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乃木坂46、原点回帰の全曲披露 7thバスラで示した“育てながら勝つ”グループの最新形

リアルサウンド

19/2/26(火) 7:00

 乃木坂46が2月21日から24日まで、京セラドーム大阪で『乃木坂46 7th BIRTHDAY LIVE』を開催した。

 乃木坂46のバースデーライブはこれまで様々な会場で形を変えながら行われてきたが、2018年のバースデーライブでは、当初のコンセプトであった“全曲披露”が姿を消していた。だが、今回は2年ぶりの全曲披露ライブ。西野七瀬の卒業公演であったDay4については別記事で触れつつ、本稿では4日間で披露された177曲のうち前半3日をメインに振り返りながら、グループが示した7年の歴史について迫っていきたい。

 まず、今回のバースデーライブはただの全曲披露でなかったことについても触れておく。全曲を披露したバースデーライブのうち、大きな流れとして“リリース順’という形をとったのは、2016年に東京・明治神宮野球場で開催された『真夏の全国ツアー2016 ~4th YEAR BIRTHDAY LIVE~』ぶり(参考:乃木坂46が神宮3デイズで表現した“バースデーライブの意義” 各日のコンセプトを紐解く)。2年連続でレコード大賞に輝き、東京ドーム公演やドームツアー、海外公演を成功させるなど、いまや乃木坂46はその当時からは比べ物にならないほどの人気を獲得した。ここ1、2年で応援し始めたファンが多いのは間違いなく、このタイミングで改めてリリース順に楽曲を披露するというのは、グループの歴史を振り返るうえでも3年ぶりという数字以上の意味があったと思う。

 となると、公演はもちろん1stシングルから始まるのだが、オープニングでは1期生オーディションの合格発表を再現するように、当時の受験番号で次々とメンバーの名前が呼ばれ、星野みなみがセンターを務める「ぐるぐるカーテン」からスタート。この演出については、のちに松村沙友理や井上小百合も「泣きそうだった」と振り返っていたように、この日のハイライトの一つに挙げられる名シーンだった。さらに、初期の顔であった生駒里奈が卒業したあとのセンターを同じフロントメンバーである星野が引き継ぐというのは、グループが次へ進んだことを明確に表す幕開けだった。

 1日目は生田絵梨花と(サプライズで登場したものの)西野七瀬が不参加、秋元真夏が途中合流ということもあり、この場面からもう一つはっきりと突きつけられた事実は、現役の1期生が少なくなったということ。だからこそ、1期生のみで披露された1stシングル楽曲を経て、2ndシングルからは2期生が、3rdシングルからは3期生が合流した演出は、そんな寂しさも吹き飛ばすくらい、後輩たちがここまで頼もしく育っているのだ、という証左にもなっていた。

 演出といえば、メンバーがワイヤーで吊られてドーム中を飛び回ったり、気球や空中ゴンドラで客席に近づいたり、サブステージも上階客席まで上昇したり、「君の名は希望」「悲しみの忘れ方」がストリングス隊とともに披露されたりと、今回のライブではより“ドームらしい”パフォーマンスや仕掛けをいくつも見ることができた。2017年の東京ドーム公演はそこに“到達した”メモリアルなもの(参考:乃木坂46、東京ドーム公演で示した“個性と自信” 新たなステージへの「きっかけ」を見た)、昨年の全国ツアーは企画色を強く打ち出したものだったのに対し、今回はドーム規模の動員を誇るアーティストとしてどっしりと構え、“魅せる”ことを考え尽くされたライブだったように思う。

 また、リリース順ということもあり、幕間でのVTRも歴の浅いファンに対して(これまでのバースデーライブとも被らない配慮もしながら)その時に起こった出来事をなぞらえつつ、新たな情報を盛り込んでいたのも象徴的だった。だからこそ、最初から登場せず、ストーリーの核として用意された3人のリリーバー、1期生ながら学業のために休業し、4thシングルで合流した秋元真夏と、加入直後の7thシングルで表題曲のセンターに起用された2期生の堀未央奈、圧倒的な歌唱力とタレント性を持ち、グループ内外で活躍を続ける生田絵梨花の登場シーンとともに披露された「制服のマネキン」「バレッタ」「何度目の青空か?」は、一層の盛り上がりをもって迎え入れられていた。

 白石麻衣や西野七瀬らのモデル活動、生田・桜井玲香・井上小百合・樋口日奈の舞台出演、秋元真夏にとってのバラエティ番組、高山一実の執筆活動など、1期生は乃木坂46が“個々の才覚を伸ばせる場所”であることをその身をもって証明してきたし、その結果が現在の個性豊かな後輩たちを引き寄せたのは間違いないだろう。今回のバースデーライブでは、その蓄積を改めてパフォーマンスという形で、乃木坂46という物語の主人公は現在も彼女たちである、ということを突きつけてみせた。

 だが、すでに8年目に突入している乃木坂46は、“次の主人公”が続々と登場してきていることで、層の厚さを世間に知らしめてきた。その“次”はもうすぐそこまで迫ってきている。

 乃木坂46全体のライブでは、明確に選抜とアンダーのブロックを区切ったり、VTRで特別な演出を付け加えることで、よりアンダーのパフォーマンスにスポットを当てる箇所が用意されているのも特徴的だ。2018年以外のバースデーライブでは、その性質上、どうしてもアンダーブロックを作りづらい側面はあったが、今回は“2年ぶりの全曲披露”ということで、アンダーアルバム『僕だけの君~Under Super Best~』もその対象に。能條愛未や川後陽菜といったアンダーを支えた1期生が卒業したこともあり、VTRでは北野日奈子や鈴木絢音、寺田蘭世といった、選抜も経験しながら現在のアンダーを支える2期生の存在に焦点が当てられ、メンバーによるバンド・乃木團にも伊藤純奈の新加入(もう1人は3期生の久保史緒里)が発表された。今回のアンダーパフォーマンスでは、齋藤飛鳥や衛藤美彩、星野みなみなど、当時のアンダーメンバーを加えるというバースデーライブお馴染みの編成を挟んだり、3期生の力も借りつつ、昨年末に終了した『アンダーライブ全国ツアー2018 ~関東シリーズ~』(参考:乃木坂46は新たなフェーズへの一歩を踏み出す アンダーメンバーが示した過去の葛藤を乗り越える姿)の熱を持続させながら、同ライブの座長であった北野をはじめとした2期生が現在のアンダーを支える存在であることを改めて主張してみせた。

 “アンダー”は“選抜”とコインの裏表の関係性である以上、毎作ごとにメンバーが変わるため、そこにい続けるというのは決してポジティブな意味だけにはならない。だが、当時アンダーだった齋藤飛鳥が現在はグループのエース格になっているように、乃木坂46が持つ現在のパフォーマンス力は、間違いなくアンダーという存在があってこそ培われたものだ。急成長を続ける3期生、加入直後の4期生など、後輩の存在は次第に大きくなってくるだろうが、その事実だけはこれまでもこれからも決して変わることがないことを、この日のパフォーマンスが証明してくれた。

「今の2人は、乃木坂46という場所の意味も、センターというポジションの意味もわかるようになった」(「逃げ水」披露前VTRより)

 とはいえ、今回のライブを振り返ったとき、長くグループを見ている立場として何が一番印象に残ったか、と聞かれれば、真っ先に“3期生の成長”を挙げたい。これまでもグループ全体のライブで活躍こそしてきたものの、バースデーライブにおいては2017年に3期単独のパフォーマンス、2018年はそもそも全曲披露ではなかったことを踏まえれば、3期生にとっては今回が実質初めての全曲披露ライブ。だからこそ、「涙がまだ悲しみだった頃」の伊藤理々杏、「君は僕と会わない方がよかったのかな」「ダンケシェーン」の久保、「ここにいる理由」「嫉妬の権利」の岩本蓮加、「孤独な青空」の梅澤美波など、各楽曲では卒業した・欠席していた先輩の穴を補って余りあるパフォーマンスを見せていた。加えて、『お見立て会』で話していた“夢”を叶えた「渋谷ブルース」や「環状六号線」「行くあてのない僕たち」に参加した向井葉月、「口約束」「人生を考えたくなる」で若月佑美に変わって”女子校カルテット”に加入した佐藤楓、「2度目のキスから」で“真夏さんリスペクト軍団”に加入した吉田彩乃クリスティーなど、ユニット曲でも大車輪の活躍を見せた。彼女たちが乃木坂46というグループを背負うに足る存在であることを、この日のライブでより強く、多くのファンに知らしめたことだろう。

 ハイライトとしては、2年前は緊張から嗚咽でMCもままならなかった大園桃子が、Day3のオープニングで「京セラ、行くぞー!」と笑顔で叫び「三番目の風」へとつなげていく場面は感慨深いものがあったし、「逃げ水」での大園と与田祐希、「空扉」での梅澤美波のように、選抜曲でセンターに立つ姿も堂々としたものだった。パフォーマンス後に彼女が「今はファンの方の顔を見て、コミュニケーションをしながら笑顔で歌える」と言っていたように、選抜・アンダー・ユニット曲など、様々な状況で“何をすべきか”を瞬時に察して、その役割を全うできる総合力の高さが、今の3期生が持つ最大の武器なのかもしれない。

 若手メンバーの話をするのであれば、『お見立て会』以来、グループ全体のライブとしては初めてファンの前でパフォーマンスを披露した4期生の話も欠かすことはできない。Day1では生駒のソロ曲だった「水玉模様」でステージに初めて登場し、中盤では「サイコキネシスの可能性」を、Day2では深川麻衣がセンターを務めていた「ハルジオンが咲く頃」、Day3では橋本奈々未のソロ曲「ないものねだり」、中元日芽香のソロ曲「自分のこと」、Day4では深川のソロ曲「強がる蕾」を歌うなど、卒業したメンバーへ敬意を払いながら、VTRではその姿を映したり、これまでの足跡も組み込むという“今の乃木坂46”にしかできない演出は見事だった。

 特に「ハルジオンが咲く頃に」は、2017年のバースデーライブで3期生が歌っていた楽曲であることから、この曲は深川が残した慈愛の気持ちとともに“継承”のシンボルになるのだと、思うと胸が熱くなった(参考:乃木坂46、5年目のバースデーライブで開いた“第2章”の扉)。ハルジオンの花言葉である“追憶の愛”は、3年経った今もなお、後輩たちに受け継がれている。

 一つひとつの描写を全て描くには字数が足りないのでこの辺りにしておくが、ここまで描いてきたようなグループの充実を最も強く表してみせたのは、Day3本編の最後に披露された「キャラバンは眠らない」だろう。齋藤飛鳥をセンターに据え、若手メンバーだけで構成された選抜による同曲では、〈前の世代を超えろ!〉と歌い上げ、後半からは他メンバーが合流し、優しく後押しをする。この演出をラストに持ってくることに強いメッセージを感じるとともに、近い将来の乃木坂46を垣間見られた気がして、こみ上げるものがあった。

 公演では、『真夏の全国ツアー2019』や4thアルバムのリリースなども発表となったように、グループの勢いはまだまだ止まることはない。筆者は『真夏の全国ツアー2017』神宮公演時に、乃木坂46が次世代を“育てながら勝つ”ことができるグループなのかもしれない、と書いた(参考:乃木坂46は次世代を“育てながら勝つ”グループに 神宮公演に感じた、東京ドームへの確かな架け橋)が、まさにグループはそのままの路線を維持し、ここまで強固な集団へと成長した。彼女たちがまだまだ育てながら勝ち進んでいくことを、演出・パフォーマンスで改めて教えられた4日間だった。(中村拓海)

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