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いま、最高の一本に出会える

草なぎ剛が語る、“新しい地図”立ち上げから1年の変化 「新しい冒険がどんどん始まっていく感覚」

リアルサウンド

18/10/11(木) 6:00

 草なぎ剛が、主人公・アンジェリーノのボイスキャストを務める映画『ムタフカズ』がいよいよ10月12日より全国ロードショーされる。2006年に日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞した『鉄コン筋クリート』の制作スタッフと、フランスの「バンド・デシネ」作家とがコラボした本作は、キュートなキャラクターたちの見た目とは裏腹に、架空のスラム街“ダーク・ミート・シティ“で、死にものぐるいのバイオレンスアクションが繰り広げられる。小さな街の友情物語でありながら、壮大なスケールの侵略SFでもある超エキセントリックな世界観で描かれるバディムービーに、草なぎ剛は何を感じたのか。『ムタフカズ』との出会いを通じて、草なぎ剛の“今”に迫った。穏やかな口調で語られる飾らないホンネの言葉たちに、きっともっと草なぎ剛が好きになるはずだ。

参考:『クソ野郎と美しき世界』は稲垣×香取×草なぎの決意表明だ 喪失感から生まれた“愛の映画”

■攻めの姿勢が、さすが『鉄コン』チーム!

ーーもともと『鉄コン筋クリート』のファンだったとお聞きしました。本作への出演が決まったときの感想は?

草なぎ剛(以下、草なぎ):嬉しかったですね。『鉄コン筋クリート』は、本当によく見返すんです。すごく好きで、常に家で映像を流してるくらい。声がとてもよくて、キャラクターと相まって“いいなぁ~“って、いつも思うんですよ。『鉄コン筋クリート』も結構バイオレンスだったり、描写が激しかったりするんですが、『ムタフカズ』も闘いのシーンとかすごくて。先に出来上がっていたフランス語バージョンを収録前に見させてもらって、“これはカッコよくやるぞ“って気合いが入りました。

ーー荒んだ街の描写や肉体のもろさがリアルですよね。アンジェリーノたちの見た目がかわいかったので油断しました。

草なぎ:そうでしょー? 結構、血もいっぱい出るもんね(笑)。

ーーはい、ゴキブリもたくさん……。草なぎさんはそういうシーンは大丈夫なほうですか?

草なぎ:そうですね、実際のゴキブリはダメですけど、アニメなら。アンジェリーノがゴキブリ飼ってるところは、内心“そんなのあるかよ“って思ったけど(笑)。でも、そういうところも好きですね。ブラックジョークじゃないけど、ユーモラスで。包み隠さず見せていく感じ。攻めの姿勢が、さすが『鉄コン筋クリート』のチームだなって。

ーーアンジェリーノを演じるにあたって印象深かったことは?

草なぎ:自分の中で、語尾を伸ばさないっていう課題がありました。無意識のうちに語尾を伸ばすクセがあるみたいで。それを監督に、徹底してなくすように言われたんですよ。自分で言うのもなんですけど、甘いんですって、僕の声って! そういうつもりはないのに、ちょっと甘えてるように聞こえるみたいで。人とコミュニケーション取るときって、どっか柔らかい印象を持たれようとしてんのかなー? ……って、ほら今も「してんのかなー」って、自然と伸びちゃってたでしょ? (アンジェリーノっぽく)「なんとかッ」「なんとかだッ」って、言い切るのが新鮮でした。

ーー確かに。聞き慣れた草なぎさんの声なんですが、いつもとちょっと違う感じがしたのは、語尾のせいだったんですね。

草なぎ:正直、少しやりづらかったんですけどね。でも、完成した映像を見たら、なるほどなって。アンジェリーノの感じがすごく出てたので、やっぱり監督の意見は聞くもんだなって思いました(笑)。

■一目惚れのシーンはリアルかも!?

ーーヴィンス役の柄本時生さん、ウィリー役の満島真之介さんとは収録時に、なにかお話はされたんですか?

草なぎ:いえ、収録してるときは別々だったので。完成披露イベントで、初めて会ったくらいです。

ーーえ! やりとりのシーンもすべてですか?

草なぎ:そうそうそう。だいたい、アテレコってそんな感じですよ……ふふふ、「ですよ」って、僕もそんな知らないんだけどさ(笑)。でも、みんなひとりでやってるよー、絶対! むしろそっちのほうが、ラクっていうか。

ーーすごく自然な掛け合いだったのでびっくりです。草なぎさんが収録されるときには、みなさんの声は?

草なぎ:入ってない! 僕いちばん最初だったから。みんなが僕に合わせてくれたんですよね。だから、一番やりやすかったのかも。でも、別々に撮ってるのに友情がちゃんと描かれてて、バッチリでしょ!

ーーあの涙で声が震えているのも?

草なぎ:うん、僕ひとり。だって恥ずかしいじゃないですか、横に誰かがいて「ううぅぅ~(泣)」とか! だから、僕はひとりでやったほうが好きなところもあるんですよ。相手がいると、むしろ緊張しちゃう。

ーーでは、お気に入りのシーンを挙げるとしたら?

草なぎ:いろんなシーンがありましたよね。そうだなー、格闘シーンも楽しかったし、ゴキちゃんたちと戯れてるシーンも面白かったですけど、やっぱりクライマックスかな。キスシーンもあるし!

ーーキスシーンもおひとり……だったんですよね?

草なぎ:アハハ! うん。別にそこはチュッとか音立てることなかったから、ただ見てるだけだったんだけどね。彼女、ルナちゃん好きだなー! (フレンチブルドッグの愛犬)クルミみたいにムッチリしてて。僕は、ぽっちゃりムッチリの人が好きだから。

ーーアンジェリーノがルナに一目惚れするシーンは、リアルだったんですね。

草なぎ:そうそうそう、すごく好き。かわいい!

■自分が納得いく自分になりたい

――ボイスキャストといえば、2005年公開の『ロボッツ』で主人公のロドニーを演じていましたね。透明感のある声が印象的でした。

草なぎ:ありがとうございます。あれから、もう10年以上経ってるんですよね。年齢も違うし、状況も変わったし、きっと声も変わってると思う。時の流れに逆らうわけにもいかないし、本当に同じことってできない。でも、それが、なんか人生なんだな、みたいな。アンジェリーノの人生も今回も僕と出会って、この瞬間の声を僕は入れただけ、というか。そんな感覚なんですよね。『ムタフカズ』は、アンジェリーノがスクーターで走るシーンから始まるんだけど、これまでの彼の人生は見ていないからわからないし、この作品の先のアンジェリーノがどんなふうに生きていくのかもわからない。そんな風に考えると、その瞬間の声を僕がやっただけで、僕の人生も続くし、アンジェリーノの人生も続くんだなーって思って。お互い様なんですけどね。その時、その瞬間しか出せない僕の声だったり気持ちだったりを、うまくこのアンジェリーノが引き出してくれたと思います。

ーー奮闘するアンジェリーノの生き様に、共鳴する部分も多かったのでしょうか?

草なぎ:そうですね。自分の中にあるものを出さないと、観客のみなさんに伝わらないなって思っているのは、どの作品も一緒で。アンジェリーノが、仲間のために自分であることにこだわり続けたっていうところには響くものがありました。ポジティブだったり、ネガティブだったり、正義だったり、悪だったりっていう心が、誰しもあるじゃないですか。アンジェリーノがぶつかったものは、僕ら人間にとっても同じだなって。彼の意地というか、強さを大事にしながら演じようって。同時に、僕自身も真面目に生きていかないといけないなって思わせてくれた。

ーー草なぎさん自身が鑑賞後に一番心に残ったのはなんでしたか?

草なぎ:普遍的なテーマではあるんですけど、仲間の大切さですね。アンジェリーノとヴィンスとウィリー、3人で月を見ているときに、流れ星にお祈りするシーンがあって。そこでアンジェリーノが「俺は納得いく自分になりたいかな」って言うんだけど、とてもいいセリフで心揺さぶられました。“本当にそう思う、僕も!“って。普段、どこかで思ってるんだけど、なかなか一言で言い表せないことを、アンジェリーノが教えてくれた感じです。

■出会いは偶然で必然、だから人生面白い

ーーこの1年で、SNSやYouTubeなど活躍の幅が増えましたが、表現するということへの変化はありましたか?

草なぎ:そうですね。本当に変化の多かった1年でした。“新しい地図“を始める前は、緊張もあって、不安も多くて……まあ今でも必死なんですけど、YouTubeをやってみたり、(香取)慎吾の個展がフランスのパリであったり、なんか新しい世界を次々と見れてるというか、新しい冒険がどんどん始まっていく感覚です。もちろん、それまでのことも覚えてますが、この1年の仕事はより鮮明に覚えてますね。『クソ野郎と美しき世界』っていう映画も「これやったな」っていうのと同時に、「ちゃんとやれてるんだな」って前に進んでいるという自信にもなりました。そういう意味では、ちょうど1年というタイミングで公開される『ムタフカズ』も思い入れのある作品ですね。

ーー1年という節目のタイミングで、仲間の友情を描いた作品。傍から見ていると、草なぎさんたちの活動にはドラマチックな大きな流れを感じる瞬間があるのですが……。

草なぎ:不思議と、ね。誰かが意図しているわけじゃないと思うんですけど、やっぱりそのときそのときで仕事って、自分たちの状況と重なる部分があるというか。やっぱり作品とも、出会うものだと思うし、それは偶然であり、どこか必然だったりする。だから人生、面白いんだと思いますよ。

ーー今後も、こうしたアニメ作品のボイスキャストには前向きですか?

草なぎ:あ、もう声をかけていただければ! いつでもやります! 家賃、払わないといけないからね(笑)。

ーーアハハ。クルミちゃんのためにも?

草なぎ:そうそうそう。パパ、働かないと!

ーーこんな役柄をやってみたい、といった希望は?

草なぎ:もう全然ない! なんでも! 早いもの勝ちですよー、みなさん! 

ーーそれは「憑依型」「天才」と言われる演技力があればこその言葉ですね!

草なぎ:いやー、そんなことないですよ。ホンネは早く終わらせて、家帰りたいだけだから、なんてね(笑)。

ーー集中しているってことにしましょう!

草なぎ:ふふふ。そういう意味では、たぶん僕はいちばんの怠け者じゃないかな。あ、でもあんまり「早く帰りたい」とか言うとファンの方に叱られちゃうんだよね。「そんなこと言っちゃダメでしょ」って。だから、冗談ハンバーグにしないと(笑)。(佐藤結衣)

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