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ホラー映画と相性抜群!? 『ラ・ヨローナ~泣く女~』ScreenXならではの映像体験

リアルサウンド

19/5/9(木) 12:00

 「ScreenX(スクリーンエックス)」は、正面のスクリーンにくわえ、両側面(壁面)にも映像が投影されることで、 270度の広い視界で映画を鑑賞することができる新たな上映システムだ。視野が映像で満たされることで、没入感、臨場感が高まるとともに、このシステムを活用した様々な演出によって、アトラクションとしての楽しさも生まれる。

参考:『ラ・ヨローナ~泣く女~』特別映像公開 神父と呪術医による清めの儀式が明らかに

 では、その「ScreenX」でホラー映画を鑑賞するとどうなるのか。今回は、アメリカで大ヒットを記録し、日本でも5月10日より公開される映画『ラ・ヨローナ~泣く女~』を、「ScreenX」で体験してきた。ここでは、本作『ラ・ヨローナ~泣く女~』の魅力を紹介しながら、「ScreenX」ならではの映像体験の中身をレポートしていきたい。

 『アクアマン』、『ワイルド・スピード SKY MISSION』で興行的な成功を果たしたヒットメイカーであり、さらにホラー映画の分野では「ホラー・マスター」の異名をとる、多才すぎるジェームズ・ワン。本作は、彼のプロデュースする『死霊館』シリーズの一つに数えられる。約2700万ドルのオープニング興収で首位デビューするなど、本作もアメリカで好成績をあげている。そして監督のマイケル・チャベスは、この後ジェームズ・ワンに代わり『死霊館』の最新作を撮る予定だという。

 『死霊館』シリーズは、いままで呪いの人形や修道女の姿をした邪悪な存在などが登場してきた。本作に現れるのは、中南米の怪談に出てくる“ラ・ヨローナ(泣く女)”だ。彼女は夫に浮気をされたことで正気を失い、夫が愛する息子を川に沈めて溺死させるという凶行におよぶ。その後悔から自分自身も川に身を投げ、呪いとなってこの世をさまよっているという。そんな悪霊のような存在が、70年代のロサンゼルスに住む、ある家族に襲いかかることになる。

 水のある暗がりに潜み、しくしくと泣く見知らぬ女がいたら、それはヨローナかもしれない。日本の『リング』や『呪怨』など、「Jホラー」の手法を一部とりこんで新しい表現を生んできたジェームズ・ワンによるプロデュース作品だけあって、そんな不気味なシーンの表現には日本の幽霊を映しているような、静かで気味の悪い雰囲気を強調した演出がなされてゾクゾクとさせられる。しかし、そこはアメリカのホラー映画。アメリカらしくヨローナとの熾烈な戦いもしっかりと用意されている。日本的な怖さからアメリカ的な恐さへと変化する瞬間、ヨローナの容貌も変化する。こういった絶妙なバランスが『死霊館』シリーズの魅力だろう。

 さて、「ScreenX」はこの作品をどのように盛り上げるのか。多くの観客が想像する通り、まずは広い視界による開放的な表現が魅力だ。だが本作では、開放というよりも、むしろ“包まれる”ような感覚を味わうことができる。ラ・ヨローナが現れる森の中のシーンでは左右からも木々に囲まれているように感じられるし、室内や車内に子どもたちが閉じ込もり互いを守ろうとする場面では、観客も閉鎖された空間の中にいるような錯覚を味わうことになるだろう。

 籠城(ろうじょう)しながら侵入者と戦う映画では、どこから襲われるのか分からないというのが、ハラハラするポイントだ。とはいえ、「どうせもともとは、正面のスクリーン用に作られた映画なんだから、左右の映像から襲われることはないだろう」と、観客によっては頭のどこかで冷静に考えるかもしれない。しかし、そんな油断をしていると大変なことになる。三面のどこからラ・ヨローナが現れるのか、映像が投影される面の数と同じように、観客は普段の3倍の緊張を味わうことになるかもしれない。

 さらに時折、両側面の映像がオフになる演出も効果的だ。これによって、視界が再び広がったときに、緊張が一気に高まることになる。このように、ホラー映画における緊張と緩和を増幅する効果が、「ScreenX」演出にはある。

 娯楽性の強いアメリカのホラー映画には、もともとアトラクション的な楽しみ方が備わっていることが多く、本作はまさにそのような映画の代表といえるような内容だ。その意味で、アトラクション性の高い「ScreenX」は、本作のようなホラー作品と相性が良いといえるのではないだろうか。「ScreenX」未体験という観客はまだまだ多いはず。その楽しさを味わうのに、本作『ラ・ヨローナ~泣く女~』はうってつけかもしれない。

 一方で、アトラクション以外の部分での楽しみ方も存在する。本作は、座席が動くなどの、また違った演出のある「4DX」上映も用意されているが、「ScreenX」版では、通常の上映や「4DX」版には存在しない映像が両側面に映りこんでくる。例えば、メキシコ系の市民たちが、中南米に伝わる祈祷を受けるシーンでは、祈祷を受ける異なる人々の姿が、それぞれ三面に現れる。視界を広げるだけでなく、別の映像が映し出されることで、映画作品の伝える情報量が増やされているのである。このような、従来あり得なかった新しい演出に触れることで、「ScreenX」にはまだ未知の可能性があるように感じられた。(小野寺系)

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