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プリキュア映画の“偉業” 市場規模が狭い中、なぜ歴代最高ヒットでスタートできた?

リアルサウンド

18/11/11(日) 6:00

■プリキュア映画、絶好調

 プリキュア映画が絶好調です。10月27日に公開された『映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』は、公開からの土日2日間で動員30万9781人、興行収入3億5357万7300円と、プリキュア映画史に残る「とんでもない」数字となりました。

 また同日、この映画に登場する55人のプリキュアが「アニメ映画に登場する最も多いマジカル戦士の数」としてギネス世界記録に認定されるなど(参考:プリキュア15周年記念サイト)、プリキュアの勢いが止まりません。

 プリキュア映画に詳しくない方は、この「初動2日間での興行収入3.5億、動員30万人」という数字が、どれほどのインパクトを我々プリキュアファンに与えたのか理解しにくいかと思われます。そこでこの数字の「とんでもなさ」について少し説明していきたいと思います。

 東映アニメーション制作の女児向けアニメ、プリキュアシリーズの映画は、2005年4月に第1作『映画 ふたりはプリキュア MaxHeart』が公開され、2006年からも1年に1本のペースで映画が作られてきました。2009年以降は春休み期間の3月に「放送中のプリキュアと過去のプリキュアが共演するオールスターズ映画」と、10月に「放送中のプリキュアのみで構成される秋映画」の、1年間に2本の映画が公開されています(※2017年『映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリっと!想い出のミルフィーユ!』では、前作のキャラクターが共演するなどの例外もあります)。

 しかし2018年放送中の『HUGっと!プリキュア』の映画では(本来単独作品である)秋映画にも関わらず初代『ふたりはプリキュア』を始めとした55人ものプリキュアオールスターズが総出演する、という事が発表され大きな話題となっていました(知らない人にこのことを言うと「プリキュアって今55人もいるの!?」って必ずビックリされます)。

■市場自体は狭いのに、興行収入は大きな伸び

 初動2日間の興行収入は、歴代ダントツで1位。前作2018年春に公開された『映画プリキュアスーパースターズ!』が8年ぶりに初動2億円を突破し、歴代最高を記録したかと思いきや、それを大幅に上回り3.5億円を突破しました。

 動員含め、たいだい例年の1.5~2倍の興行成績、といった感じです。

 この数字の何が凄いのかと言うと、同じ子ども向けアニメ映画でも『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『ポケットモンスター』等は幼稚園児だけではなく小学生高学年の男女も視聴対象なのに対し、プリキュアシリーズは通常3~6歳の女児をメインターゲットとしています。そのため市場自体がかなり狭く、大きく興行収入を伸ばすのは難しいと思われていました。

 そんな中で、今作の初動成績、230スクリーン公開で、動員30万9781人、興行収入3億5357万7300円という数字は、例えば2018年春公開の『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~』の355スクリーン、動員31万5000人、興収3億6700万円という数字にひっ迫している数字なのです。公開スクリーン数、対象ターゲット層を考えると、『クレヨンしんちゃん』の映画に迫る成績というのは本当に「ものすごい」ことなのです。

■興行収入のメインは子どもとその保護者

 では、今作の絶好調の要因は何なのでしょうか?

 2018年は「プリキュア15周年」記念の年、ということで東映アニメーションを始めとしたプリキュア製作関係者が、東京の地下鉄駅に広告を出したり、原宿に限定ショップを出店したり、2月1日を「プリキュア記念日」と設定する働きかけをしたり、10月には横浜で大きなパレードを実施、ギネス認定申請など様々な施策を行ってきました。

 様々な媒体での「プリキュアコンテンツの露出増」による認知の増加と共に、歴代55人ものプリキュアオールスターズが映画に出演するという話題性が、子どもたちとその保護者はもちろんのこと、プリキュアをかつて観ていた女性、その他多くのオトナのファンを引き付けたためと思われます(自分の観測範囲では、社会人女性はもちろんのこと、中高生、大学生など一度プリキュアを卒業した学生も数多く劇場に足を運んでいたようです)。ただ、興行収入を動員数で割った客単価でみると、やはり興収のメインとなっているのは「子どもとその保護者」であることも事実であると思われます。

 つまり今の現役プリキュアファンの子供達も、過去プリキュアファンだった学生も、ずっとプリキュアをみている社会人も、プリキュアに関わったことのある人全員が、大いに盛り上がった点がこの成績の大幅増に繋がったものと思われます。

■プリキュア映画が日本映画の将来を担う?

 プリキュア映画は「子どもが初めて観る映画、映画の原体験」としての機能もあると思います。

 今までのプリキュア映画で歴代最高の興行収入は2010年春に公開された『映画プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!』の、興行収入11.5億円、動員107万人です(参考:日本映画製作者連盟)。

 今作『HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュアオールスターズメモリーズ』は、その初動数値の高さから、『オールスターズDX2』を上回り歴代最高の興行収入になるのは確実かと思われます。

 この結果は、この先の「プリキュア映画」にとってひとつのターニングポイントになるのではないかと自分は思っています。

 プリキュアの映画は、近年では春と秋、1年に2回というハイペースで作品が作られ続けているにも関わらず、子どもたちにこの14年間ずっと支持され続けています。2006年の『おしゃれ魔女 ラブandベリー』の女児への空前の大ヒット、2014年の『妖怪ウォッチ』『アナと雪の女王』の大流行による興行収入の落ち込みからも見事に復活し、近年は年を追うごとに成績がアップしてきています。それはプリキュアというコンテンツがずっと子どもたちに寄り添ってきたからなのだと思います。

 そんな中、今作ではさらに例年の2倍近い子どもたちが劇場に駆け付けているのです。

 「劇場に足を運んで、応援すると憧れのキャラクターが活躍する」という体験をした子どもたちは、きっと「映画というコンテンツ」自体を好きになってくれるのではないかと思うのです。「プリキュア映画」で映画というコンテンツの楽しさを知った子どもたちが、将来たくさんの映画を観に行くようになってくれると良いですよね。

 そう考えると「プリキュア映画の成功」は日本映画の将来をも担っている、といっても良いのではないかと僕は思うのです。
(文=kasumi)

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