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神木隆之介と有村架純の初々しい恋人模様 『フォルトゥナの瞳』の繊細な心情描写

リアルサウンド

19/2/20(水) 13:00

 “フォルトゥナ”とは運命の女神のことで、その瞳を持った者には、“死を目前にした人間が透けて見える”という不思議な力が宿る。百田尚樹による同名小説を実写化した『フォルトゥナの瞳』は、そんな不思議な能力を身に着けてしまった青年・木山慎一郎を主人公としたラブストーリーである。幼少期の飛行機事故で、家族を失い1人生き残ってしまった慎一郎は、友人も作らず孤独に仕事だけに生きてきた。だが、ある日“死が近い人が透けて見える能力”を持っていることに気付き、生活が一変する。

【写真】神木隆之介と有村架純のキスシーン

 神木隆之介は本作で本格ラブストーリー映画に初挑戦となる。慎一郎の恋人役である桐生葵を演じる有村架純と初々しい恋人同士を演じた。

 本作は、ファンタジックな設定であるものの、心情描写の描き方が丁寧でかなり引き込まれる構造になっている。その秘密は演出や脚本だけではなく、実力派俳優のなせる技であった。

 神木は、ご存知の通り子役出身で25歳にして既に約20年もの芸歴を持つ。本作でもキャリア組に囲まれながらも瑞々しい芝居を見せていた。慎一郎の勤め先の社長夫妻・哲也(時任三郎)と美津子(斉藤由貴)は、慎一郎の親代わりとなってに親身に支えてきた。慎一郎は、美津子に恋人ができたことを明かすなど、親子さながらの関係を見せる。お互いの人生を尊重しているような繊細な距離感を、斉藤と神木は巧みに表現した。

 鑑賞者にとって、可愛らしいイメージが強いであろう神木も、本作では恋愛をリードする役どころ。バックハグだけでなく、裸で有村とベッドの中にいるシーンもあり、恋愛が絡む場面では今まで以上に刺激的な姿も見せた。

 有村を抱きしめるシーンでは、有村の頭に添えられた手の爪は短く切りそろえられ、さらに慎一郎の仕事である自動車を扱う職業を彷彿とさせるような、黒く汚れた跡がある。そんな手で強く抱きしめる様子は、ピュアな子役からは想像もつかない、一人の安定した男性らしさが垣間見えた。

 神木の芝居は、深く感情移入しているだけではないことが伝わってくる。カメラから見て、鑑賞者が作品の内容を理解するためにはどのような動きが必要か、ということを理解しているように見えるのだ。

 慎一郎が葵にプレゼントしようとしたリングを川に向かって投げようとするシーンでは、投げなかった握りこぶしがはっきりと見えるようにしゃがむ。本来ならば、自然な動きなら後ろ姿と腕が被り、拳が見えなくなってしまう。それを神木は、腕を外向きにひらき、“投げていないで拳を握ったままでいた”ということが引き絵からも理解できるような芝居をした。

 身体を使って、鑑賞者に情報を届ける。神木の芝居は、心に打つだけではなく、身体を媒介して物語を伝えるという役者本来の働きにもコミットした演技なのだ。

 本作には、泣ける恋愛物語という側面だけではなく、自分の選択に責任を持つという重要なテーマが隠されていた。何気なく送っている普段の生活を見直し、大切な人に改めて気持ちを伝えたくなるような作品であった。

(Nana Numoto)

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