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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

第14回

川本三郎の『映画のメリーゴーラウンド』

集団就職の話から…『煙突の見える場所』、小津安二郎につながりました。

隔週連載

18/12/25(火)

 昭和三十三年公開の大映映画、吉村公三郎監督の『一粒の麦』には、昔の懐しい東京が好きな人間には興味深い場面がある。
 福島県から中学校を卒業した少年少女たちが集団就職で東京にやってくる。「金の卵」とは言われたが、東京に出てきて実際に働く場は中小企業や個人商店が多かった。
 少年の一人は、上野駅に着くと雇用主(潮万太郎)に迎えられる。そば屋の主人。少年は下町のそば屋で働くことになる。
 二人は上野から京成電車に乗って千住方面に向う。少年が窓から外を見ていると大きな煙突が見える。電車が走るにつれ、本数が違って見える。さっきまで四本だった煙突がいつのまにか二本に。驚く少年にそば屋の主人が「あれが有名なお化け煙突っていうんだ」。