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小西真奈美、“全身緑色”のキャラを成立させた演技力 『半分、青い。』は脇役の個性が魅力に

リアルサウンド

18/9/25(火) 6:00

 連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK総合)も、9月24日から放送されている第26週でとうとう最終週を迎える。主人公・鈴愛(永野芽郁)や、彼女を支える幼なじみの律(佐藤健)を中心に物語は進んでいるが、彼らに負けず劣らずな個性を発揮する脇役たちにも注目したい。

参考:朝ドラだからこそ成立したラブストーリー 『半分、青い。』鈴愛と律のキスシーンを読み解く

 終盤のキーパーソンとも言える加藤恵子を演じる小西真奈美は、その個性的な見た目に特徴がある。「全身緑色」「アニメ声」という特徴は、一見するとキワモノにもなりかねないのだが、鈴愛と律が一大発明を成し遂げるために重要な役を担っている。

 小西は1997年に北区つかこうへい劇団への入団をきっかけに、女優デビュー。数多くのドラマ、映画に出演している。2002年公開の初出演映画『阿弥陀堂だより』では、第48回『キネマ旬報賞』新人女優賞、第45回ブルーリボン賞新人賞、第26回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2009年公開の映画『のんちゃんのり弁』では主演を務め、第31回ヨコハマ映画祭主演女優賞、第64回毎日映画コンクール女優主演賞、第24回高崎映画祭 最優秀主演女優賞を受賞している。

 第23週から始まった「再起奮闘編」から登場した恵子は、「グリーングリーングリーン」というメーカーをひとりで立ち上げ、大好きな緑色と手触りのよさにこだわった商品開発を精力的に続けている人物だ。緑色のウィッグを被り、身も心も緑一色なキャラクターで、その見た目に驚愕した視聴者も多いことだろう。しかしひとりメーカーとして活動を続けてきた彼女らしい着眼点で、商品開発や資金集めに苦戦する鈴愛や律に助言をし、起業家としての心得を自身の存在をもって彼らに伝えていく姿は、決してキワモノ枠ではない。ひょうひょうとした態度で鈴愛のアイデアに意見していく様子は、少し変わってはいるものの立派な“起業家”である。「再起奮闘編」において恵子の存在は、その奇抜な見た目で物語にアクセントを、しっかりとした言動で物語に説得力を生み出しているのだ。

 番組公式サイトのインタビューによれば、小西自身も「全身緑」「アニメっぽい声で早口」というキャラクター造形に戸惑ったようだが、衣装合わせで恵子の衣装を身に纏い、緑のウィッグを着用することで腑に落ちたと話している。「ここまで何かを突き詰める人なら、説得力のある言葉も自然と出るはずだ!と納得したんです」と話す小西。恵子の衣装に身を包んだ瞬間に、彼女らしい言動や行動を体現した演技力に脱帽する。

 自身の大好きなものを突き詰め、説得力のある言動が魅力的な彼女だが、ゆるやかな見た目に合った一面も持ち合わせている。兄・津曲雅彦(有田哲平)に対する態度だ。小西の津曲に対する演技は、家族にだけ見せる厳しさと優しさに満ちている。津曲は、鈴愛とともにヒット商品を売り出すも、大コケした商品で多額の負債を抱え、それを鈴愛に丸投げして逃げ出した過去がある。恵子とは対照的に胡散臭さ満点のキャラクターなのだが、恵子は決してそんな兄を突き放そうとはしない。兄が曲がったことをすれば、正面から厳しく意見するが、常に兄を愛おしく憎めないといった空気を醸し出している。だからこそ津曲は、はっきりと意見を述べる妹にタジタジしながらも、厳しくも優しい妹を信頼し、息子・修次郎(荒木飛羽)との関係や仕事に対する弱音を吐けるのだろう。

 この兄弟の関係性は、商品開発や鈴愛と律の想いが通じた瞬間など、物語が大きく動く瞬間の合間合間に描かれていた。物語の箸休め的な存在だが、描かれるシーンが短くとも2人からは常に“兄妹らしさ”が漂っている。お調子者の兄としっかり者の妹というよくある構図ではあるものの、鈴愛や律の商品開発に大きな影響を与えているのは確かだ。鈴愛と律の開発現場に呼ばれた2人が、各々の得意分野を存分に発揮してくれたからこそ「そよ風扇風機」のお披露目会を開くことができたのではないだろうか。

 最終週までに何人もの個性的すぎる脇役が登場してきたが、彼らが物語を破綻させることはなかった。「再起奮闘編」で登場した恵子も、「全身緑色」「アニメ声」というキャラクターでありながら、小西の演技とその他のキャラクターとの絶妙な距離感によって、物語にアクセントと説得力を添えた。『半分、青い。』が視聴者を魅了してやまないのは、個性豊かなキャラクターを演じる役者陣の、確かな演技力のおかげとも言えるだろう。

 第25週の最後、「そよ風扇風機」のお披露目会のシーンで東日本大震災が描かれた。シリアスな展開ゆえ、最終週に不安を感じる視聴者も少なくないはずだ。脚本家・北川悦吏子氏による今作のストーリー展開は、度々SNS上で賛否両論を巻き起こしているが、個性豊かなキャラクターの姿を忘れてはならない。彼らの活躍によってどのように物語が終幕するのだろうか。(片山香帆)

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