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清水翔太が明かす、“ピュアなクリエイティブ”への思い「音楽だけは手を抜きたくない」

リアルサウンド

18/6/28(木) 17:00

 昨年2月、当サイトに掲載した『清水翔太の音楽がドープに深化した理由ーー3人のライター・編集者が語り合う』にて好き放題語ってしまったゆえか、清水翔太本人から「好きなだけ新作を深読みしたインタビューをすればいい」と、ありがたい逆指名を受けて、ニューアルバム『WHITE』の取材を行なってきた。

 彼は、ありきたりの質問に対しても、真摯に回答する。しかし、「このインタビュアーは僕に興味がない」「僕の作品をしっかり聴いてインタビューに臨んでいない」と察知した瞬間、わかりやすく寡黙になる。そして、作品の核心に触れることなく、取材は終了する。さて、今回はどうだろうか。そのジャッジは読み手に委ねるとして、久方ぶりに会った清水翔太に、大きく変化した人間性から音楽性まで、余すところなく聞いてみた。(佐藤公郎)

「自分の内側に向いていく作品が増えた」

ーー最近は「しょん」と呼ばれているそうで。

清水翔太(以下、清水):そもそも親が僕のことを「しょん」って呼ぶんですけど、29歳でキャリアが10年、女の子から「翔太くん」や「翔太さん」と呼ばれ続け、いつまで経っても距離が縮まらないこともあって、もっとかわいく呼んでほしいので「しょん」を解禁しました。ほら、どこかでかわいらしさも出していかないといけないかなって。

ーー大人になったね。

清水:強がる必要もなくなったし、好きな音楽もやれているからね。

ーー「しょん」解禁はTwitter上での出来事だけど、一昔前はあれだけアーティストがSNSをやることに大反対していたのに、まさかのドハマり。

清水:ハマってるのかな? まあ、ハマってるんでしょうね。

ーー去年の10月だったかな、「ちょっと結婚したくなってきた」とツイートしてたけど、「もう実は結婚している」という隠れ蓑のための牽制球かと深読みしたんだけど?

清水:ないから!(笑) 未婚です。

ーー新作の話をしましょう。僕は『WHITE』に対して、どんな感想を抱いたと思う?

清水:斬新な質問だなあ。とはいえ、聴き手に対して、“深読みし甲斐のある作品”にしたつもりです。

ーーその通り。タイトルからして深読みさせる気概が感じられた、素晴らしい作品だと思いました。

清水:感想、言っちゃったじゃん。しかも、至って普通な。

ーーそもそも先行シングル曲「Friday」を聞いたときに脳裏をよぎったのが、『COLORS』(2011年)に収録された「Midnight Flight」だったんですよ。当時の清水翔太は、夜な夜な街に群がる人間たちに対し、〈何故、人々は華やかな場所が好きで/孤独を恐れるの?〉と揶揄していた。つまり、金曜日の夜の街を楽しむことなんて眼中になかった清水翔太が、今は〈0時を過ぎたあたりから本気になる〉なんて歌ってる。こうした変化を先行シングルから見せられたら、アルバムは弥が上にも期待が高まらざるを得ない。

清水:極端に言えば“酸っぱいぶどう”理論なんです。高い木の上になっているぶどうは酸っぱくて食べられない。僕は食べることもしなければ、取ろうともしない。仮に取れたとしても、そのぶどうを食べるつもりもなかった。当時はそんな気持ちがありました。でも、いざ食べられる環境になったら、甘くておいしかった、とは言わないけど、それにはそれなりの味わいがあったという感覚かな。

ーー食すことができる環境下になったということも、人間性における大きな変化だよね。

清水:『PROUD』(2016年)以降、自発的にそうしていこうと思ったんです。外に出たほうがいい。友だちを作ったほうがいい。そして、人とたくさん会おうと。僕の場合、なんでも音楽に影響が出るわけで、善し悪しはさておき、書けなかったことが書けるようになった、作ろうとしていなかったものを作れるようになったという、クリエイティブに大きく還元された部分はあります。

ーーもともと天才肌を包み隠さず露呈してきたわけだけど、過大評価も過小評価も好ましくないという狭間で、人として、アーティストとしても生きてきた印象がある。ただ、そこには無自覚の「悪い人だとは思われたくない」という潜在意識があったのに対し、今は「積極的に自ら人を嫌うことはしないけど、それでも嫌いというのなら、それで構わない」という精神が見える。

清水:好きなことを続けるには、やっぱり犠牲も覚悟しなくちゃいけないことを知ったからでしょうね。「あれは好きだけど、これは嫌い」「だったら、これをやってみたら、あれは嫌いと言われる」ーーなので、もう腹をくくることにしたんです。好きな音楽を継続するためには、人間的にもアーティスト的にも嫌悪感を抱かれるとことをセットで考えなければならない。ただ、「清水翔太はこうだ」と勝手に判断されて、勘違いから嫌悪を抱かれるのは好ましくないですけどね。

ーー聴き手に「この歌は、こういう意味か」と想像させる余白を残すことが、ある種の危険性も伴う、ということですね。

清水:実際、アルバムには収録していないんですけど、ついこないだ同タイトルの「WHITE」という曲をインスタにアップしたんです。そうしたらファンの方から「突き放されたような気がして悲しくなりました」というコメントがあったんです。「おい、ちょっと待ってくれ。そんなこと何も歌っていないんだけど」と。それだけ抽象的でいかようにも受け止められてしまう曲だったのかな? って感じたんです。かといって、毎回アルバムやシングルに対して「この曲は、こういう曲です!」と説明的すぎることも避けたい。

ーーアルバムリリース前にリスナーを傷つかせるなんて、なかなかハードなことだけど、翔太の場合、「こういう曲です」と説明してしまったら、「と、清水翔太は説明してるけど、きっと違うんだろうな」と思われ、負の連鎖が始まることも熟知しているからだろうね。

清水:なので、「Good Life」然り、自分の内側に向いていく作品が増えたのかもしれませんね。

「だって僕、一度死にましたから」

ーーある種、翔太がリリックやトラック、曲自体に攻撃性を持ち合わせるようになったのは『PROUD』以降だと思うけど、それ以前から「悲しくなりました」のような声は聞こえてこなかった? それとも、SNSをやっていなかったから気づかなかっただけ?

清水:そもそもネガティブに受け止められないような表現をしてきたと思うんです。それだけアイドルに近いスタイルだったのかもしれない。『PROUD』以前の僕は、「みんなのすぐ隣で、いつも優しく微笑みかけてくれる清水翔太」だったけど、それが今は「隣に来るなら来てもいいけど、相手をするかしないかは僕次第」みたいな感じですから。

ーーたくましくなったね。

清水:極論ですけどね(笑)。ただ、僕はそういう関係性こそ、理想なんじゃないかなって思うんです。

ーーでは、アルバムについて詳しく聞いていこうと思うんですが、前述したように、なぜ清水翔太が『WHITE』というタイトルを命名したか。

清水:2つ、意味があります。ひとつは“自分にとってのホワイト”で、僕の心の奥にある、真っ白で汚れていないピュアなクリエイティブを表に出す作業。これって、実は簡単なようですごく困難で、「本当にホワイト」だなと思えたのが今作なんです。

ーー本来のまっさらな状態の清水翔太であると。

清水:音楽に目覚めた初期衝動の感性に近い雰囲気すら感じてるんです。それは曲作りの工程や、出来上がった曲の質感も。もはや生まれたての清水翔太のような感覚。

ーーでは、もうひとつの“ホワイト”は?

清水:聴き手に対する“ホワイト”です。例えば今の時代、おいしい料理が目の前に出てきても、温度や味を楽しむ前に、インスタにアップすることをメインに考えている人がいるじゃないですか。僕もSNSはやってますけど、そういう感覚はないかな。

ーーでも、料理の写真、大量にアップしてるよね?

清水:あれは店じゃなく、自分の家で作った自分の料理だから!(笑) ある意味、「しょん、こんなこともできるんだよ」っていう側面です。で、本題に戻りますけど、そうした人の思いが乗った料理はさておき、「私は今、ここにいます」「こんなにおいしいものを食べます」という承認欲求が先に立つのは好きじゃないんです。今の時代、音楽も似たようなもので、消費されていくかもしれないけど、人が作った作品に対しては、もっと本気で向き合うことも必要なんじゃないかな、って思うんですよ。もちろん、強要はしません。でも、長い時間、自分自身と向き合い、納得のいく形で完成させた作品に対し、そうした感覚で聴かれてしまうことは、どこか悲しいじゃないですか。大袈裟ですけど、何もない真っ白な空間で、たったひとつのものと向き合い、聴いてほしい。そんな意味のホワイトです。

ーー自分への意思と、相手への提案の“ホワイト”ということだ。

清水:でも、タイトルありきで制作を進めたわけではなく、作りながらゆっくりと芽生えてきた言葉なんです。きっと今回のアルバムは、そういう作品になるだろうな、自分にとっても聴き手にとっても、って。

ーーそう感じさせた背景には、常にどこか満たされない気持ちがありながらも、「最低限、納得できる形にはできてしまう」という、器用さゆえの葛藤が働いたんだろうね。

清水:自分のやることは最大の正解であって、最強である。そういった自信は常にありました。でも、場合によっては足を踏み外し、炎上の対象になるかもしれない。僕自身は間違ってはいないけど、間違った解釈がネットで拡散されてしまえば、それは誰かに迷惑をかけることになる。そうした気遣いが、表現の幅を狭め、作品をつまらなくしてしまっていたんでしょうね。

ーー実際に過去のインタビューでは「自主規制している」と言っていたことがあるくらいだからね。

清水:だからなのか、テレビやウェブも炎上を恐れて自主規制を働かせているなか、僕は逆行して規制しないことにしたんです。以前から僕は男として前田慶次(マンガ『花の慶次』の主人公)に憧れているんですが、“負け戦こそ男の花”という気持ちを大事にしたい。「やめたほうがいいんじゃないか?」というところまで歩みを進めて、そこで初めてジャッジすればいい。今は、そんな思いきりやれている楽しさがあるんで、恐怖感もないんです。だって僕、一度死にましたから。

ーーそれは、腹をくくったとき?

清水:そう。歌そのものをやめようと思ったくらいですから。

「クリエイティブと向き合うときだけは孤独」

ーーデビューから『PROUD』まで抱いていた孤独感や劣等感を埋めていたのは、紛れもなく才能と努力だったはず。でも、今は外にでも出て、気心の知れた友人も増えた。言わば孤独も劣等感も覚えないフィールドにたどり着いたのに、さらにクリエイティブと向き合えるようになったのは、なぜだと思う?

清水:クリエイティブそのものが孤独だからですよ。確かにあれだけ引きこもっていたのに、今や仲間ができて、飲みに誘われることも増え、苦手だった目上の人たちとも良い距離感を保つことができてる。さっきも話したように、そうしたところで得られる感覚は間違いなくあるけど、家族がいようが恋人がいようが仲間がいようが、クリエイティブと向き合うときだけは孤独なんです。なぜなら、自分しかジャッジできないから。良い曲を作れたとしても、聴く人によっては響かない可能性もあるわけで。恐怖感はないって話しましたけど、「これは本当に清水翔太なんだろうか?」「これが清水翔太の限界」と思われてしまう恐怖感だけは、いまだにあります。音楽を作ることは、僕にとって終わりのない作業なんです。

ーー人間的にもアーティスト的にも大きな変化は見て取れるけど、そうした音楽と向き合うストイックさは、本当に変わらないね。

清水:そこがブレてしまったら、制作意欲につながらないから。アーティストを続けていく上で、100%満足のいく作品を作り続けることは、本当に困難な作業だと思うんです。たとえ瞬間風速がよくても、日が経つにつれ、風の強さは弱まるもの。だから、「才能がある」と言われたとしても、あぐらをかいている時間なんかない。自分がリスペクトするアーティストに負けない作品を作りたいと思い続けられること、戦い、考え、常に一所懸命でありたい。いかに日々が楽しかろうが、音楽だけは手を抜きたくない。

ーー自分自身を更新していく気概、その向上心が『WHITE』には表れている。考えだけじゃなく、歌い方ひとつを取ってみても、それは顕著に。

清水:きれいに歌い上げることに疲れちゃったんでしょうね。昔の曲を聴いて驚くこともあるくらいですから。優等生よろしく、きれいにまとめすぎちゃってる。

ーーアルバムに収録された「Beautiful」は、タイトルからしてきれいにまとめてそうな曲だと思ったけど、野生感が出ていて驚かされたくらい。

清水:確かにきれいにまとめれば『ENCORE』(2014年)に収録されていてもおかしくない曲ですけど、やっぱり歌い方ひとつで全然違う作品になるんだな、って。やっぱり向上心がなくなってしまったらおしまいだから。

ーー来年、三十路を迎えるわけだけど、時代に逆行していることも踏まえ、最強の年の重ね方をしているね。

清水:ただ、無理はしたくないですよ。年を重ねたからといって、“ザ・エバーグリーン!”みたいな曲作りをしたいとも思わないし。けど、音楽は時代時代で左右され、少しずつ形を変えていくもの。それなら、僕がその形を変えていくことだってできるんじゃないかなって思うんです。

(取材・文=佐藤公郎/撮影=竹内洋平)

■リリース情報
『WHITE』
発売:2018年6月27日(水)
価格:初回生産限定盤(CD+DVD)¥3,900+税
通常盤(CDのみ)¥3,000+税

<DVD収録内容>
『SHOTA SHIMIZU 10th Anniversary Event for Family』より「Sorry Not Sorry」「My Boo」「HOME」「your song」「Tokyo」を収録

■LINEスタンプ取得方法
LINE MUSICにて、6月27日(水)11:00から販売開始される『WHITE』のどれか1曲(257MUSICコイン)、あるいはアルバム全曲(2100MUSICコイン)を購入すると、特典付与。LINEスタンプがもらえる楽曲の購入期限は、2018年7月26日(木)23:59まで。
『WHITE』ダウンロード購入はこちら(6月27日11:00より販売開始)

■ツアー情報
『SHOTA SHIMIZU LIVE TOUR 2018 “WHITE”』
2018年7月3日(火)愛知・Zepp Nagoya OPEN 18:00 / START 19:00
2018年7月13日(金)北海道・Zepp Sapporo OPEN 18:00 / START 19:00
2018年7月19日(木)大阪・Zepp Namba OPEN 18:00 / START 19:00
2018年7月20日(金)大阪・Zepp Namba OPEN 18:00 / START 19:00
2018年7月30日(月)東京・Zepp Tokyo OPEN 18:00 / START 19:00
2018年7月31日(火)東京・Zepp Tokyo OPEN 18:00 / START 19:00
2018年8月4日(土)香川・レクザムホール 大ホール OPEN 17:00 / START 18:00
2018年8月7日(火)岩手・盛岡市民文化ホール 大ホール OPEN 18:00 / START 19:00
2018年8月9日(木)宮城・仙台サンプラザホール OPEN 18:00 / START 19:00
2018年8月11日(土・祝)福島・郡山市民文化センター 大ホール OPEN 17:00 / START 18:00
2018年8月19日(日)静岡・静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール OPEN 17:00 / START 18:00
2018年8月24日(金)広島・広島上野学園ホール OPEN 18:00 / START 19:00
2018年8月26日(日)島根・島根県民会館 OPEN 17:00 / START 18:00
2018年8月28日(火)福岡・福岡サンパレス OPEN 18:00 / START 19:00
2018年8月29日(水)福岡・福岡サンパレス OPEN 18:00 / START 19:00
2018年9月4日(火)石川・北陸電力会館 本多の森ホール OPEN 18:00 / START 19:00
【追加公演】2018年9月10日(月)東京・日本武道館 OPEN 17:30 / START 18:30
【追加公演】2018年9月11日(火)東京・日本武道館 OPEN 17:30 / START 18:30
【追加公演】2018年9月17日(月・祝)大阪・大阪城ホール OPEN 17:00 / START 18:00

■関連リンク
清水翔太 オフィシャルサイト
清水翔太 公式Twitter

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