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いきものがかり、ソフトバンクCM曲「WE DO」で挑戦した“1番だけの曲” J-POP的構成を再考する

リアルサウンド

19/1/8(火) 8:00

 約2年の活動休止期間を経て昨年11月に活動を再開し、昨年末には『第69回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)へ2年ぶりに出場したいきものがかり。本格的な活動の期待に応えて、年明け早々に新曲「WE DO」を配信リリースしてファンを驚かせた。久々の新曲であることに加えて、ソフトバンクのCMタイアップもあって注目を集めている。

(関連:いきものがかりが国民的グループになり得た理由 ソロ活動から活動再開までを追う

 「WE DO」は、ベースラインとドラムスがグルーヴをひっぱっていく、サイケデリック風味のファンクロックだ。作曲の水野良樹がTwitter上で「1番だけの曲はやってみたくて、やってみた」と語っている通り、いわゆる“平歌”の部分は一回しか登場しない。シンプルなサビのフレーズが繰り返され強い印象を残すものの、クライマックスを演出する高揚感のあるサビというよりは、曲をじわじわと駆動させる推進力になっている。

 水野は他に「1番だけ」に挑戦した曲としてDAOKOに提供した「サニーボーイ・レイニーガール」(『私的旅行』収録)を挙げている。こちらもサビの繰り返しが中心になっているものの、ファンキーなグルーヴを押しだす「WE DO」とは対照的に、ころころと風景が変わっていくような緩急のついたアレンジが心地よい。編曲を手がけた井上拓の手腕が光る一曲だ。

 しかし、Aメロ-Bメロ-サビをワンセットとする1番、2番……といったタイプのJ-POP的構成とは違う構成にチャレンジするなら、“楽曲の長さ”も一考してほしいポイントだと個人的に思う。奇しくもいきものがかり「WE DO」もDAOKO「サニーボーイ・レイニーガール」も4分強とポップスとしては平均的な部類の長さになっている。もちろんそれが長すぎるとは思わないし、前者のじわじわと粘る展開も後者のカラフルな展開も魅力的ではある。

 いきものがかりの楽曲は全体的にランニングタイムが長い。参考までに、これまでに発表されたオリジナルアルバム7枚に収録された楽曲は計96曲。そのうち2曲はアルバムのオープニングとエンディングにそえられたインスト曲なので、実質94曲だ(カップリングやベスト盤のみ収録曲、リアレンジも多数あるが割愛)。このなかで4分未満の楽曲は8曲のみで全体の8.5%。逆に、5分を超える楽曲は44曲(約46.8%)、6分以上に限定しても、4分未満の楽曲よりも多い10曲(約10.6%)にのぼる。

 これはいきものがかりがバラードのみを集めたベスト盤をリリースするくらいバラードを得意とするユニットだという事情もあるだろう。とはいえこれは、J-POP全般の傾向とも言える。

 J-POPが長尺になる要因としては、楽曲の中に物語を丁寧に描写していこうという意向が第一には考えられる。物語といっても“主人公がいて起承転結がある”といったことに限らず、感情を盛り上げてクライマックスに導き、カタルシスをもたらす流れ、くらいのゆるい意味だが。J-POPの典型的な構成はそうした物語づくりのフォーマットとしてこれまで存分に活用されてきた。あるいは、J-POP的構成こそがそうした物語づくりをアーティストに促してきたとさえ言える。

 他方、現在の音楽の聴取環境は、より断片化した消費の形態を生み出している。テレビやラジオでのエアプレイやCMソングとしての利用のみならず、InstagramやTikTokといった動画共有SNSの普及によって、キャッチーなフックやドロップだけで成立するようなミーム的な消費は加速している。いきものがかりも先ごろの『紅白歌合戦』では「じょいふる」のサビを使ったTikTokとのコラボ企画に参加しており、その流れの真っ只中にいる。

 水野も続くツイートで自認しているように、新しく開拓することがいきものがかりに求められる役目では必ずしもないだろうとは重々承知のうえで、“1番だけの曲”という試みにのりだしたのならば、4分間というポップソングの“当たり前”も定義しなおすような曲を聴いてみたい、と少し思うのだ。

 では例えば2分間でどんなポップソングが可能だろうか、という向きには、参考までに次の曲を紹介しておこう。

ものんくる / ここにしかないって言って 【MV】 https://youtu.be/PdmXBdswwIc

(imdkm)

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