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大泉洋、7分間に及ぶ大演説を披露 『ノーサイド・ゲーム』熱弁に隠された真意を探る

リアルサウンド

19/7/8(月) 6:00

 「このまま何の役にも立たず、ただのお荷物になって終わるのは嫌だ」

参考:大泉洋、日曜劇場に初登場 『ノーサイド・ゲーム』注目すべき3つのポイント

 7月7日放送開始の日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)第1話で大泉洋演じる主人公の君嶋隼人がチーム全員の前で行ったスピーチはもうご覧になっただろうか。魂の底からほとばしるような堂々たる名演に画面の前に釘付けになった人も多かったと思う。

 何が君嶋の名スピーチを生んだのか? 『ノーサイド・ゲーム』第1話の終盤につながる5つのポイントをたどりながら、君嶋のスピーチに隠された真意を探ってみる。

●左遷と歓迎
 常務・滝川桂一郎(上川隆也)が進める企業買収に異を唱えたことが原因で、トキワ自動車府中工場に飛ばされた君嶋。失意に沈む兼任ゼネラルマネージャー(GM)を迎えたのは、講堂いっぱいに立ち並ぶ社員と深紅のユニフォームを身にまとった社会人ラグビーチーム「アストロズ」の面々だった。胴上げされながら君嶋が感じた「気分の良さ」。大逆転劇を暗示するような象徴的なオープニングだ。

●島本の金言
 アストロズの練習を訪れたトキワ自動車社長にしてアストロズ創設者の島本博(西郷輝彦)。目を細めて選手たちを見守る島本は、オールブラックス(ラグビー・ニュージーランド代表)に伝わる精神を君嶋に語る。「私は死ぬ/私は生きる」という言葉に込められた、死と再生の賛歌とチームスピリット。しかし、島本の言葉は君嶋には届かない。

●滝川の約束
 「手間を取らせた礼はする」という滝川の言葉に一縷の望みを賭けて、アストロズ廃部の提案をまとめた君嶋だったが、その約束は果たされずに潰えた。本社復帰の希望が断たれること。それは、君嶋にとって会社員としての死を意味している。

●雨中のタックル
 気がつくとグラウンドにたたずんでいる君嶋。「俺はどこに行けばいいんだ」。やり場のない思いを吐き出すように、どしゃぶりの雨の中、君嶋は無我夢中で浜畑(廣瀬俊朗)にタックルを繰り返す。その耳に島本の言葉が蘇る。ついにタックルを成功させる君嶋。それはひとりの男が蘇生した瞬間だった。

●もうひとつの戦い
 同級生からいじめを受けている息子・博人(市川右近)に君嶋は語りかける。「自分をいじめる相手にもタオルをかけることができるのか」と。ノーサイドの精神を貫くにはまず自分が強くなければならない。目を潤ませて頷く息子に君嶋は何かを決意する。

 そして、終盤のスピーチにつながる。選手たちを前にゼロ円の予算案を突きつけ「これがいまの君たちの価値だ」と言い放つ。

「サラリーマンに努力賞なんてものはないんだよ。この世界、正義が勝つんじゃない。勝った者が正義なんだ」

「リーグ残留でいいだと。冗談じゃない! 残留どころから2位でもダメだ。君たちのその目標がすでに負け犬なんだよ!」

「ラグビーは君たちの誇りだろ」

「いいか。君たちはいまどん底だ。それをいま自覚しろ。そして、あとは上だけを見ろ」

「プラチナリーグで優勝するんだ。そうなれば誰も文句は言えない」

「私はアストロズを廃部にしようと思っていた。昨日の夜、君たちにコテンパンにされるまではな」

「君たちと戦いたい」

「どんなに無様であろうと、泥だらけになろうとかまわない。最後にボールをつかんでいた奴の勝ちだ。結果を出すんだ」

 と約7分間にわたって熱弁を振るう君嶋。その姿は、瀕死のチームを目覚めさせるために全力で言葉のタックルを繰り返すようでもあり、上に挙げた伏線が一気に回収される爽快感があった。

 端的に言うなら、社内の権力闘争に敗れて一度死んだ君嶋がラグビーのスピリットによって甦ったのが第1話ということになるが、GMとしての使命感から発した君嶋の言葉には、タオルを差し出したチームメイトへの敬意と感謝が込められているように思う。

 見事に負け犬根性を払拭し、見違えるように闘志あふれる表情に変わった選手たち。ギアが噛み合ったチームは強い。君嶋がアストロズをどのように変えていくのか、早くも次週以降が楽しみだ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。

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