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日向坂46、“ひらがなけやき”としての最後のメッセージに? 欅坂46『黒い羊』収録曲が示すもの

リアルサウンド

19/2/14(木) 8:00

 2019年2月11日に、けやき坂46(以下、ひらがなけやき)が、“日向坂46(ひなたざか)”への電撃改名を発表した。同時に、3月27日に念願のデビューシングルを発売することも決定し、公式ホームページやオフィシャルTwitter、ファンクラブなどを新設。結成から約3年、ついに欅坂46(以下、漢字欅)からの完全独立を果たした。

(関連:けやき坂46、“日向坂46”への改名にメンバー感涙 齊藤京子「3年間やってきて一番嬉しい」

 そこで俄然注目されるのが、2月27日に発売される漢字欅の8thシングル『黒い羊』における、日向坂の立ち位置。今後の展開がどうなるかわからないが、おそらくひらがなけやきとして参加する最後のシングルであり、漢字欅と一緒のシングルリリースもしばらくはないはず。ひらがなけやきとして、最後にどんな曲を残したのだろうか。

 今回、同シングルには「君に話しておきたいこと」と「抱きしめてやる」が収録されるひらがなけやき。「君に話しておきたいこと」は、『カレーハウスCoCo壱番屋「ここいち de HAPPY!キャンペーン」』のCMソングとして使用され、すでにライブでも歌われている。僕と君の出逢いや溢れる思いを言葉にして伝えるといった内容の歌詞で、二期生の小坂菜緒がセンターを担当。今となっては、その後ろをソロ曲&センター経験者の一期生・加藤史帆、齊藤京子、佐々木美玲が固めるといった盤石なバックアップ体制は、独立後の未来を見据えたフォーメーションだったと感じる。

 そして注目なのがもう一つの新曲「抱きしめてやる」(TYPE-B収録)。同曲は、日向坂の渡邉美穂が1st写真集『陽だまり』の宣伝をかねてゲスト出演した、2月5日放送のラジオ『オテンキのり&欅坂46菅井友香のレコメン!』(文化放送)で初解禁された。

 心が浄化されていくような音色(バグパイプのような民族楽器)から始まるこの楽曲は、〈戦ったら 負けることもある〉や〈どんな辛さも 抱きしめてやる〉といった歌詞が並び、どこか「黒い羊」のアンサーソングのようにも捉えられる。また、歌詞の中には〈男だからって 我慢しないで/私が ちゃんと守ってあげるから〉という女性目線であることを示すような言葉もあり、「黒い羊」の“僕”と対をなしているようにも思う。これまでの表題曲が漢字欅の表の姿を表現していたとしたら、カップリングは漢字欅の真の部分や裏の姿を補填するような楽曲になっていた印象だ。「黒い羊」は今までカップリングであった裏側が表に出て来たような楽曲である。それに対する答えや逃げ道である楽曲を、今回はひらがなけやきに託したように感じた。ひらがなけやきにしてはいつもより強めな印象を受けるのは、そういった理由からではないだろうか。

 初めて聴いた菅井は「女神みたいな楽曲。男だからって我慢しないで、私が抱きしめてやる、ちゃんと守ってあげるよというのが、すごく優しい女の子をイメージさせる曲で、ひらがなちゃんにピッタリ」と感想を述べ、渡邉もまた「これまでの楽曲では、上からじゃないんですけど、抱きしめてやるみたいな、女性が強い感じのものをあまり歌ってこなかったので、そこがまた新しくて、強気で歌えました」と語っていた。

 この曲が解禁された日は、まだ改名については発表されていなかったため、7thシングルの「アンビバレント」(漢字欅)と「ハッピーオーラ」(ひらがなけやき)のように、陰と陽の関係を色濃くだした曲だと思われた。しかし、漢字欅からの完全なる独立が決まったことで、「黒い羊」と「抱きしめてやる」は卒業式の送辞と答辞のような関係性を築き、同時に漢字欅へのエールかつ置き土産的な言葉のようにも聴こえてくるから面白い。

 けやき坂46から日向坂46となった彼女たちは、青空という個性にピッタリなチームカラーが与えられた。潮紗理菜はブログに、「道に迷ってしまったり落ち込んでいる方がいたら優しく上から光を照らせるようなそんなグループになりたいです」と綴り、〈一本の欅から/色づいていくように〉〈季節を着替えて/昨日とは違う表情の/青空が生まれる〉〈思い出がいくつも重なって/木漏れ日が生まれる〉という、まさに彼女たちの未来を予言していたかのような「ひらがなけやき」の歌詞を添えて、日向坂への思いを伝えていたが、「抱きしめてやる」は、まさに潮の思いを擬人化したような曲だと感じる。日向坂から先陣を切った渡邉の写真集のタイトルが『陽だまり』なのもまた、グループ名を匂わせていたのかも知れない。

 さて、日向坂となり完全独立したことで、曖昧だった立ち位置が、これからは自分たちでゼロから築いていくことになる。今までは、漢字欅と対になっていたことで“ハッピーオーラ”という個性が武器になっていた。しかし、以前から加藤や佐々木美玲らはそれに危機感を持ち、新しい個性を探していると、雑誌のインタビューなどで答えていたが、基本的にアイドルはハッピーオーラ全開というイメージがあるため、一つの独立したグループとなった今、これからどう個性を輝かせて行くかが勝負になってくる。

 加藤は記者会見で「尊敬している乃木坂46さんの“美しさ”や“清楚さ”と欅坂46の“パフォーマンス力”や“かっこよさ”を兼ね備えたハイブリッドなグループになるのが夢」(引用:けやき坂46、“日向坂46”への改名にメンバー感涙 齊藤京子「3年間やってきて一番嬉しい」)と明かしていたが、『ひらがな推し』(テレビ東京)で見せる彼女たちのバラエティでの適応能力の高さからは、すでにもうその個性ができあがっているようにも感じる。

 余談だが、今年1月に放送された『ひらがな推し』で、タロット占い師の濱口善幸が、「3月に夢が叶う」と発言しており、今回のシングルデビューに関して的中させていたことが話題になっている。彼は「5月、6月に波乱の可能性が」という言葉も口にしていたが、果たして何か起こるのだろうか。その前にまずは、8thシングル『黒い羊』で、ひらがなけやきとして彼女たちが最後に残したメッセージを味わいたい。(文=本 手)

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