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綾瀬はるかはどう家族の一員になるのか? 『義母と娘のブルース』亜希子が模索する“母”と“妻”の姿

リアルサウンド

18/8/7(火) 6:00

 まるでロボットのようなぎこちなさを抱えながら、どうにかして違和感のない家族の一員として認められるよう、日々試行錯誤していく元キャリアウーマンの姿を描いた『義母と娘のブルース』(TBS系)。しかし、綾瀬はるか演じる亜希子からは、随所でどこか人間味を感じさせるシーンがあり、その瞬間には多くの視聴者を惹きつける。ここまで亜希子がみゆき(横溝菜帆)との関係の中で成し遂げてきたことをレビューしつつ、その不思議な魅力を見ていこう。

参考:綾瀬はるかと竹野内豊が築いた2人なりの夫婦像 『義母と娘のブルース』は“当たり前の奇跡”を描く

 家族では、一人ひとりのメンバーが何らかの役割を演じ、それを認識し合うことで成り立っているものとするのであれば、亜希子は宮本家において、みゆきの母という役割と、良一(竹野内豊)の妻という2つの役割を一度に背負っていかなければならない。まず、ここに亜希子が抱える困難性がある。これは、どれだけ亜希子がスーパーウーマンであるとはいえ、大きな負担を伴う作業である。いわゆる普通の家族の子供たちは、無意識のうちにこうした二面性を認識しているものの、ある日突然、しかも亜希子のような、どう考えても不自然極まりないキャラクターを持った女性がやってきたところで、みゆきはパニックを抱えてしまうだけである。そんな亜希子を受け入れるという作業は、子供にとっても大きな負担であるのだ。

 亜希子は、ひとまずみゆきに自分が母親として認められるようにまい進する。そこで繰り出すのが、今まで培ってきたビジネスでの経験。履歴書を見せたり、まるで家族をクライアントであるかのように扱ったり。でも、不思議なことに、この徹底したビジネススタイルに基づく関係構築が、最終的に亜希子が家族になる上で大切なことを学ぶきっかけ作りになっている。例えば第2話で、母親としてのロールモデルがいまいちピンとこない亜希子は、良一の亡くした妻である愛(奥山佳恵)の振る舞いをコピーしようと務める。何か一つ決まりきったやり方があって、それを遂行していくのは、亜希子がビジネスで会得した得意分野であるからだ。

 しかし、それでは全くみゆきに受け入れてもらえない。「もしかしてママの真似しようとしてる? 真似してもママになれるわけないじゃん」とみゆきに言われてしまうのだ。亜希子は亜希子にしか出せないカラーを出さなければならない。そこで、ニンジンが食べられないみゆきに対して、亜希子は“一気コール”をすることで、みゆきが人参を食べられるように促す(他にもっと自然なやり方はないのかとツッコミを入れたくなってしまうけれども、亜希子にとっては精一杯の考えなのであろう)。その後、ニンジンを食べられたみゆきは、渋々ながらも、良一に促される形で、亜希子に1輪のカーネーションを差し出す。とても象徴的なシーンである。

 というのも、家族の中では、一方が何かを差し出したり、あるいは教えてあげたりするのに対して、他方もそれに対して何かをあげたり、見せたりするという、“等価交換”がなされることで絆が強まっていくものであるからだ。亜希子はそれまで必死にみゆきに認めてもらおうとしてきたが、一方がひたすら何かをしてあげるだけではダメなのだ。家族のコミュニケーションはギブアンドテイクの連続によって結ばれていくものであることを実感させられる、そんなシーンであった。もちろん、このシーンはほんのきっかけに過ぎないけれども、家族で必要とされるためには、あるいは家族での自分の立ち位置を考える上では、自分からの一方的な視点ではいけないのだと気づいたのではないか?

 そして第4話では、亜希子と良一が、結婚指輪もはめないし、一緒の部屋で寝たりもしないことにみゆきが違和感を覚えたわけであるが、今度はいかに亜希子が“妻”になれるかが鍵になった。そのため、亜希子は良一とレストランで食事をしながら、2人が出逢ったきっかけなどをみゆきに説明するための話し合いをした。結果、亜希子は良一の“強さ”に惚れたから一緒になりはじめたという結論を出した(亜希子も十分“強い”とは思うけれども)。みゆきは最終的に、2人のなれ初めについて興味を失ってしまったものの、今後亜希子が良一の妻であるということを、みゆきがしっかりと認識するとすれば、お互いに足りないものを補い合っているところを目にしたときであろう。夫と妻がそれぞれ別の役割を担いつつ、互いに何かを補い合っているのを目にしたときにはきっと、亜希子が良一の妻であると認めるのではないかと思われる。

 いよいよ、良一の身に命の危機が迫ってきていることを思わせるシーンで終わった、第4話。今後、どのように亜希子が家族の中で持ち前のパワフルさを発揮していくのか。怒涛の展開に目が離せない。(國重駿平)