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岡田将生に変貌のとき訪れる? 20代最後の年に『昭和元禄落語心中』で“深みある大人の役者“へ

リアルサウンド

18/11/23(金) 10:00

 第1回から注目を集めているNHKドラマ10『昭和元禄落語心中』が終盤に入った。1月期放送の『女子的生活』、7月期放送の『透明なゆりかご』など、安定して評価の高い枠だが、その評価も主役がハマってこそであり、今回の『昭和元禄落語心中』で老け役に挑戦した岡田将生も、また一段と役者としての深みを増したと知らしめている。

 2006年に俳優デビューした岡田がその存在を広めたのは、翌年出演した映画『天然コケッコー』だろう。まさに少女漫画から抜け出たような美少年ぶりに、かっこいいというよりも美しいという言葉がよく似合った。

 そして映画『僕の初恋をキミに捧ぐ』や、ドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス』などで強みである美しい外見を生かしていったが、岡田は一方で挑戦的な役柄にもチャレンジしていく。いずれも原作小説も人気の、『重力ピエロ』では複雑な内面を抱えた青年、『告白』では空気の読めない教師、『悪人』では文字通りの嫌な大学生と、ひとときも安住せずに進み、その後もテレビ、映画を問わず、その容姿だからこそ成立させうる役柄から、その容姿だからなお裏切りが強烈となる役柄などでキャリアを重ねていった。

 そんな甘えを断ち切る強さと野心を感じさせる歩みの結果を、近年の演技が証明していく。もともとの個性を突き詰めたといえるドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)での主人公にも、ただのほわりとしたキャラクターだけではない説得力を持たせ、視聴者を魅了。長谷川博己や香川照之らとぶつかりあった『小さな巨人』では、鼻水やつばを飛ばすこともいとわぬ魂のこもった演技を見せた。

 今年のはじめに公開され、見た目はいいが、人の気持ちを考えられないイタイ主人公・伊藤くんを、素ではないか? と思わせるほど、自然に演じきった『伊藤くん A to E』からもその成長ぶりが伝わる。

 そして放送中の『昭和元禄落語心中』では、八代目有楽亭八雲が抱えてきた孤独と苦しみ、人生の重みを、佇まいや眼差しにも滲ませている。老け役というのは、当然ながらメイクだけで成立できるものではない。立ち方、間、声の変化に加え、本作では噺家というハードルまであるが、岡田はそれらの期待に見事に応え、真打としての八雲の落語に凄みを伴って圧倒する。

 芸人・鉄拳のパラパラ漫画が原作の主演映画『家族のはなし』も公開となった。岡田自身が「とにかくまっすぐに演じた」と語っている通り、ここでは、夢と現状の狭間でもがき、家族に対して素直になれない等身大の青年を、ただひたすらまっすぐに演じている。だが、大学を中退した金髪の青年といった役柄も、そろそろ見納めになってくるかもしれない。

 さて、『昭和元禄落語心中』はさらに時間を経て終盤へと突入。常に変化し続けてきた岡田だが、20代最後の年に、その変化が加速している。見た目のいい役者は山ほどいるが、岡田は、30代、40代と年を経るごとに、ますます魅力的な俳優になっていくに違いないと期待を抱かせる。そしていまは、美青年から深みある大人の役者として大きく変貌していく様を、目の当たりにできる贅沢なときだ。(文=望月ふみ)

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