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いま、最高の一本に出会える

Mom、SASUKE、Mega Shinnosuke……クリエイティブ力に長けた新世代ミュージシャンに注目

リアルサウンド

19/5/28(火) 7:00

 現役大学生の22歳、シンガーソングライター/トラックメイカー・Momが、前作『PLAYGROUND』からわずか半年というスピードで、2ndアルバム『Detox』をリリースした。

(関連:新しい地図への楽曲提供で話題 中学生トラックメイカーSASUKEが持つ、SNS時代ならではの才能

 高校1年生の時に聴いたチャンス・ザ・ラッパーに衝撃を受け、ヒップホップにのめり込んだというMom。Apple社のパソコンには標準バンドルされている、初期のGrimesも愛用していたコンシューマー向け音楽ソフトGarageBandを用いて作詞作曲はもちろん、トラックメイキングやアレンジ、ミックスまで全て1人で作り上げている。

 チープかつローファイなリズムトラックの上に、洗練されたコードやフレーズをギターやグロッケンシュピール、エレピなどで重ねていく前作のサウンドスケープは、ヒップホップやR&B、トラップ以降のビート感覚を備えつつも、シティポップやニューミュージックの要素を色濃く受け継ぐ洗練されたものだった。が、本作『Detox』ではそうした意匠をかなぐり捨てるかのように、音数を極限まで削ぎ落としたシンプルかつミニマルなアレンジと、切々と歌い上げるむき出しのボーカルが聞き手の胸に迫り来る。

 鮮烈なデビューによりシーンを驚かせつつも、本人にとっては「思うような結果に繋がらなかった」という前作の反省を踏まえ、より“歌”と向き合った本作は、本人曰く「ラッパーでもバンドマンでもない」、シンガーソングライターとしてのMomの決意表明のような1枚といえよう。なお、アートワークなども前作同様、iPhoneを駆使して本人が手がけている。

 テクノロジーの変化により、専門的な知識やスキルがなくてもセンスさえあれば誰もが簡単にクリエイティブできる昨今、彼のような“若きクリエイター”が次々と登場し巷を騒がせている。次に紹介するSASUKEはなんと、現在15歳のトラックメイカー。地元である愛媛でも、東京でも授業が受けられる高校に今春進学し、それぞれを行き来しながら学業と音楽活動を両立させている。

 5歳でダンスを習い始め、10歳でニューヨークにある老舗ライブハウス、アポロシアターの『アマチュアナイト』で優勝。14歳の時に、原宿で路上パフォーマンスをしているところを様々なメディアに取り上げられた。中でも注目されたのは、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による“新しい地図 join ミュージック”の楽曲「#SINGING」の作詞作曲を、彼が手がけたこと。さらに、ロサンゼルスを拠点に活動するシンガーソングライター、ルイス・コールが来日する直前には、彼へのオマージュ曲をInstagramにアップし、それがきっかけとなってルイス本人との面会にも取り付けた。

 そんなSASUKEが昨年リリースした、初の配信音源となる「インフルエンザー」は、彼の学校で流行ったインフルエンザをモチーフにしたというユーモラスな“文化系EDMソング”。EDMマナーに則った、バキバキのシンセサウンドや大仰なフィルインを大々的にフィーチャーしつつも、どこか肩の力が抜けた楽曲へと落とし込んでいるのが彼ならではのオリジナリティといえよう。そこはかとなく小山田圭吾を彷彿とさせる、鼻にかかった甘い声も印象的。最近は、去りゆく平成へ向けての楽曲「平成終わるってよ」や、新しい時代・令和への幕開けを祝う「新元号覚え歌」をリリースするなど、常にユーモア精神を忘れない。

 ちなみにライブでは、SASUKEのトレードマークともいえるMASCHINE(パッドを叩いてビートやメロディを奏でるMIDIキーボードコントローラー)を駆使しつつ、ダンスやフィンガードラムなども披露している。ルイス・コールに続き、彼の憧れの存在であるブルーノ・マーズと会える日も、案外と近いのではないだろうか。

 最後に紹介するのは、5月10日に「O.W.A.」を再リリースした現在18歳のMega Shinnosuke。福岡を拠点に活動するバンド、Fow two.の中心人物(当時はメガシンノスケ名義)だった彼は、昨年11月に2曲入りのミニEP『momo』をリリース。TempalayのAAAMYYYがコーラスで参加し、kiki vivi lily × SUKISHAの『Rainbow Town』や、illmoreの1stアルバム『ivy』を手がけたm2nがアートワークを担当し話題となった。

 今回リリースされた「O.W.A.」は、そんな彼がFow two.名義で昨年3月にリリースした自主制作盤『me me glue.』収録曲のセルフカバー。オリジナル曲のMVが、「諸事情」により削除を余儀なくされたため再制作されたものである。新たなMVのディレクターには、高校2年生の映像作家マルルーンを起用。iPhoneにより撮影が行われ、ぱいぱいでか美や眉村ちあき、フワちゃん、ぼく脳など、かねてから交流のある人物を多数出演させたにも関わらず、総制作費が15000円と破格だったことも大きな話題を集めた。もちろん、マルルーンによるサイケデリックかつポップな映像も要注目である。

 以上、駆け足だが3人の新世代アーティストを紹介した。前述したように「テクノロジーの進化」や「SNSの普及」などにより、誰もが手軽にクリエイティブを行えるようになった令和の時代。デジタルネイティブ以降の新世代による全く新しい作品が、今後もさらに増えていくことは間違いないだろう。(黒田隆憲)

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