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韓国人女優クラウディア・キムが明かす、『ファンタビ』でナギニを演じることになった背景

リアルサウンド

18/12/6(木) 15:00

 『ハリー・ポッター』魔法ワールド最新作『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』が現在大ヒット公開中だ。前作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』で登場した“黒い魔法使い”グリンデルバルド(ジョニー・デップ)に、魔法動物学者のニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)が仲間や魔法動物たちと立ち向かって行く模様を描いた本作。『ハリー・ポッター』シリーズにヴォルデモート(レイフ・ファインズ)のペットかつ分霊箱のひとつであった大蛇の姿で登場していたナギニが、今回人間として登場することが公開前から話題になっていたが、そんなナギニを演じているのが、韓国人女優クラウディア・キムだ。

参考:【ネタバレ】『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』はなぜいびつな作品になったか

 今回リアルサウンド映画部では、プロモーションのために来日した彼女にインタビューを行い、『ハリー・ポッター』から続くシリーズへの思い入れから、ナギニ役に決まった背景やクリーデンス役のエズラ・ミラーとのエピソード、そしてハリウッドに渦巻く人種問題についても語ってもらった。

ーーあなたはもともと『ハリー・ポッター』シリーズの大ファンだったそうですね。

クラウディア・キム:原作は出版されたらすぐに読んでいました。当時は韓国語の翻訳版が手に入らなかったので、出張でアメリカに行く友達や父親に、買ってきてほしいとお願いしていたぐらいなんです。1作目から本当に信じられない世界観で、そこからファンになりました。映画版も全て素晴らしかったですが、私は物語がより複雑になっていく後半が好きでした。やはり本作の監督でもあるデヴィッド・イェーツが層をより深くしていったように感じます。一番のお気に入りはシリーズ最後の作品である『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』ですね。そこで私(ナギニ)が死ぬので(笑)。

ーーナギニは『ハリー・ポッター』でも重要なキャラクターでした。今回出演が決まったのはいつ頃だったんですか?

クラウディア・キム:前作の公開後でした。『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は本当に大好きで、5回くらい観たんです。その後に「このオーディションを受けないか?」とお話をいただきました。『ファンタスティック・ビースト』の最新作だということは分かっていたので、「絶対にやりたい!」と思っていましたが、当時はどういう役かは分かりませんでした。オーディションの最後の方で、初めて私が演じるのがナギニだと知ったんです。

ーーナギニ役だとは知らずにオーディションを受けていたんですね。

クラウディア・キム:ロンドンでのオーディションの際に、デヴィッドに「ちなみに、君の役はナギニだよ」と言われて初めて知ったんです。それから少し時間をもらって、クリーデンス役のエズラ(・ミラー)とセリフ合わせをしながら、「じゃあそこに2%蛇を足してみせて」「今度は5%足してみて」というような指示をもらいつつ、ついには「“変身”をやってみて」とデヴィッドに言われました。オーディション用の台本には「変身」と書かれていたものの、脚本全体は読んでいなかったので、どういう意味なのかが分からなかったんです。そんな中で、デヴィッドが「人間が蛇に変身していくさまを想像してごらん?」と。今までで一番面白いオーディションでしたね。

ーー自分がナギニを演じると知った時はどういう感情でしたか?

クラウディア・キム:考える時間もなく、ただ「What!?」という感じで、すぐにヴォルデモートのことが頭に浮かびました。その時にもらった数枚の台本からでは彼女の詳細は分かりませんでしたが、なにより役柄が普通の人間のようだったので、彼女には深い物語があるということだけは分かりました。だた、その時にはもう自分を信じるしかなかったので、自分の背骨がバキバキと音をたてながら蛇に変身していく姿を想像して、とにかく蛇になることを考えました。

ーー実際にナギニを演じるにあたって意識したことは?

クラウディア・キム:『ハリー・ポッター』シリーズでのナギニのシーンも可能な限り観ましたし、リサーチもたくさんしました。でも最終的には、『ハリー・ポッター』シリーズでのナギニは蛇でしかなかったので、彼女の魂はそこにはなかったんじゃないかなと。なので、『ハリー・ポッター』シリーズでのナギニのイメージからは少し離れて、今回はクリーデンスとの関係性に集中しました。

ーークリーデンス役のエズラ・ミラーとはどんなコミュニケーションを?

クラウディア・キム:まだそこまで仲良くなる前に、エズラが夏至の日に不思議な集会に連れて行ってくれたんです。いろんな人に会ってご飯を食べたりするようなパーティのようなものなのかなと思っていたら、夜中に森の中を歩くと(笑)。でも、全く明かりがなかったので、とにかくエズラを信じるしかありませんでした。森の深いところまで入っていくと、火が焚かれていて、踊ったりドラムを叩いたりする人たちがいて、そこでやっと、それがサーカスだと気づきました。エズラは役作りのために私を本物のサーカスに連れていってくれたんです。履いていたDiorのスニーカーは泥だらけになってしまいましたけどね(笑)。

ーーそれは面白いエピソードですね。

クラウディア・キム:エズラは役者としても本当に素晴らしいんです。スケールがとにかく大きいし、しかも面白くてエネルギッシュでハイテンション。だけど、すごく低く落ちていくこともできる人なんですよね。パリのアパートでのクリーデンスのシーンは、エズラの演技にモンスターのようなエネルギーがものすごく満ち溢れています。これだけ献身的に演技ができる人と共演できたことはとても嬉しかったです。

ーー多くのキャストが1作目から続投となる中で、2作目からその輪の中に入るのは容易ではなかったことが想像できます。

クラウディア・キム:もちろん緊張はしましたが、新しく参加したという気持ちではなく、その空気の中にスッと入っていけるように心がけました。1作目からのキャストはみんなとてもウェルカムでしたし、セットや小道具、衣装なども助けになりました。それこそエズラは、私と彼との初めてのセットのシーンの時に、クリーデンスになりきってセットまで連れていってくれました。

ーー『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)に続いてのシリーズものの大作映画への出演となりましたが、その時の経験は今回に繋がりましたか?

クラウディア・キム:もちろんです。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は私にとって初の海外作品への出演だったので、たくさん学ぶことができました。最初はソワソワしてしまうだろうなと思っていたんですけれど、ジェームズ・スペイダー、マーク・ラファロ、スカーレット・ヨハンソン、ロバート・ダウニー・Jr.……大スターの皆さんがとても謙虚だったんです。それに、彼らのパフォーマンスが素晴らしいのは、自分たちが心の底から楽しんでいるからだと分かったんです。いつもジョークを飛ばし合って、楽しんで撮影を行っている。もちろん作品にもよりますが、暗く重たい作品が多い韓国では、どうしてもみんな真面目に役をこなしてしまう傾向があるように思います。それに気づけたことは自分にとって大きな変化でしたし、今回の『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』でも同様でした。あとは秘密を守らなければいけないというのも、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で学んだことのひとつでしたね(笑)。

ーー映画の中ではそこまで描かれていませんでしたが、ナギニにはまだまだ秘密がありますよね。

クラウディア・キム:私自身もまだ知らないことがたくさんあるので、皆さんにとってもそうだと思います。さっきエディ(・レッドメイン)と話をしていたんですけど、彼は次作のタイトルをもう知っているらしいんです。なので、「私はタイトルはまだ知らないけど、あのシーンのことだったら知ってるから、お互い情報交換しよう」と言いました(笑)。

ーーのちに白人であるヴォルデモートのペットになる蛇の役を、アジア人女性が演じることについては議論も呼びました。J・K・ローリングはナギニという名前の由来がインドネシアの神話からきていることを明かしながら、アジア人が演じることの正当性を説明していましたが、あなた自身はどのように考えていますか?

クラウディア・キム:そういう議論が生まれるのは大切なことだと思いますし、私は批判だとは捉えませんでした。多様性のためにアジア人をキャスティングするということではなく、必要だからその人をキャスティングする。私が信頼しているJ・K・ローリングは、公平さをすごく大切にする人なので、今後ナギニに素晴らしいストーリーを作ってくれると信じています。

ーーオールアジア系キャストで製作された『クレイジー・リッチ!』の大ヒットも記憶に新しいですが、白人中心にキャスティングされるハリウッドの事情も変わりつつあるのでしょうか?

クラウディア・キム:変わりつつありますが、まだまだスタートラインです。『クレイジー・リッチ!』は、全く新しいプラットフォームを作ってくれたので、皆で祝うべきことだと思います。ですが、西洋人がたくさんいる中に、アジア人がどう入っていくのかも考えなければいけない。私たちには、その可能性を探っていく責任があると思っています。(取材・文=宮川翔)

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