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『MEG ザ・モンスター』監督が語る“サメ映画”の醍醐味 「観客に安心感を与えないことが大切」

リアルサウンド

18/9/6(木) 12:30

 ジェイソン・ステイサム主演映画『MEG ザ・モンスター』が9月7日に公開される。『ナショナル・トレジャー』シリーズや『ラスト・ベガス』のジョン・タートルトーブ監督がメガホンを取った本作では、潜水レスキューのプロであるジョナス・テイラー率いる海洋エキスパート・チームが、物学の常識を超えた“モンスター”=MEG(メガロドン)と対峙する模様が描かれる。

参考:巨大ザメがビーチを襲う ジェイソン・ステイサム主演『MEG ザ・モンスター』本編映像公開

 今回リアルサウンド映画部では、タートルトーブ監督にインタビューを行い、本作が他の“サメ映画”と一線を画す理由や、メガロドンの描写で力を入れたポイント、そして主演のステイサムの魅力などについて話を聞いた。

ーー既にひとつのジャンルとして確立されていると言っても過言ではない“サメ映画”ですが、もともとこのジャンルにはどのような印象を抱いていましたか?

ジョン・タートルトーブ(以下、タートルトーブ):どの“サメ映画”も、ある側面では何か“サメ以外のもの”も描いているよね。チェスに似ているところがあるんじゃないかな。“サメ映画”の作品として印象に残っているのは、『シャークネード』シリーズ。とても悪趣味な作品だけれども、面白い作品だと思うよ。あとはやっぱり『ジョーズ』だよね。『ジョーズ』がどれだけ特別かと言うと、恐怖だけではなく、畏敬の念も持ち合わせていること。“サメ映画”は恐怖をどう現実的に味わえるかが肝だけれども、『ジョーズ』はサメに対して敬意を表することも強調しているんだ。スティーヴン・スピルバーグ監督は、非常に科学的な正確さを用いて、また危険度を増してそれをリアルに描いた。それも、脚本に依存するというより、映画作りが成せる技という部分でそれをやってのけたと思うんだ。

ーー今回の『MEG ザ・モンスター』では、どのような“サメ映画”を作ろうと?

タートルトーブ:『MEG ザ・モンスター』に関しては、映画館に行ってモンスターを観るような楽しみを意識したよ。オールドファッションで、エキサイティングなモンスタームービーが作りたかったからね。その設定を現代に置き換えて、現代的なサイエンスを用いたアイデアを取り入れたし、取り込む姿勢も現代的だったと思う。役者たちに言ったのは、現実的な状況にどう対応するかというユーモアのセンスが、非常にリアルになってくるということ。これは作り手側にも言えることなんだ。ただ、『ジョーズ』という作品があるだけに、その単純な真似だけはしたくなかった。特にこれは音楽に言えることで、ジョン・ウィリアムズのあの最高の楽曲が存在しているのに、それに対抗するような愚かなことはできなかった。観客も作り手も、『ジョーズ』という作品が存在していることが前提にあるわけだから、僕とてしては純粋に観客に楽しい経験をしてもらいたかったし、娯楽映画を作りたいという気持ちが強かったんだ。その考えに基づいているから、少しおかしな展開もあるけれど、いわゆる全く考えのないおバカ映画ではないんだ(笑)。すべて計算されたものなんだよ。

ーー今作の場合、メガロドンの描写が非常に重要だったかと思いますが、登場シーンや人間を襲う描写など、しっかりと恐怖として描かれていたのも印象的でした。

タートルトーブ:どのモンスターもそれぞれ特有の個性があるよね。そして、モンスターを倒すために人々は学習しなくてはならない。サメという生き物は、水中にいないとダメだよね。一方で、人間にとって水に入るということは、非常に危険な状態を意味する。そして、陸に上がると非常に安心感を得られる。この常識をうまく利用して、観客に安心感を与えないことが大切だったんだ。この作品のクリーチャーであるメガロドンは、僕としても正確に描きたかったし、存在した形をリアルに再現したかった。参考になったのは『ジュラシック・パーク』。あの作品でいろんなことを学んだよ。

ーー具体的にどういうことを?

タートルトーブ:どういった状況で、どういったものに対峙するのか、それを観客にうまく伝えていかなければいけないということだよ。それを分からずして、恐怖を感じてもらうことはできないからね。ただ、今回違ったのは、誰しもが恐竜のことを知っているけれど、メガロドンはそこまで知られていないということ。『ジュラシック・パーク』の場合はみんなが恐竜のことを知っているという前提で話が進んでいると思うけれど、今回はメガロドンという知られていない生き物の話だったから、とてもリサーチが必要だったね。

ーーメガロドンの描写でこだわったポイントは?

タートルトーブ:かつて実在したメガロドンという生き物をリアルに表現することだね。皮膚に関しては、いわゆる現代のサメのようなものではなく、古代のものを再現しているんだ。あとは動きも重要だった。メガロドンは現代のサメよりも動きがゆっくりだったと思うんだ。一般的には、動きがゆっくりだったら恐怖感が薄れてしまうと感じるかもしれないけれど、必ずしもそうではない。現実的なスピードで恐怖も持ち合わせているというバランス感覚が非常に重要で、そこはかなり意識したよ。ただ、幸運なことにこの作品はフィクションだ。現代にメガロドンは存在しないわけだし、僕たちにはいろんな選択肢があった。だから、僕たちの中でメガロドンを作り上げて、映画として肉付けしていったんだ。

ーー主演のジェイソン・ステイサムは、本作ではアクションはもちろん繊細な演技も見せていたように思います。役作りにおいて、彼とはどのようなコミュニケーションを取ったのでしょうか?

タートルトーブ:ジェイソンは一緒に仕事をする仲間として最高なんだ。思いやりもあって、ユーモアもある。いつも準備万端で現場に来て、喜んで課題をこなしてくれるんだ。台詞ややるべきことはもちろん分かっているし、肉体的な部分で何が必要かということも分かって準備をして来てくれる。ただ、今回は彼が今までやってきたアクションとはちょっと違う。カーアクションも人との取っ組み合いもない。そういう設定の中でどう作品に取り組むのか。そこで重要になったのが、僕とジェイソンとの信頼関係だったんだ。僕はその信頼感を得ることができたから、普段通りリハーサルをしなくてもうまくできるなと想定したよ。

ーー役者としてのジェイソン・ステイサムの素晴らしさも教えてください。

タートルトーブ:僕が彼をアクションスターとして評価している部分は、傲慢さを全く出さず、守る姿勢も持っているところ。ただいいところを見せようとしてやるのではなく、謙遜しているんだよね。エゴを見せつけたり、自分のやり方を押しつけたりする人ではないんだ。労働者の在り方を倫理観をもって演じることができる人だね。彼がそういう人だからこそ、この作品はここまで成功したんじゃないかな。映画には、敬意を表せて、信頼もできるキャラクターが必要なんだ。特にこの作品は、本当にクレイジーなアイデアてんこ盛りの映画で、そういうキャラクターがいないと説得力が生まれない。役者自身が状況を把握して、信じて取り組まないと、観客はついてこなくなっちゃうからね。(取材・文=宮川翔)

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