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オサカナ躍進、けやき坂46への期待、ベビレ解散…『アイドル楽曲大賞』激動の2018年を振り返る

リアルサウンド

19/2/9(土) 16:00

 アイドルが1年間に発表した曲を順位付けして楽しもうという催し『アイドル楽曲大賞』が2018年で7回目を迎えた。これまで、ももいろクローバー「行くぜっ!怪盗少女」、AKB48「恋するフォーチュンクッキー」、欅坂46「サイレントマジョリティー」といった錚々たる楽曲が1位に輝いてきた『アイドル楽曲大賞』。今回のメジャーアイドル楽曲部門の1位には、sora tob sakana「New Stranger」、インディーズ/地方アイドル楽曲部門の1位にはフィロソフィーのダンス「ライブ・ライフ」が選ばれた。

参考:欅坂46、BiSH、エビ中……『アイドル楽曲大賞』はメジャーアイドルシーンの何を写したか?

 リアルサウンドでは5年連続となる『アイドル楽曲大賞アフタートーク』と題した座談会を開催し、ライターとして企画・編集・選盤した書籍『アイドル楽曲ディスクガイド』を著書に持つイベント主宰のピロスエ氏、コメンテーター登壇者からはアイドル専門ライターであり、ガールズカルチャーメディア「VIDEOTHINK」主宰の岡島紳士氏、著書に『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』を持つ音楽評論家の宗像明将氏、日本各地を飛び回るDD(誰でも大好き)ヲタの中でも突出した活動が目立つガリバー氏が参加。前編では、メジャーアイドルシーンを中心に、楽曲の傾向や活動論について語り合ってもらった。(渡辺彰浩)

オサカナはインディーズからメジャーに移行した成功例
ーー2017年インディーズだったsora tob sakanaが、2018年はメジャーデビュー。アニメ『ハイスコアガール』のオープニングテーマに起用された「New Stranger」が1位に輝きました。

岡島:オサカナは、インディーズの頃から上位でしたが、メジャー作でもランキング結果をキープしましたね。2位のベイビーレイズJAPANに大きくポイント差をつけていることからも、期待していた以上の楽曲だったというのが分かります。

ガリバー:今までのオサカナの延長線上ではなく、少し違うアプローチの曲をタイアップに当てたのは勇気がいることだと思うし、その結果リーチする人がすごい増えてランキングに反映された。プロデューサーの照井(順政)さんの才能が、メジャーのプロモーションに上手くハマりましたね。

岡島:照井さんの作家性が高いというのもありますし、職業作家として求められたものに応える能力が高いんだなという。『ハイスコアガール』は、レトロゲームが題材になっているアニメなので、ゲームミュージックとか、チップチューン的な要素をサウンドに加味しています。オサカナのコンセプトにある「少年と少女」のノスタルジアが、アニメとの親和性も高く、アニメファンにも受け入れられたんじゃないかと思います。この曲を聴けばアニメを思い出すし、アニメを観ればこの曲を思い出すような。アニメの評価がそのまま楽曲にも入っていると感じました。

宗像:クオリティの高い楽曲と広まるタイアップという、回路がちゃんと用意されていたという理想的な形ですよね。

ガリバー:オサカナを見ていて、メジャーに上がるタイミングも大事だなと思いました。オサカナのメンバーは、実年齢よりも幼く見える上に、声も幼い印象です。結果、メンバーの多くが17、18歳頃になるタイミングにメジャーに上がれたのはよかったのかな、と。そこまで計算していたのかなとも思いますけど。

岡島:メンバーの幼さをぼやかさせるためには、アニメ方面で活動していった方がいいんだろうなと思っていました。A&Rの人が知り合いなんですけど、もともとアイドル好きなんです。『ハイスコアガール』のエンドロールにも、「New Stranger」のCDのクレジットにも名前があるんですけど、A&Rとして照井さんがやってきたことを変えちゃだめということを分かっている。だからこそ、タイアップと楽曲、双方にとって良い関係性が築けたのかなと想像しています。

ガリバー:オサカナは、インディーズからメジャーに移行した成功している例として、刻まれるべきですよね。

岡島:今年が重要ですね。『アニサマ』(『Animelo Summer Live』)とかに出てほしいんです。

宗像:僕は19位の「鋭角な日常」を、今年のメジャーで一番高い順位にしたんですよ。頭からマリンバが鳴っていて、ブラスセクションもアフロビート。ナイジェリア方面にアプローチしていて、フェラ・クティをリファレンスしている感じ。メジャーに行ってアフリカ音楽にアプローチするのは気が狂っていて、最高だなと思います。

ーー3位の「Lighthouse」、9位の「Lightpool」、11位の「秘密」と『alight ep』から多くの楽曲が上位にランクインしています。

岡島:『alight ep』が作品として凄かったというのもありますね。「Lighthouse」はアンセム感がある曲で、インタビューした時に「野外で歌いたい」と言っていたので、その開放感から上位に来やすかったのかもしれません(参照:sora tob sakana 寺口夏花&風間玲マライカが語る“メジャーデビュー以降”の現状 )。オサカナは、照井さん以外の人の曲も参加し始めているんですよ。3月発売のアルバム『World Fragment Tour』でも、照井さんが所属しているsiraphのメンバーだったり、新しい作家を起用していたりします。

ーーオサカナと同じくらい上位にランクインしているのが私立恵比寿中学で、20位以内に3曲入っています。最高位は椎名林檎のカバー「自由へ道連れ」で4位。13位の「響」は廣田あいかさんの“転校”後、6人体制初の楽曲です。

岡島:作曲がNATSUMENのAxSxE、作詞が後藤まりこ。「響」はエビ中にとって、2018年の代表曲に近いと思うんです。そういったところで、こういったクリエイターを持ってきているのは攻めてますよね。

ー一方で、20位の「熟女になっても」は、フィーチャリングにSUSHIBOYSを迎えています。

ガリバー:SUSHIBOYSは、リリスク(lyrical school)の「シャープペンシル」でもコラボしていました。対バンゲストにも。

岡島:ヒップホップが音楽シーンの主流になって来たために、若い世代に訴えかけようとラッパーを取り入れた、ということかなと思います。リリスクは衣裳的にも、SUSHIBOYSと同じ方向性のファッションを取り入れたり、若いラップ集団の一部という印象を与えているんだと思うんです。エビ中の「熟女になっても」の歌詞は、さつき が てんこもりとSUSHIBOYSの共作、作曲はさつき が てんこもりが担当していて。アイドルがヒップホップグループをフィーチャリングした場合、そのグループがメンバーのラップパートを書くのが普通だと思うんですけど。「熟女になっても」はメンバーのラップパートもさつき が てんこもりさんが書いていて、いわゆる現状のラップの文脈とは少し違う、従来の“アイドルラップらしいアイドルラップ”なんですよ。そこに現在的なSUSHIBOYSがフィーチャリングされて一緒にラップしているという、変わった形式なんです。

ーー以前フェスでSUSHIBOYSを観た時に、「埼玉のど田舎から来ました」と言っていて。「熟女になっても」のMVは、そんなSUSHIBOYSの背景を連想させるような映像です。

岡島:ヒップホップには地元代表をアピールするレペゼン文化がある。加えて、SUSHIBOYSは「田舎の若者たちがお金がないながらも遊びながらラップして映像も作っている」というイメージが、他のラップグループと差別化されている部分です。ランボルギーニを段ボールで作った「ダンボルギーニ」という楽曲を作ったり、田舎の一軒家を秘密基地みたいに改造してスタジオにしていたり。そういった田舎感がありながら、ファッションとラップは今風でカッコイイ。そんなSUSHIBOYSをフィーチャリングにしておきながら、ラップパートを書かせないというのが、エビ中のA&Rチームはすごいなと思いますね。

ピロスエ:つまり、客演みたいな感じ?

岡島:SUSHIBOYSのポジションや存在に注目した形ですよね。かつ、エビ中側は自分たちがやっていることに自信があるんだろうな思います。

ガリバー:30位以内にランキングしている曲を見ても、エビ中は曲調がバラバラなんですよね。最上位はカバーですけど、桜エビ~ずのアウトプットを始め、A&Rチームは2018年、本当に優秀な仕事をしてきたんだなと思います。

岡島:ほかのグループはある程度、楽曲の方向性が決まっていることが多いですもんね。

宗像:2017年のアイドル楽曲大賞、10位にはオサカナの照井さんが作詞、作曲したエビ中の「春の嵐」が入ってたじゃないですか。常に別の方向性にトライしているのが分かりますね。

ーー1位、3位のオサカナに挟まれての2位がベイビーレイズJAPANの「夜明けBrand New Days (farewell and beginning)」でした。

ガリバー:解散ライブの最後に流された映像が、そのままYouTubeにMVとして公開になっているそうで。この曲は2015年のアイドル楽曲大賞で9位に入っていて、それ以来のランクインです。

ーーアウトロ前には〈僕が目指す明日へ 君が目指す明日へ〉から始まる前向きな歌詞が追加されています。

ガリバー:リリース自体は2015年ですけど、アンセム化したのは翌年の2016年です。エビ中がコールの「イエッタイガー」を公式に禁止にしたのが話題になった時、「世界一気持ちいいイエッタイガー」というので、ベビレの動画がすごい拡散されて。それをメンバーも知り、そこからなんですよね。最初は虎ガー(ファンの呼称)の間でしか話題になっていなかったけど、『TIF』(『TOKYO IDOL FESTIVAL』)のサイリウムの一件で、良くも悪くも火が点いた。

岡島:僕が見た動画は、移動中のヲタが「夜明け」のイントロが聞こえてきた段階でフェンスによじ登って、暴徒化し始める映像で。アイドルオタはもうこのイントロに対して条件反射で体が動き出すのかもしれないですね。藤本美貴の「ロマンティック 浮かれモード」のイントロを聴いたら土下座し始める、みたいな。

宗像:『TIF』で言うと、BiSの「nerve」イントロが鳴った瞬間に走っていく感じ。

ガリバー:結果、「夜明け」は新時代のアンセムになったし、荒れる曲で終わったのではなく、最終的にラストライブで美しい形で着地させたのは本当に素晴らしい。こうやって話題になる曲がベビレに出来たというのは、すごい幸せなことだと思うし、誇りだと思います。

宗像:同じく、去年解散したPASSPO☆は1曲も上がってこなかったわけですよ。そう考えると、ベビレは運営の締め方が美しかったですね。解散ライブの夜に動画を上げて、2日後に配信が始まるという。

岡島:ここまで上位に来るのは、解散ご祝儀票ではないですもんね。

宗像:曲のバージョン違いに関しては、ノミネートしていても上位に上がってこないことが山ほどあるんですよね。それと比べると、「夜明け」は上がるべくして上がったというのがみんなの実感なんじゃないかと。

ガリバー:去年解散したグループでは、アイドルネッサンスやバニラビーンズ、PASSPO☆、Cheeky Parade、GEM……は、最後の活動に関して言うと爪痕を残せていないんです。だからこそ、ベビレの終わり方は意味があったんじゃないかなと思いますね。

宗像:ベビレは最後までクリエイティブを諦めずに、アウトプットを出していった。あの流れはほかのグループはやっていないことなんで。

ーー5位はSTU48の「暗闇」です。去年はNGT48の「青春時計」が7位に入っていました。AKB48グループはデビュー曲が上位に入る印象です。

宗像:坂道シリーズも含めて、デビュー曲はインパクトのあるものを出してくる。

ガリバー:そういった意味では、「暗闇」は公開時、坂道系等と言われ少しインパクトが弱いと感じましたけどね。STU48は『TIF』を始め、『@JAM EXPO』など、めちゃくちゃ夏フェスに出て行ったんです。実際にライブで観るのと、MVで観るのとでは、振り付けも変わってるので、印象が違う。それが多くのアイドルヲタに「暗闇」が届いたんじゃないかと。

宗像:ファンはこういう「暗闇」みたいなモードを求めているのかな。アコースティックな曲で、サウンドアイコン的な方面が馴染んでいるのがある。

ーー2月にリリースされる2ndシングル「風を待つ」はどうですか? AKB48「11月のアンクレット」のようなドゥーワップのナイアガラサウンドで。

ガリバー:僕は2ndの表題としては少し弱い気がしましたね……。今年は新たな姉妹グループがいない状態で、海外への進出が進んでいます。海外の姉妹グループは来年ノミネートします?

宗像:タイではBNK48の「恋するフォーチュンクッキー」が社会現象になったり、2018年のBNK48の盛り上がりはヤバかった。サブスクリプションにもBNK48はあるし、例えば「RIVER」がランキングに上がってくる可能性もあったわけですよ。

ガリバー:2019年はBNK48のニューシングルが出る一方で、今のところ新しい国内グループの動きがないんですよ。来年はAKB48本体がいい曲を出さない限り、海外勢が来る可能性はありますよね。海外ファンの投票がもし“群”でやってきたら、全部ランキング制覇されますよ。海外の人たちのアクティビティはすごいから。

岡島:特に、K-POPはすごいという印象がありますね。

ーーそれこそ、IZ*ONEは熱狂的なファンが多いので、群で来たら一気にランキング制覇も。

宗像:IZ*ONEは27位に「La Vie en Rose」が入ってますけど、PRODUCE 48の「NEKKOYA (PICK ME)」が上位に入ってきてもおかしくなかった。

ガリバー:日本デビュー曲「好きと言わせたい」も披露されました。日本向けの活動も活発になっていくはずだろうから、間違いなく上位に来るでしょうね。

宗像:韓国ではファンミーティングも熱心なので、ファンも熱狂的な状態になると思います。特に女性中心ですよね。

ガリバー:日本と海外に向けのアプローチをどうバランスを取っていくのか気になります。

ーー6位は夢みるアドレセンスの「メロンソーダ」で、新メンバーの山下彩耶さんがセンターに抜擢された曲です。

宗像:メンバーの卒業といろいろなことがあった夢アドがメンバーを増員して、またこれだけ評価されたのはすごいな。

ガリバー:センターが新メンバーというのは、ありがちなパターンではあるんですけど、この起用には絶対的な自信があったはずなんですよ。彩耶ちゃんにも実力があるとしても、新体制の夢アドは空気が変わった。楽曲にしてもそうだし、運営の姿勢的なところでも。票数的にも夢アド以降は、グッと票数が空くので、本当の上位争いと言えるのはここまでとも言えます。

ーー7位の東京女子流の「kissはあげない」はどうでしょうか。

宗像:作曲は、フィロソフィーのダンスの楽曲を多く手がける宮野弦士です。16位のMELLOW MELLOW「マジックランデブー」を書いていたりもする。女子流も元々ファンクミュージックをやってるグループで、一昨年の『@JAM EXPO』で女子流を観ているフィロのスのメンバーが、女子流のダンスに圧倒されていたんですね。先行してブラックミュージックにアプローチしていったのが女子流で、そこにフィロのスの楽曲を手がける宮野弦士が参加したと。

ガリバー:女子流は一昨年にアイドルシーンに復帰したけれど、それからヒット曲を出せたかというとパッと思いつかないじゃないですか。そういった意味で言うと、勢いづいたフィロのスのクリエイターから楽曲をもらってくるというのは、今の空気を取り入れつつ運営した結果とも言えますよね。

宗像:僕はフィロのスの方が女子流よりボーカル面においては上なんじゃないかと思っているんですよね。刺激し合う関係になったらいいなと思っています。

ガリバー:2019年の『TIF』でクロスコラボが観られたら最高ですね。

ーー乃木坂46は、昨年『日本レコード大賞』(TBS系)で大賞を獲得した「シンクロニシティ」が8位にランクインしました。

ガリバー:乃木坂46は「君の名は希望」以降、代表曲というものをなかなか見出せなかった。それに、メンバーの卒業が増えていって、卒業シングルと夏曲の繰り返し……というサイクルに見舞われて。グループとしては売れているんだけれども、次の代表曲がないままずっときていた中、ようやく2018年に「シンクロニシティ」という答えを出せたと思うし、メンバーの成長と洗練された大人の表情も「シンクロニシティ」にばっちりハマった。

岡島:生駒(里奈)ちゃんの卒業シングルという意味合いもあったんですよね?

ガリバー:生駒ちゃんは卒業シングルのタイミングだったんだけど、自分の意思で2列目に下がった。それういったことも含めて、今の乃木坂46の雰囲気がフォーメーション、曲調、衣装、MVにまとまっている。完成度が高いし、2018年の乃木坂46の1曲として申し分ない。グループの代表曲としてこのまま大切にしていってほしいし、それが順位に反映されたのは個人的にすごく嬉しかったです。

ガリバー:一方で欅坂46は、グループのアンビバレントな状態が図らずとも顕になってしまった。21人の絆というところから始まったのに、平手友梨奈の不調や今泉佑唯、志田愛佳、米谷奈々未の卒業、原田葵の休業など、なかなか21人が揃わないという状況。これは個人的主観ですけど、楽曲の世界観を体現するのに、彼女たちがついていけなかったというのが原因だと思っていて。「サイレントマジョリティー」は10代の女の子たちがこの曲を歌っていることへの驚き、斬新さから始まっているんだけど、平手を先頭にした体制でグループとしてまとまりきれなかったという。2ndアニバーサリーライブは有意義だったと思うし、アウトプットは素晴らしいんだけれど、メンバーの精神状態が追いつかなかった。そのままグループのまとまりのなさに繋がった。でも昨年の12月に2期生が加入して1期生と一緒に歌番組にも出演しているので、2019年は明るい方向に進んで行くんじゃないかと思います。

宗像:けやき坂46は躍進していたよね。

ーー上位ではないですが、アルバム『走り出す瞬間』の楽曲が多く入ってますね。

宗像:まだけやき坂46を、欅坂46の2軍だと思っている人が多いんですよね。

ガリバー:坂道合同オーディションで、けやき坂46は3期生の加入を1名に止めたんです。いかに今の体制が磐石かということの表れで、2019年のけやき坂46は一番楽しみですね。

ーーアイドル楽曲大賞の常連でもある、わーすたの「タピオカミルクティー」は10位です。

岡島:流行っているものを取り入れるというコンセプトは昔から一貫しています。子ども世代へのアプローチでもある。

ガリバー:アルバムは楽曲の振り幅がすごくて、完成度がすごい。

岡島:スペインのデュオ・Adexe & Nauとコラボした「Yo Qiuero Vivir」を始めとしてメインでは派手なことをやっているんだけど、アルバム曲では楽曲派の喜びそうなこともやっている。

宗像:エビ中もそうでしたけど、楽曲の振り幅が大きいのは面白いですよね。

岡島:インディーズだと、やりたいことは分かるけど予算がないために音やMVのクオリティが低いものがあって。わーすたは衣装から映像からとにかくリッチに作っていますからね。

ピロスエ:「タピオカミルクティー」の衣装は背中にストローが伸びていて、そこにタピオカが入っている。すごく凝った衣装だと思いました。

ガリバー:夏フェスでは、衣装が暑そうなんですけど、彼女たちは苦しそうな表情せずに踊っていて、それもよかった。avexやiDOL Streetにとって、わーすたは希望なんだと思いますね。ゆっふぃー(寺嶋由芙)12位ですよ?

宗像:「君にトロピタイナ」は、NONA REEVESの西寺郷太さんを作詞、作曲、プロデュースに迎え、シーラ・E、Stock Aitken Watermanのネタを仕込むなどして、キャリア上、初めてここまでブラックミュージックに接近しました。加茂啓太郎さんが手がけてブラックミュージックに近づくと、フィロのスと被るんじゃないかという恐れがあるんですけど、西寺さんをプロデューサーに立てたことによって、ディスコな方向に行った。20位以内でも、ソロのメジャーアイドルでは一番高い順位ですね。

ピロスエ:シーン全体として見ても、ソロで活躍しているソロのアイドルはそんなにいない。元℃-uteの鈴木愛理はソロ復帰していきなり日本武道館ライブで驚きましたね。

岡島:海外に留学していた武藤彩未さんもステージに帰ってきましたね。

ーー14位はラストアイドルの「バンドワゴン」。オーディション番組が始まったのが、2017年の夏でシングルリリース自体はその年の12月でした。

ガリバー:「バンドワゴン」の特徴は歌い手が決まっていない中で作られた楽曲ということです。この曲を歌うためにオーディションをして、テレビ番組上でバトルを繰り返し、ようやく最後の7人が決まった。

宗像:ラストアイドルはその後も、セカンドシーズン、サードシーズンと曲をかけた戦いをしているわけですからね。

ガリバー:2018年のラストアイドルを語る時に、「バンドワゴン」ではないなというのがあって。実際、4thシングルまで出しているんですよね。それがどれも上位にランクインせずに、一昨年の「バンドワゴン」でみんなの印象が止まっていた。ライブアイドルとして成長してきたラストアイドルを観てきたので、残念な気持ちもありつつ、「バンドワゴン」がいい曲というのには抗えないですね。

宗像:ラストアイドルは「ほかのアイドルグループとの兼任も可能」(2期生からは兼任不可)ということで、たくさんのライブアイドルがオーディションに参加していった。まさか、パクスプエラの阿部菜々実ちゃんがセンターを張るとは思えないじゃん。C-Styleの八剱咲羅(ファミリーには参加せず)とか、ちゃんと初期段階の審査で見ていたんだなと。

ガリバー:元ライムベリーのMISAKI(木村美咲)ちゃんとかね。

ーー2期生のセンターの一人である橋本桃呼さんは元ハロプロ研修生です。

ガリバー:彼女のラストアイドルとしての最初の握手会に行ったんですけど、「ハロプロから学んだことはなに?」って聞いたら、「挨拶と礼儀」って感動しましたよ。研修期間は4カ月と短いながら、この人は学ぶべきことを学んで帰ってきたんだなと。それでセンターなわけですから。

ーーMaison book girl「言選り」は17位。アルバム部門でも『yume』が7位です。

ガリバー:「言選り」は、詩を生成する箱型AIとサクライケンタが合作で作った楽曲で、そういったチャレンジは評価すべきですよね。コンセプトアルバムの制作に関しては、特に信頼できると思っていて。

宗像:曲単体の強度がすごいんですよ。そこでコンセプトアルバムを作るからとんでもなくすごいことになる。

ーー去年のアイドル楽曲大賞の1位はBiSHの「プロミスザスター」でしたが、今年は上位にはランクインしていないのが意外でした。

ガリバー:BiSHを擁するWACKのグループは、ランキングや外向けの指標軸にそもそも興味がない。特にBiSHに関しては売れてるから、いい意味で踏み台に使っていただいたなという感じではないでしょうか。

ピロスエ:ももクロ(ももいろクローバーZ)とかAKB48がランキング上位に全然入ってこない感じに似ているのかも。まあでも今年はたまたまそうだったのかもしれないし。

ガリバー:WACKは、BiSHのおかげでワンランク上がったというか。動員規模もそうだし、ドルヲタじゃない一般層からのファンが増えた。

宗像:去年は、「プロミスザスター」を『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)で歌ったのが大きいのかもしれないですね。

ガリバー:それで言うと、エビ中はいつも安定して上位なのが不思議なんですよね。

岡島:スターダストって、同人誌とかミニコミとか、ファンカルチャーに対して昔から懐が深いんですよ。運営で“校長”としても知られる藤井(ユーイチ)さんは、『私立恵比寿中学 職員会議』と題して、トークイベントをやってますよね。ファン目線でグループをどう見られているか、ちゃんと気にしている。あとは、このアイドル楽曲大賞って2010年の、ももクロ「行くぜっ!怪盗少女」の1位から始まってるんですよね。その後に、エビ中が出てきているから、割とスタダの層がずっと見ていてくれている気がします。

ピロスエ:でも楽曲部門1位になったことはまだないですね。

岡島:インディーズでは、同じスタダの桜エビ~ずが上位にきたじゃないですか。エビ中の「自由へ道連れ」のポイントを大きく超えていて、いきなりそこまで行ってるんだなと勢いを感じました。(渡辺彰浩)

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