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いま、最高の一本に出会える

唐招提寺御影堂障壁画《濤声》昭和50年(1975年)唐招提寺

東山ブルーを体感! 唐招提寺障壁画が再現展示される『生誕110年 東山魁夷展』が国立新美術館にてスタート

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18/10/25(木) 0:00

10月24日(水)から国立新美術館にて開催されている『生誕110年 東山魁夷展』。国民的風景画家と謳われた東山魁夷の画業の全貌をたどる。

東山魁夷(1908〜1999)は、戦後日本画を代表する画家のひとり。東京美術学校を卒業後、ドイツ留学を経て、戦争への応召や肉親の死別など苦難の中で風景の美しさに開眼。深い情感をたたえた静謐な画風を確立し、国民的風景画家として日本人の心に響く名作を多数残した。

そんな東山の生誕110年を記念して、今夏に京都国立近代美術館で開催された大規模回顧展が国立新美術館に巡回。約70件の作品を年代順の6章構成で紹介していく。

左:《残照》昭和22年(1947年) 東京国立近代美術館

「国民的風景画家」と題した第1章では、遠く連なる稜線が夕日を受けてさまざまな色合いに変化する様子を描いた《残照》、ひとすじの道が力強い印象を残す《道》、昭和天皇のご希望により福島県猪苗代町の翁島を描いた《萬緑新》など、東山が日本中を写生して周り、その土地の特徴を残しつつも普遍化した風景画が並ぶ。

右:《道》昭和25年(1950年) 東京国立近代美術館

第2章「北欧を描く」では、54歳の時に旅した北欧の風景を元に、鏡のように景色を反転させる湖、幻想的な雪景色や白夜を描いた作品を紹介。第3章「古都を描く・京都」では、大和絵的な四季折々の京都の景色を捉えた作品を、第4章「古都を描く・ドイツ、オーストリア」では、61歳の時に写生旅行で訪れた地の古い建物や街並みを描いた作品が展示される。

左:《花明かり》昭和43年(1968年)株式会社大和証券グループ本社
左:《緑響く》昭和57年(1982年)長野県信濃美術館 東山魁夷館

そして、同展最大の見どころの一つが第5章の「唐招提寺御影堂障壁画」だ。構想から完成まで約10年の歳月をかけた障壁画を、唐招提寺御影堂での配置を再現して展示。御影堂の修理に伴い、今後数年間は現地でも見ることができない作品を間近で見られる貴重な機会となっている。

唐招提寺御影堂障壁画《山雲》昭和50年(1975年)唐招提寺
唐招提寺御影堂障壁画《揚州薫風》昭和55年(1980年)唐招提寺

障壁画は5つの襖絵・壁面から成る。唐招提寺を開いた鑑真和上が見たかったであろう日本の風景として描かれた《山雲》と《濤声》、和上の故郷である中国・揚州の風景を描いた《揚州薫風》、渡航に失敗した和上が1年間滞在した桂林の風景を描いた《桂林月宵》、そして、中国の景勝地を代表する《黄山暁雲》。中でも圧巻は全16面の襖から成る《濤声》だ。東山ブルーとも言われる群青と緑青で描かれた海の景色が目前に広がり、今にも潮騒が聞こえてきそうな臨場感と迫力に圧倒される。

また、障壁画制作のための研究や構想を練ることに没頭した1972年だけ画面に現れたという、白馬のいる風景画を章の合間に紹介。「祈り」の表れと自ら語った白馬が佇む幻想的な風景にも注目したい。

そして最終章「心を映す風景画」では、東山がこれまで見つめてきた無数の風景と描いてきたスケッチをもとに心の中に形作られる風景が並び、画家が晩年にたどり着いた境地が見てとれる。

多くの人の心を魅了する豊かな叙情性と深い精神性をもつ東山魁夷の風景画。シンプルで力強い自然の美しさとともに、そこに込められた東山の「祈り」もぜひ感じ取ってほしい。

関連リンク

生誕110年 東山魁夷展

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