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WEAVERは新しい物語を紡いでいく 新プロジェクト『流星コーリング』スタートのライブを見て

リアルサウンド

18/7/19(木) 18:30

 7月7日、WEAVERが『WEAVING ROOM~Festival of WEAVER~ from YouTube Space Tokyo』を開催した。現在WEAVERは、杉本 雄治(Pf/Vo)がミュージカルの劇伴を手掛けたり、奥野 翔太(Ba/Cho)がサポートベーシストとして他アーティストのライブに出演したり、河邉 徹(Dr/Cho)が小説家デビューしたりと、個々の活動も充実している。4月から始まったマンスリー企画『WEAVING ROOM』はその活動を反映するように実験的な内容になっており、この日のライブは同シリーズの出張編という位置づけだった。すでにニュースもリリースされている通り、その日を以って新プロジェクト『流星コーリング』をスタートさせたWEAVER。七夕を英訳すると「Festival of WEAVER」であり、7月7日はバンドにとって思い入れの深い日。杉本曰く、今年の頭ぐらいから「新しいことを始めるなら第一歩はこの日にしよう」という話がチーム内で上がっていたという。改めて説明すると、『流星コーリング』とは、河邉の書いた小説を基にバンドが楽曲を制作していくプロジェクト。この日初披露された新曲「最後の夜と流星」はその第一弾楽曲である。

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 そんな決定的な瞬間を直接目撃できたのは80人弱の当選者のみだったが、YouTubeにて生中継も行われていた。できるだけ多くの人に知ってもらいたいという気持ちがバンド側にあったのだろう。期間限定でアーカイブも残っているので気になる人はぜひチェックしてみてほしい。会場のYouTube Space Tokyoは六本木ヒルズ森タワーの29階に位置している。「いつもより空に近い場所だから願い事も叶いそう」と、杉本がロマンティックなことを言っていたのが印象に残っている。

 七夕にちなんでこの日は星と月をテーマにした楽曲を中心に披露。全9曲、新旧が網羅されていたほか、WEAVER唯一の全編英詞曲「Time Will Find A Way」など、ライブで久々に登場する楽曲も盛り込まれていた。アレンジに関しては、ここ1、2年の間推し進められていたエレクトロ路線からは一旦距離を置いたような印象。序盤はメンバーも観客もやや堅かったが、演奏が進むにつれて、両者ともに和らいでいく。クライマックスにあたる「管制塔」でアグレッシブな曲調も相まって演奏に一層熱が入り、汗が滴り落ちているのがこちらからも見えるほど。「Shine」で杉本がシンガロングを煽るようなしぐさをすると、客席の多くの人がそのフレーズを口ずさんだ。

 MCでは自分たちの意思を3人それぞれの言葉で丁寧に伝えていた。奥野は『流星コーリング』のことを「今の3人にしかできないことを目指したプロジェクト」とし、「今日このライブを以って僕らがやろうとしていることを明かしていこうと思います」と宣言。河邉は、CD→ツアーというルーティンが一般的になっているなか、今年だけは違うことをしたいという想いがあったのだと告白。「WEAVERというバンド名には“WE”が入っている」「3人だけじゃなく、オーディエンス、スタッフも含めた “WE”でありたい」という話をしながら「誰も独りにしないような作品を作っていこうと思います」と語っていた。

 そして新曲のお披露目へ。ピアノのインストトラックをバックに、声優・花澤香菜が『流星コーリング』のイントロダクションにあたるパートを朗読。その後、新曲「最後の夜と流星」が演奏されたのだっだ。小説は、人工流星が初めて降った夜を境に、主人公・りょうはなぜかその日をループしてしまうというストーリー。『夢工場ラムレス』(河邉の小説家デビュー作)と通ずるSFの世界観と、これまでWEAVERの楽曲で多く描いてきたピュアな恋愛模様とを掛け合わせたような感じだ。楽曲の方は、全体的にピアノロック方面に舵を切っているものの、シンセサイザーの音色を大胆に導入。それによって物語の“はじまり”を彷彿とさせる疾走感あるサウンドを実現させたほか、ボーカルのメロディ構成などもそれを後押しするようなものになっている。歌詞は小説とリンクするような内容だ。ちなみにこの朗読~新曲の流れ、本番では映像トラブルがあったのだが、配信終了後に3人が再登場しリベンジを実施。そんな場面からもこのプロジェクトに懸けるWEAVERの強い想いを読み取ることができた。

 アウトプットこそ違っているものの、昨年のツアーで言っていた「みんなが幸せになれる曲を作りたい」「そうしてもっと一緒に音楽を作っていきたい」という言葉は、この日河邉が言っていた「誰も独りにしないような作品を」という言葉とほぼ同義である。また、この日演奏された9曲以外にも、WEAVERの楽曲には歌詞に“星”が頻繁に登場する。それらを改めて読んでみると、“星”は、はてしない“自由”の象徴(この場合、「新世界」にあるように対比として“飛べない僕”が登場する)、あるいはその輝きを今しかないものだとしたうえで“希望”“奇跡”の象徴として使用されており、いずれにせよ“孤独”に寄り添ってくれる存在として描かれている。そう考えると「誰も独りにしないような作品」のモチーフとして“星”を用いたことは、このバンドにとってかなり自然なことである。

 こうして始まった『流星コーリング』プロジェクト、はたしてどのような物語を紡いでいくのだろうか。新曲「最後の夜と流星」は現在配信中。8月17日からはhontoにて小説の配信がスタートするほか、それに伴い、新曲も解禁されていくという。

■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。

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