EX」は〈別れた後も“元カノ”になんてなりたくない。友だちでいたいの〉という印象的なリリックで話題を呼び、リル・ベイビーを迎えたバージョンに加え、フレンチ・モンタナと共に90’s R&Bクラシックであるトータルの「Can’t You See」へのオマージュとなるリミックスを展開するなど、ロングヒットをみせている。勢いに乗るキアナは2019年6月、最新EP『Myself』を発表。オフセットのラップも光る「Bouncin’ feat.Offset」では思い切りポップに弾け、「Heavy feat. Jenifer Lewis」では精神面における葛藤を赤裸々に歌いあげるなど(同曲にはタイラー・ペリー関連の映画でもおなじみの女優ジェニファー・ルイスが参加)、その表現力の幅もさらに磨きあげられている。2018年に初来日を果たしたケラーニなどに通じるユニークなキアナのスタイルは、日本でも人気が出てしかるべき存在だろう。

Kiana Ledé – EX
Kiana Ledé – Bouncin ft. Offset

 EXO、テミンらへの楽曲提供も プロデュースとしても敏腕:レイヴィン・カリ

 また、女性シンガーだけでなく男性陣のリリースの勢いもあった上半期だが、サンタモニカを拠点に自身でプロデュースも手がけるシンガーソングライター、レイヴィン・カリはその中でも若手注目株の筆頭だろう。2017年にプレイボーイ・カーティのデビューミックステープに客演したことで脚光を浴びたほか、EXOやテミン(SHINee)、Red Velvetらの楽曲制作を担当。さらにはクインシー・ジョーンズから寵愛を受けるという経歴からも、彼の大器ぶりは明らかだ。各社争奪戦の末、今年5月にはインタースコープから待望となるフルアルバム『Low Tide』を発表。影響を受けたアーティストにスティーヴィー・ワンダーやThe Beatles、2パックにデヴァンテ・スウィング(Jodeciのメンバー)を挙げる通り、多様なバックグラウンドがうかがえる傑作で、The Internetのシドとドリーミーに絡む「Do U Wrong(feat.Syd)」や、爽快に駆け抜けるブギー「Cassandra」、ブラコン期を思わせるスロウジャム「1 on 1」など駄曲は一切なし。既発作から一連のカラフルなアートワーク同様に、色彩豊かな出来栄えとなっている。ドラムにピアノ、ベースまで自演するレイヴィン、ぜひとも来日公演を熱望したい。

Leven Kali – Do U Wrong ft. Syd
Leven Kali – Mad At U

 “ザ・ペン”ことショーン・ギャレットも彼に注目:エイヴェリー・ウィルソン

 最後に紹介するのは、今回のラインナップの中では一番の正統派な“歌うまシンガー”、エイヴェリー・ウィルソン。幼少期の頃から地元コネチカット州のオープンマイクで名を馳せ、2012年に人気オーディション番組『The Voice』のシーズン3に登場した彼は、テヴィン・キャンベルを想起させるハイトーンボイスで人気を博したが、惜しくも途中で敗退。その後はビヨンセやアッシャーのソングライターとしても知られるショーン・ギャレット(ザ・ペンの愛称で知られる)に目をかけられ、巨匠クライヴ・デイヴィスのもと、<RCA>と契約するもアルバムリリースには至らず……と実力を持て余していたが、数年を経てインディペンデントにベースを移し活動を再開。6月18日に配信されたばかりのEP『8:34』(タイトルはエイヴェリーの産まれた時刻)は、R&B度数がグンと高まった充実作となった。セクシーさと清潔感が同居した先行シングルの「Callin’」も素晴らしいが、極め付けはクリストファー・ウィリアムズによる1990年のクラシック「I’m Dreamin’」のメロディを用いた「Reckless」。ニュージャックスウィング特有のハネ感をトラップソウル的なビートに落とし込むという手法で、ありがちなオマージュとは一線を画した新鮮な仕上がりに。愚直なまでの歌バカっぷり(褒め言葉)が気持ちよく今後もっと大切にされてほしい才能だ。

Avery Wilson – Callin’ (Official Music Video)
Reckless

◾️Yacheemi
読み方はヤチーミ。ダンサーとして国内~ジャマイカでバトル・コンテストでの入賞を経験し、ひょんなことからヒップホップ・グループ「餓鬼レンジャー」の正式メンバー兼マスコット「タコ神様」(要検索)として加入した異例のフリースタイラー。ナイトクラブを主戦場にしながら、DJ・ライターとしても駆け出しで活動し、バンド「G. RINA & MIDNIGHT SUN」ではダンス&コーラスも担当するなど、各所で擬態を続けている。

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