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『まんぷく』は桐谷健太の新たな代表作に 萬平の親友にしてご意見番・世良勝夫の熱さ

リアルサウンド

19/3/28(木) 6:00

 それにしても『まんぷく』(NHK総合)は物語を支える立役者で溢れかえっている。福子(安藤サクラ)と萬平(長谷川博己)の周りには、いつだって頼もしく、ときに強烈な個性を放って多くの視聴者を惹きつける登場人物たちでいっぱいなのだ。そんな『まんぷく』も今週でいよいよ最終話を迎えるが、その前に今回は数あるキャラクターの中でも世良勝夫(桐谷健太)というキーパーソンについて振り返りたいと思う。

参考:『まんぷく』要潤の好演にみる俳優としてのふり幅 弟子・上川周作とのシーンでもおかしみを発揮

「スルメにお湯をかけたってイカには戻らないわよ」
「スルメに湯かけてイカには戻らんど」

 『まんぷく』きってのご意見番といえば、鈴(松坂慶子)と世良のお二方であろう。意見が分かれるときもあるとはいえ、例えば、萬平の開発に物申すときの2人はしばしば本当によく似た考えを持つ。世良は「まんぷくラーメン」を食べる前には、「油であげた麺なんて食べられない」と言っていたが(ちなみに、これも鈴と一緒)、最終的に完成したラーメンを食べたときには、白薔薇のカレーに感動したときのように絶賛するのであった。かの有名なスルメ発言は、即席ラーメンに当時は懐疑的だった2人が発した台詞であり、観ていて思わず笑ってしまったものである。

 こうした鈴との絶妙なコンビネーションを観るのは、『まんぷく』の楽しみのひとつでもあった。これは、鈴と共通して言えることなのだが世良には“憎めなさ”、あるいは“可愛らしさ”とも言える魅力があって、それは、当初はああだこうだと苦言を呈しながらも、最後は福子と萬平の歩む道についてきてくれるところにある。世良に関して言えば、実際に商品を販売することになったときには「ダネイホン」のときであれ、「まんぷくラーメン」のときであれ、精力的に動き回ってくれた。萬平の作った商品の模倣品を製造した会社に、真一(大谷亮平)と一緒に突撃交渉しに行くのも彼だったのだ。

 世良勝夫はとにかく熱い男だった。そうした彼の一面は、商品を売るとき以外にも描かれることがあった。印象的だったのは、第71話でのこと。萬平の勾留に加え、幾度となくお世話になってきた三田村会長(橋爪功)の余命が3カ月であることを知った福子はそんな境遇を嘆き、思わず涙をこぼしてしまう。そんなとき、世良が福子の横でかける言葉のすべては熱のこもったものばかりだった。

「僕かて出来ることはやったる」「福ちゃんにはぎょうさん味方がおるんや」「泣いている場合ちゃうぞ、福ちゃん」。

 普段は陽気で、調子の良いことをしゃべることも多い世良。しかし、ここぞという場面で熱い言葉を口にする姿からは彼特有のカッコよさが伝わってくる。萬平とはだいぶ性格が違うけれど、彼は本作を通じて世良勝夫にしかできない役割をいくつも果たしてきた。なんだかんだ言って、萬平に最後まで連れ添ってきた“友人”の1人として活躍し続けた世良に大きな拍手を送りたい。

 「au 三太郎シリーズ」の“浦ちゃん”ほか、これまでも多くの作品に出演してきた桐谷健太だが、『まんぷく』での世良役は、彼にとって一番のハマり役だったと言っても過言ではないだろう。(國重駿平)

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