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玉城ティナ、『チワワちゃん』は女優としての転換期に? 監督や同世代俳優から吸収した演技スキル

リアルサウンド

19/2/8(金) 10:00

 一緒に遊びほうけていた友人の本名を、彼女がバラバラ殺人の被害者になったことで初めて知る若者たち。岡崎京子の漫画作品としては『ヘルタースケルター』と『リバーズ・エッジ』につづいて実写映画化された『チワワちゃん』は、現代の東京の若者の暗部をこれでもかとばかりに抉り出す。ただひたすら無軌道なように見えて、ありとあらゆる不安によって雁字搦めにされた“若さ”がきらびやかな映像の中で爆発しており、さながらハーモニー・コリンの『スプリング・ブレイカーズ』の日本版のような気持ちを味わってしまった。

参考:<a href=”https://www.realsound.jp/movie/2019/02/post-315635.html”>新井浩文の逮捕により『台風家族』公開延期に 不祥事が作品公開に及ぼす影響を、弁護士に聞く</a>

 27歳の新鋭監督・二宮健のセンスが遺憾なく発揮されたビジュアルもさることながら、やはり目を引くのはそのキャスティングだ。物語の語り手として仲間たちから“チワワ”との思い出を聞き出していくミキを演じる門脇麦を筆頭にして、成田凌や貫一郎、村上虹郎といった若手屈指の演技派俳優。そして物語の鍵を握る“チワワ”を演じる吉田志織が放つ闇の深い空気感。そんな中で、“チワワ”の親友だったユミを演じた玉城ティナが、出番が少ないながらも印象的な芝居を繰り出していたように思える。

 改めて考えてみると、玉城が本作のような役柄を演じているというのはどこか珍しい印象だ。昨年夏に連続ドラマと劇場版が立て続けに制作された『わたしに××しなさい!』の際に、彼女がこれまで映画で演じてきたキャラクターは大きく分けて「優等生タイプ」か「影を帯びたミステリアスなタイプ」のどちらかであると触れたが(参照:玉城ティナ、小関裕太ら期待の若手俳優が勢揃い! 『わたしに××しなさい!』のチャレンジ精神)、本作においてはそのどちらでもない。ストーリー上で起こる状況を俯瞰して見る「優等生タイプ」は門脇麦であり、「ミステリアス」は吉田志織が務めており、玉城は仲間とはしゃぎ、そして仲間の死に誰よりも悲しむ感情的で良くも悪くも“普通”な芝居に徹する。これは玉城が新たな役のタイプを習得する、女優としてのひとつの転換期を迎えたと考えていいのかもしれない。

 2012年にアイドルやモデル、女優といった多岐にわたるジャンルをカバーするオーディション「ミスiD」のグランプリに輝き、ViViの専属モデルとなった彼女はティーンのカリスマとして注目を集める。それからはドラマや映画でトントン拍子にステップアップし、前述した『わたしにxxしなさい!』でついに初主演。そして昨年末、6年間務めあげたViViから卒業。変わらずにモデルと女優を並行していくことを表明しているわけだが、この明確なキャリアの節目は、新たな演技スキルを開拓するにはふさわしいタイミングと言えるだろう。

 とりわけ玉城のようにモデル出身の女優、ないしはモデルと女優を掛け持ちしていく女優というのは近年少なくない。しかしながら動きのある映像の中では、いわゆるフォトジェニックさ以上に表情の柔らかな動きやセリフまわしなどが求められ、漠然とした「演技力」というものを習得するのは決して容易なことではない。もちろんそれは若手女優全般に言えることだが、人気に肖っていきなりメインヒロインという作品をリードする側に回れば、否が応でも粗が目立ってしまうものである。それでも玉城のフィルモグラフィーを振り返ってみ
ると、それをカバーするための段階がきちんと敷かれた作品選びが為されているように見受けられる。

 映画デビュー作では海外でも評価の高いSABU監督の『天の茶助』で松山ケンイチの妹役として方言全開でまくし立てるというインパクト重視の役柄を演じ、それからは少女漫画原作映画の『オオカミ少女と黒王子』でヒロインの友人の1人という無難な登竜門を経て、『貞子vs伽椰子』で恐怖演技を習得。そして再び出た少女漫画原作映画の『PとJK』ではヒロインの親友に格上げとなり、それからは立て続けに同世代の俳優たちがしのぎを削る作品で稀有な存在感を発揮。廣木隆一や深川栄洋ら確かな演出力のある監督や、巧い同世代の俳優たちから着実にスキルを吸収していっているわけだ。

 そして今年の秋には人気アニメに端を発するメディアミックスの一角である『地獄少女』の実写映画版で主演を務め、さらにアニメ化もされた押見修造の漫画を原作にした『惡の華』でメインヒロインの1人を演じる。必然的に彼女の演技が作品の出来に左右するという大きな責任を背負う立場になるわけだが、それと同時に、これまでの作品でインプットされてきたあらゆるものが試されることにもなる。サポートする側の女優から作品全体を背負って立つ女優として、2019年の玉城ティナはどんな輝きをスクリーンで発してくれるのか、実に楽しみだ。 (文=久保田和馬)

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