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BTS、「Lights」に込められたファンへのメッセージ 過去の“ファンソング”からの繋がりと変化

リアルサウンド

19/7/8(月) 7:00

 7月3日にBTSのニューシングル『Lights/Boy With Luv』が発売された。日本では10枚目のシングルであり、「Boy With Luv -Japanese ver.-」は 7月6日放送の『THE MUSIC DAY 2019 ~時代~』(日本テレビ系)で歌唱されたことも記憶に新しい。大阪での公演を終えた彼らは、「温かく迎えてくださって本当に嬉しいです」というコメントともに生中継で披露した。一方、「Lights」は「FOR YOU」以来4年ぶりにMVを撮影した日本オリジナル曲だ。切ないメロディが印象に残るミドルテンポでありながらキャッチーな楽曲で、ダンスパフォーマンス中心の韓国での活動曲とは異なるカラーを見せている。メンバーそれぞれの声の個性がより感じられるように仕上げられている印象だ。

(関連:BTSが『CanCam』で語った“小確幸” 『SPEAK YOURSELF』日本公演に寄せる期待

 メンバー同士の関係性をメインに描いたMVには『花様年華』シリーズを思い出させるようなポイントもあるが、常にどこか孤独と別れを示唆していた過去のシリーズとは対照的に、暗闇に差し込むほのかな光のようなポジティブさを感じる。メンバー同士のブラザーフッドを描いた『YOUTH』収録の「Good Day」を思わせる、静かだがあたたかみのある描き方だ。

 歌詞は現状に少しの恐れを感じる気持ちと、暗闇の中でお互いがお互いを照らす光になるという内容。韓国アイドルの楽曲ならではと言えるもののひとつに、“ファンソング”というものがある。アイドルが主に自らのファンへ宛てたメッセージを込めた楽曲のことで、活動が目的ではなく感謝を述べるためやプレゼントとして作られることが多い。

 BTS『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』に収録されている「Magic Shop」はそのようなファンソングのひとつで、Magic Shopのオーナーであるメンバーが自分の体験を語り、辛い気持ちの時は心の中のこの店の扉を開けて訪ねて来て欲しい、とファンに語りかけ、癒すような内容だった。歌詞にはメンバーのミックステープの中の辛かった過去を指す言葉が織り込まれており、末っ子のジョングクがプロデュースに参加。今年の韓国でのファンミーティングのタイトルにもなっている。

 〈君が僕に最高の僕をくれたんだ/だから君も最高の君自身をあげられるんだ〉と歌う「Magic Shop」と〈I’m your light/You’re my light〉と歌う「Lights」は、メンバーとファンがお互いを癒す存在である、というテーマの延長上にあるような楽曲と言えるのではないだろうか。『MAP OF THE SOUL:PERSONA』に収録されている「Mikrokosmos」は、ライブではファンがスマートフォンの光で照らしてタイトルのとおり小宇宙のような光景を作り出す演出がある楽曲で、〈お互いがそれぞれの光照らしあう〉〈夜が深まる程 より輝く星の光〉という街の営みのあかりをそれぞれの人の光に例える歌詞だ。雑誌『CanCam』のインタビューでジミンが言及していたように、これもまた「Lights」との繋がりを感じる楽曲と言えるかもしれない。

 また、“光”と“つながり”は過去の日本オリジナル曲でもよく表れていた言葉だ。『WAKE UP』収録の「THE STARS」では〈あの輝く星のように/光放つのさ消えぬ様に〉、『YOUTH』収録の「Wishing on a star」では〈思うほどきっと届く〉と“今はまだ届かない憧れの象徴”として描かれていた「星」や「光」だが、今作では自分自身、そしてお互いそのものが光であるという表現に変わってきている。彼らの歴史と照らしあわせてその世界観の変遷を味わうことの出来るキーワードのひとつでもあるだろう。そして世界のどこからでも見ることが出来るのが「星」であり、「光」にはどんな距離でも一瞬で届くという性質もある。ラストの〈どんなに離れていても届いてる〉という歌詞は、最初の日本オリジナル曲「FOR YOU」の〈例え遠くにいても2人同じ空見てるよ〉〈離れていても心と心は繋がっている〉とも通じる内容だろう。

 今では世界規模の巨大なファンドムを持ち、世界中を飛び回ってパフォーマンスをするようになったBTS。最初の海外活動の拠点となった日本でのオリジナル楽曲のテーマは、物理的に離れていても心の中ではいつも繋がっている、というものだった。その後の人気上昇により活動範囲は欧米や南米圏にまでさらに広がり、結果的に本国のファンが実際に会える頻度も年々減ってきてしまっている。今回の日本オリジナルシングルは世界同時リリースだが、根底にある“物理的な距離が私たちを分けるものではない”というメッセージは、国や人種は関係なく全てのファンに向けられたものと言えるのかもしれない。(DJ泡沫)

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